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公務員保育士の給料事情とは?私立との違いや採用試験についても解説

 
保育士を目指す理由は「小さいときからの夢だった」「子どもが好きだから」など、人によってさまざま。自分がなりたい仕事に就くからこそ、「長く働きたい」「給料が少しでもよく、安定した職場で働きたい」と思うのは当然のことでしょう。
そうしたときに就職先の候補のひとつとして、公務員保育士を考える方も多いのではないでしょうか。
 
さまざまな保育士の働き方のなかでも、公務員保育士には待遇がよいイメージがあります。
では本当に公務員保育士の待遇は恵まれているのでしょうか。
 
今回は、公務員保育士の給料事情についてご紹介します。
保育士を目指し、就活中の方はぜひ参考にしてみてくださいね。
 
 

公務員保育士とは?

 
公務員保育士とは「市区町村などの地方自治体が運営する保育園に勤務する保育士」のことをいいます。公立保育士と呼ばれることもあります。
保育士資格を持っていれば、誰でもなれるというわけではありません。
各地方自治体が行っている職員採用試験に合格する必要があります。
職員採用試験の受験資格は保育士資格を取得しているか、もしくは指定された期限までに取得見込みであることです。保育士資格以外にも、年齢制限や居住地などの条件が設けられている場合があります。
 
また、職員採用試験は毎年行われているわけではないため、注意が必要です。職員採用試験の情報は各市区町村のホームページに掲載されます。
自分が受けたい地方自治体をいくつか候補に挙げ、公務員保育士の募集があるかをこまめに確認しましょう。
 
 

私立保育士との大きな三つの違い

 
公務員保育士になるためには保育士採用試験に合格する必要があることが分かりましたが、それ以外に私立保育士との違いはあるのでしょうか。
ここでは、私立保育士との違いを三つご紹介します。
 
一つ目は、「雇用先」です。
公務員保育士は、先述したとおり各市区町村の地方自治体が運営する保育園に勤務します。それに対し私立保育士は、民間の社会福祉法人、NPO法人、学校法人、株式会社などが雇用し、運営する保育園に勤務します。
 
二つ目は、「保育方針、運営方法」です。
公立保育園は、地方自治体が運営しているため、保育方針や運営方法などが、自治体内で大きく異なることはありません。
一方、私立保育士の勤めている民間施設は、それぞれの園で大きく異なります。
施設ごとに保育方針などにカラーを持ち、特徴として前面に打ち出しています。
保育時間の延長、独自の保育カリキュラムを取り入れるなど、運営方法にも工夫がされていることが多いようです。
 
三つ目は、「異動」です。
公務員保育士の場合、公務員として職務にあたるため、数年おきに異動がある可能性があります。
公務員保育士が働くことのできる施設は、保育園だけではなく、児童館や児童福祉施設などたくさんあります。
保育園以外の自治体の児童福祉に関係する施設に配属されることもあるかもしれません。
そのため、「保育園で働くために、保育士を目指した」人は、注意が必要です。
保育園以外の施設に配属された場合は、保育園で働けないということを加味したうえで、就職先を選ぶとよいでしょう。
 
 

公務員保育士の給料事情

 
公務員保育士は一般的に待遇がよいというイメージがありますが、給料事情はどのようなものなのでしょうか。
私立保育士と比較しながら、公務員保育士の給料事情や平均の給与額をご紹介します。
 
 

公務員保育士は、地方公務員の給料が適用される

 
公務員保育士は地方公務員にあたるため、給料は各自治体の地方公務員の給料表に則って決められています。
給料や手当、支給方法など各自治体の条例によって定められているため、地方自治体によって給料の額面にも差があります。自分の興味のある自治体の保育士募集案内などで、確認してみるとよいでしょう。
 
また、地方公務員の給料表は「年功序列」であることが大きな特徴です。
「スピード出世をする」「早くに昇給して、役職につく」ということは、あまり例を見ません。年を重ねるごとに、自然と給料が上がっていくのが、地方公務員の給料の仕組みといえます。
 
 

公務員保育士の平均給与額は?

 
では、公務員保育士の平均給与額とはどれくらいなのでしょうか。
ここでは、賞与を含む月額給与額で比較をしています。
 
令和元年度に行われた保育園の経営実態調査資料によると、役職のない一般の公務員保育士の平均給与月額は、303,113円*となっています。私立保育士の平均月額給与額は、301,823円*です。両方とも勤続年数は約11年です。
この結果に驚く方も多いのではないでしょうか。実は、一般保育士の給与に限っては、あまり大きな差はありません。
 
では、役職のある主任保育士はどうでしょうか。
主任の公務員保育士の平均勤続年数は25. 1年で、平均月額給与額は561,725円*となっています。
一方、主任の私立保育士の平均勤続年数は21. 7年で、平均月額給与額は422,966円*です。
役職に就くと、大きな差が見られるようになります。この傾向は、施設長の給料も同様です。
 
役職に就いている公務員保育士は、私立保育士に比べ、平均勤続年数が長いのも特徴です。そのため、
年功序列で給料が上がっていく公務員保育士は、在籍期間が長くなるほど給料も上がっています。これが、役職に就く頃に、大きな差が生じている理由の一つです。
 
公務員保育士は、地方公務員の基準が適用されるため、給料以外の待遇や、休みの取りやすさなどにおいても恵まれているといわれています。
有給や産休育休などの休暇制度が整っており、取得しやすい傾向があります。このような休暇制度は、法律で定められているものの、人員不足や前例がなかったりと取得しづらいところもあるようです。
 
私立保育士の待遇は務める保育園によってさまざまですが、近年の保育士の処遇改善により、よくなりつつあります。公務員保育士と違って異動がないため、働きたい保育施設で長く働くことができます。施設によってさまざまな保育方針があるため、自分の考えにあう施設を選んで働くこともできるでしょう。
 
給料以外の働きやすい職場環境についても、職場選びの参考にできるとよいでしょう。
 
*平成31年3月分の月額給与。月額給与のほか、平成30年度分の賞与の1/12が含まれる。
 
参考:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】
 

 

公務員保育士になるためには?

 
先述したとおり、公務員保育士になるには、市区町村や地方自治体が実施する職員採用試験に合格する必要があります。ここでは、職員採用試験の試験の流れについてご紹介します。
 
 

職員採用試験の流れ

 
職員採用試験は、一次試験と二次試験があります。
二次試験に合格すると、公務員保育士の候補者として、採用候補者名簿に登録されます。登録された後に保育園側から採用したいと申し出があると、勤務することができるようになります。合格=採用ではないので、注意が必要です。
 
 

一次試験の内容は?

 
一次試験の内容は、受験する自治体によってさまざまです。一次試験では、教養試験と専門試験にわかれ、マークシートで解答していく形式が多いようです。
 
教養試験とは、高校卒業程度の一般知識に関する問題です。
国語、数学、英語、理科、社会、現代文、物理、化学、政治、経済などの問題が、ランダムに出題されます。
専門試験は、保育原理、教育原理および社会的擁護、児童家庭福祉、社会福祉、保育の心理学、子どもの保健、子どもの食と栄養、保育実習理論です。
 
自治体によって、出題傾向もあるので、過去問などで対策することをオススメします。
 
 

二次試験の内容は?

 
二次試験では、一般的に実技や面接があります。
ピアノや製作などの実技、適性検査、グループディスカッション、作文、小論文、体力測定などが課せられることがあります。
事前に、自分の受験する自治体の情報をどれだけ集められるかが、重要になりますね。
 
 

まとめ

 
近年、保育園の民営化も進み、公立保育園は減少傾向にあります。また、職場環境に恵まれた公務員保育士の離職率は低く、募集人数も少ないのが現状です。
 
最近では、公務員保育士の職員採用試験の合格率は低く、狭き門となっています。
しかし、公務員保育士の職員採用試験を受ける前に事前準備し、計画的に勉強を始めることで、合格に近づくことができるでしょう。
 
ここでは公務員保育士の待遇や採用についてご説明しましたが、私立保育士にも魅力はたくさんあります。
それぞれの特徴をしっかりと理解し、ご自身の希望に合う選択ができるようにしましょう。

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