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子どもが「自分は愛される存在だ」と思える保育を 中島純子先生

こどものじかん保育園
公開日2024年12月6日

今回お話を聞いた方

中島
中島純子 (園長)

出身地:愛知県 勤務先:千葉県浦安市・認可保育園 職歴:メーカー→保育事業会社→情報通信会社→NPO法人設立→保育園開設 園長先生歴:6年 趣味:スキー、キャンプ

始まりは、浦安の子育て情報サイト『MY浦安』の制作だった

ー中島先生が保育の道に進まれた経緯を教えてください。

大学卒業後、最初はメーカーで総合職として勤務しました。その後、もともと働く女性が仕事を続けるために保育拡充の必要性を感じており、託児会社の事業企画部に3年ほど勤務したんです。その後、もとの会社の上司の誘いもあり情報通信系の会社に転職しました。

ちょうど同じ頃、自分が子育てするときにも役立つだろうと思い、個人的に浦安の子育て情報サイト『MY浦安』を作り始めました。そこで専業主婦のお母さんたちと知り合い、「あぁ、大変なのは働いているお母さんだけじゃない。子育て中の人は、みんな大変なんだ」と気づいたんです。それが子育て支援、ひいては保育所開設につながっていきました。


ー確かに仕事と子育ての両立も大変ですが、家でずっと子どもをみるのも大変です。

そう、ずっとワンオペだと息が詰まるし、それぞれにいろいろな事情がありますからね。当時は子連れで出かけられる場所が少なかったり、そういう情報もあまりなかったりしたので、会社員を続けながらNPO法人を立ち上げ、周囲のお母さんたちと一緒に「つどいの広場(子育てサロン)」「一時預かり」などの事業を開始しました。

本来はとてもパワフルなはずなのに子育てで困って動けないでいる……そんなお母さんたちを応援したいと思ったんです。

私は昔からちょっとお節介なところがあって、部活でもマネージャーをしたり、人を応援するのが好きなんですね。「親になっても、その人がその人らしくいられるように何かできたら」と思ったのが原点です。今もそう思っています。


ー会社員を続けながらNPOを立ち上げるのは大変ではなかったですか?

仲間と一緒に地域活動をする楽しさもあったので、それほど大変だとは思いませんでした。その時点ではNPOの事業だけでは生活が成り立たなかったので、私自身が出産するまでは週5はNPOの仕事、週2で別の仕事をしていたくらいです。


ーパワフルですね! その後、2013年には野外保育を開始されています。

子どもには野外で自然と触れ、のびのび過ごす時間が大切だと思い、外遊びのイベントを開催していたのですが、保護者の方が忙しかったりアウトドアが苦手だったりすると、子どもはこられないということに気づきました。そこで「じゃあ預かって野外活動をすればいい!」と、週に2回、野外保育「森のようちえん」を開催するようになったんです。

ところが、昨今の気候変動の影響で、急な雷雨や猛暑など厳しい状況もあり、できれば施設での保育をしたいと思うようになりました。また、保護者からは仕事をしていても利用できたらいいのにという希望もあり、野外保育を取り入れた保育園を立ち上げ、そこでの実施を考えるようになりました。


ー保護者の要望がきっかけで、保育園を立ち上げることになったんですね。

そうです。基本的に地域のお母さんやお父さんのご要望にお応えしたいと思って続けてきた活動ですから。ただ、私は大学時代から「いつか保育園を作りたいな」とうっすら思っていました。というのも、当時はちょうど総合職に就く女性が急に増えた時代。仕事を続けながら子育てをするためには保育園が必要不可欠だと思っていたからです。


子どもたち一人ひとりが健やかに 伸び伸び成長する姿がやりがいに

ー保育のどのような部分にやりがいを感じられていますか?

たくさんありますが、一番は目の前にいる子どもたち一人ひとりが、健やかに伸び伸びと成長していく姿を見られるところです。また、お母さんやお父さんなど保護者の方々のお力になれたとき、喜んでもらえたときにやりがいを感じます。これはエンドユーザーの姿が見えない会社員時代には感じられなかった喜びです。


ー反対に、保育の大変なところを教えてください。

一つは、時々、園と職員や保育士、保護者の意見がぶつかることがあるところです。子どもの育ちを応援したい気持ちは、保護者のみなさんはもちろん、園や保育士にもあります。ただ、それぞれに視点が違うので、どうしても誤解や行き違いが生じてしまうこともあるんです。そこが、もったいない。子どもに最大限の利益があるよう保護者、保育園、保育士、自治体などのステークホルダーが上手く連携を取れるといいなと思います。

もう一つは、安全管理です。屋外での自然とのふれ合いを大事にしていますが、安全も大事。もちろん可能な限りケガをしないよう身を守る方法を教えながら見守りも欠かしませんが、どうしてもまったく危険がないという状態にはできません。軽いケガをしても大きなケガをしないよう学んでいくことも大事です。ただ、子どもたちは一人ひとり個性も違えば、発達も違うので、安全管理は大変です。


ー中島先生が保育において、もっとも大切にされていることはなんでしょうか?

「何かができるようになること」ではなく、子ども自身が「自分は愛される存在だと思えること」、またその安心感の中でいろいろなことにチャレンジして「自分がどんな子なのか少しでもわかること」を大切にしたいと思っています。つまり、これから先の人生で土台となる部分を大事に育みたいのです。


ーでは、園長先生として、もっとも大切にされていることを教えてください。

「職員がゆったりとした気持ちで過ごせるように各自のペースに任せる」ということです。私はどうしても自分でちゃかちゃか動いてしまいがちなんですが(笑)、園長である私があまり動きすぎると、職員のプレッシャーになるので気をつけたいと思っています。職員がプレッシャーを感じれば、それは子どもたちにも伝わりますから。

一方で、なんでもいいわけではないので「園としての方針」をきちんと伝えることも大事にしています。ミーティング等で、みんなで意見のすり合わせをし、きちんと伝わった瞬間は本当に嬉しい気持ちになりますね。


子育てを家庭に押し込めないで地域へと広げていきたい!

ー中島先生のこれからの目標はどんなことでしょうか?

子育てを家庭だけに押し込めるのではなく、地域へと広げていけたらと思っています。家庭と保育園だけでなく、近所の人、お店の人、さまざまな人がみんなで子どもたちの育ちを見守れたら、すごく安心できる社会になるはずです。

実際に保育園でも近隣の人との交流を大切にしていますが、今後は卒園生や卒園生の保護者の方々ともつながっていけるような仕組みを作れたらと思っています。保育園の同級生同士って、兄弟のように生活していますから、バラバラになってしまったらもったいないなと。少しでもつながりを保てたらいいなと思うんです。


ー最後に、これから保育士を目指している方、保育士を目指そうかどうか迷っている方へのメッセージをお願いします。

保育士になる前に、さまざまなことを体験して好きなことを見つけ、それについて語れるようになってほしいと思います。保育に関係なくていいし、どんなことでも構いません。自分の好きなことがあって軸がしっかりしていれば、他人の価値観も尊重できるからです。子どもたちは一人ひとり違いますから、それぞれを尊重できるということが大事になります。

保育士の仕事は、人生のスタートに立ったばかりの子どもたちの育ちを担う重要なもの。もちろん、責任が重く大変な仕事でもありますが、子どもたちの育ちを見守り、未来を作ることができる幸せな仕事でもあります。

少しでも興味がある人は、ぜひ保育の仕事にチャレンジしてみてください!


<中島先生のご経歴>

2001年 子育て情報サイト「MY浦安」を開設

2004年 NPO法人化。NPO法人i-net設立

2007年 「明海つどいの広場・子育てテラスふらっと」開設

乳幼児とその保護者対象の常設「子育てサロン」と預ける理由を問わない「一時預かり保育」を開始

2011年 一時預かり「保育室ゆるり」開設

2013年 野外保育「森のようちえん こどものじかん」立ち上げ

2015年 一時預かり「保育室アリエ」開設

2018年 認可保育所「こどものじかん保育園」開設


(取材・文:大西まお、撮影:池田博美、編集:ホイシル編集部)


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施設情報

形態
認可保育園(56名)
設立
2018年
所在地
千葉県浦安市東野3丁目4番11号ASMACI浦安2階
掲載施設数
No.1
ネット受付施設数
No.1
2024 年 7 月期_指定領域における市場調査
調査機関:日本マーケティングリサーチ機構