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【前編】大人も子どもも、ひとりの人間として『さん付け』で呼び合う園で働く意味(2年目保育士鼎談)

ChaCha Children Daikanyama
公開日2022年8月3日

今回お話を聞いた方

やざわ
やざわあいり (2歳児担任)
いたがき
いたがきななこ (0歳児担任)
うえの
うえのはるな (0歳児担任)

もともと0からなにかを作り上げるのが楽しいタイプなので新園に配属されてうれしかったです。 1年目でもたくさん意見を聞いてくれて、任せてくれるのはうれしいし、楽しいし、大変だけど自分の身になりました。

ChaCha Children Daikanyama の入口すぐにあるChaCha Cafe。 ここは、スタッフ同士はもちろん、スタッフと保護者、そして地域の人々が交流するためのスペース。

中央にコミュニケーションがとれる大きなテーブルと椅子があり、部屋いっぱいに子どもたちの絵やドキュメンテーション、手作りの雑貨が並んでいる。

子どもの手の届く位置に、ガラスの小瓶に入ったカラーサンドとドライフラワーのインテリア。「子どもたち、壊しちゃいませんか?」と危ぶむ取材者に、ChaCha Childrenのスタッフさんはにっこり。

「このカラーサンドの小瓶、子どもたちが作ったものなんですよ。園内のいろんなところ、子どもの手の届く範囲にこうした作品は置いてありますが、子どもたち自身がこれらを大切なものだと思っているんでしょうね。触れることはありますが、そうっと扱っていますよ。食事でも陶器の器を使っているので、扱いを知っているというのもあるかもしれません」

危ないものを遠ざけるのではなく、生活のなかで扱い方を身につけていく。子どもを「子ども扱い」しないという考えを体現した空間で、2年目を迎える保育士三人にChaCha Children&Co.についてのお話しをうかがった。

一人ひとりを尊重し、対話を重ねて互いへの理解を深めていける場所

ーまず最初に、「ChaCha Children Daikanyamaらしい」と感じる取り組みがあれば教えてください。

はるなさん :「tsunagu」ですね。ChaCha Children Daikanyamaでは、マルシェという行事があり、そこで「アップサイクルプロジェクト」というものを行っています。

マルシェというのは、子どもたちの制作物などを通じて地域の方やご家庭と対話を生み出し、その時間や思いを共有する行事。アップサイクルプロジェクトは、マルシェで販売する制作物づくりの一環で、ご家庭で不要になったものを集めて、アイディアを加えて、新しいものに生まれ変わらせるプロジェクトのことです。

左からはるなさん、あいりさん、ななこさん

あいりさん :その今年のテーマが「tsunagu」なんです。今年はこういうストラップをつくります。

はるなさん :これは、ご家庭から集めたペットボトルが素材です。0,1,2歳の乳児クラスで模様をつけ、それを保護者とスタッフが加工してビーズ状にして、最後は3,4,5歳児の幼児がつなげて、ひとつの形にします。乳児、幼児、保護者、ご家庭、スタッフと、子どもたちを真ん中にしてつながっている人々が、プロジェクトを通して、ひとつのものを生まれ変わらせていく……こうした一連のつながりがChaCha Children Daikanyamaらしいなと感じています。

ーすてきな企画ですね。この企画ははるなさんが考案されたんでしょうか?

はるなさん :取りまとめをしているのは私ですが、スタッフもみんなつながってできている企画です。ネーミングもあいりさんと一緒に考えました。

あいりさん :「tsunagu」をテーマにするなら、子ども、保護者、ご家庭、スタッフとみんながつながれる企画がいいよね…と二人でアイディアを出しあいました。

ーマルシェは対話を生み出す行事ということですが、こうしてスタッフ同士でも対話を深めながら企画を進めているんですね。はるなさん、あいりさんがマルシェの担当で、ななこさんはどんな行事を担当されているんですか?

ななこさん :私は卒園式の担当です。

あいりさん : ChaCha Children Daikanyamaでは、年長さんの担任の大人は、年長クラスの子どもと一緒に主役なので、卒園式の担当は別のクラスの担当が行います。昨年、入ってすぐからこうした担当を持たせてもらって、やりがいも大きいです。

ー先ほどから、お互いのことを「先生」ではなくお名前で呼び合うんだなと思っていたのですが、こういう場合も「先生」とは使わないんですね。「子ども」に対して「大人」という表現が新鮮です。

ななこさん :「先生」という言葉は使わないですね。先生って言われるとドキッとします。子どもたちを呼ぶときも下の名前で「さん」ですし、子どもたちも私たちのことを「ななこさん」「はるなさん」と名前で呼びます。

はるなさん :私が就職活動ではじめてChaChaを知って、特に気に入ったのが、このスタッフのことを先生と呼ばないところです。保育士になったからといって、知らないことはたくさんあるし、そんなにすぐ本当の意味で「先生になれるの?」という思いがあったんです。だから、ひとりの人間として、ChaChaで子どもたちと一緒に学んでいけたらいいな…と思いました。

お互いに「さん」をつけて呼ぶことは、一人ひとりを尊重すること。子どもも大人も、保護者もスタッフも、誰もが立場にとらわれずに「ひとりの人間」として向き合う環境につながっている。

「それがあなたのいいところ」と言葉にしてくれる、それがChaChaらしさ

ー採用担当の塩澤さんが、三人とも就職活動の時点で魅力的な個性があり、ChaChaでやりたい保育の話を語っていたとおっしゃっていました。きっと「ChaChaのこういうところがいい!」と強い思いをもって応募されたと思うのですが、入職してみて、それまでと印象が変わったり、ギャップがあったことはありますか?

あいりさん :ギャップ…ではないんですけど、保育以外にもこんなに考えなきゃいけないものが沢山あるというのは、入職して初めて知ったことですね。私はもともと0から作るのが楽しいタイプなので、2021年4月にオープン予定だった ChaCha Children Daikanyamaが第一希望でした。

思っていた通り、行事ひとつとっても、新園だからこそ新しくやってみようという空気があり期待通りでしたが、思っていた以上に大変で、「0からつくるってこんなに大変なんだな」と改めて感じました。

でも、1年目でもしっかり意見を聞いてくれて、任せてくれるのは嬉しいし、楽しいし、大変だけど自分の身になるものが多いですね。

ななこさん :私は出身も学校も新潟で、就活時期はコロナ禍で園見学もできず、HPやオンラインで見たイメージしかなかったので、「本当にそうなんだ!」と思うことばかりでした。「さん」付けで呼ぶことも、出汁と素材の味がするおいしい食事も。それから子どももスタッフも大切にされているということは、入職してからより強く感じましたね。

はるなさん :私もそこは共感します。ChaChaに入ろうと思ったのは、子どもたち一人ひとりの個性を大切にしているから。それは、きっと働く大人の個性も尊重してくれる場所なのではないかと思いました。

自分は慎重派で、就活の時には、その個性がマイナスだと感じていました。でも、ChaChaならこんな自分も大切にしてくれる、受け入れてくれると思って入職を決めました。実際に働いていても、「それがはるなさんのいいところだよ」と言葉にして伝えてくれるんです。

ななこさん :はるなさんはいつも私のおしりをたたいてくれるよね。これとこれが締め切りだけどやった?って。はるなさんのいいところだよ!

はるなさん :楽観的なのはななこさんのいいところだよね。あいりさんはアイディアマンだし、場を取り仕切れるし。私は慎重派…と性格は違えど、保育の話をしていると、共通する気持ちはもともと持っていたんじゃないかな、と思います。

あいりさん :もう1年前の話なんですが、はるなさんが「子どもを大切にするってことは大人も大切にされるってことだよね。私はそれでChaChaを選んだんだ」って言ったのを聞いて、ハッとしたんです。私は、「子どもを大切にする=大人の保育」だと思っていました。確かに私たちと一緒に働く人は、みんな同じ「ひとりの人」だし、そこから人との関わりを見直そうという気持ちになりました。

はるなさんの言葉から、「人との関わり」を見直したと語るあいりさん

なにも言わなくても背中を押してくれる仲間、「頼ってくれてうれしい」と言ってくれる先輩がいる

ー1年目から行事の担当、クラスの担当、そして新しい試みへの挑戦と任せてもらえることが多いのは、やりがいもある反面、悩むこともあったのでは?

はるなさん :そうですね…。活動をどう広げるのか悩んで行き詰っていた時期がありました。

ーその時期をどう乗り越えたのか、お聞きしてもいいですか?

はるなさん :あいりさんとななこさんの二人が頑張っているのを見て励まされたんです。実はこれ言うのはじめてなんですけど……二人の姿、なにか言葉じゃなくて、なによりも姿で励ましてくれました。相談したときの対応もそれぞれ個性があって、あいりさんだったらいろいろとアイディアを出してくれる。ななこさんだったら「いけるよ、大丈夫! いけるいける!」って背中を押してくれるんです。

私にとってはどっちも大切で。一人では足りないアイディアもあいりさんがいたら広げられるし、自分の中でできてきたアイディアに自信を持てないときも、ななこさんが背中を押してくれたら大丈夫だって思えます。

熊木さん(園長)や先輩たちへの相談もしやすい環境です

ななこさん :先輩たちにも相談しやすいよね。相談できる環境が整っていると思います。私は、昨年は子どもが6人の比較的ゆったりしたクラスで、組んでいたのも先輩だったので、気になることがあると、その場、その場ですぐに聞いて解決していました。

あいりさん :私は、人に訊ねたり、頼ったりするのが苦手で、「言われなくても行動しなきゃ」と考えてしまうタイプです。新園で、私たち1年目以外のスタッフもみんなはじめましてというなかで、決めなきゃいけないこともいっぱいある。私はどこまで関わったらいいのか分からない。聞けばいいのに聞けない。そんなもやもやを抱えていた時に、はるなさんやななこさんが声をかけてくれたことがありました。

自分から頼れない私の顔を見て、疲れていそうだったら気にかけてくれる。そのことから、次第に自分一人でやらなくていいんだ。一人でやろうとしたら逆に迷惑がかかるんだと気づいて、先輩に聞けるようになり、心が軽くなりました。

ー2年目になり、それは変わりましたか?

あいりさん :いま、私の担任しているクラスには1年目のスタッフが二人います。去年は、同じクラスに「頼ってくれてうれしい」って言ってくれる尊敬できる先輩がいたので、「そんな風にならないと!」という気持ちで2年目を迎えたんですが、張り切りすぎて最初はアップアップしちゃいました(笑)

次第に肩の力が抜け、1年目のスタッフも私も背伸びをするんじゃなくて、その人らしさが大事だと思えるようになってきました。尊敬できる先輩…にはまだなれていないと思うので、一緒に保育を楽しめるような、保育の面白いエピソードを伝えたいなと思ってもらえるような人になりたいです。

はるなさん :自分の意見を言えるようになりたいです。私自身、まだ2年目ですし、ふとしたときに「これってどうですか?」と聞かれても、パッと答えられないことがあります。自分の考え方に自信・誇りを持てていないんですよね。自分の中で成長していきたいポイントです。

はるなさん、あいりさん、ななこさんの三人は、「先生」というひとくくりの存在ではない。子どもたちもそうだ。「子ども」ではない。一人ひとりが主役であり、それぞれの考えを持つちがう人。ChaCha Children Daikanyamaは、多様性に満ちた社会になっている。

( 後編へつづく )

施設情報

形態
認可保育園(113名)
設立
2021年
所在地
東京都渋谷区恵比寿西2-13-5
掲載施設数
No.1
ネット受付施設数
No.1
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調査機関:日本マーケティングリサーチ機構