保育士は、一般的に保育の専門学校や短大を卒業してなるものと思われがちですが、実はそれ以外にも資格を取得する方法があります。それは、国家試験を受験し合格することです。今回は、保育学校を卒業していない方の受験資格について学歴別に分かりやすくまとめました。自分の学歴と照らし合わせて確認してみてくださいね。
保育士試験とは
保育士になる人の多くは、保育の専門学校や短大などに進学し、卒業と共に保育士資格を取得して保育園や幼稚園に就職をします。しかし中には、保育以外の分野に進んだものの進路を考える中で「保育士になりたい」と考える方や、一般企業で働いていたけれど「今から保育士資格を取得したい」と思う方もいますよね。
そうした人たちでも保育士資格を取得できる方法の一つが、保育士試験を受験することです。
保育士試験とは、受験資格を満たしていれば誰でも受験することができる国家試験です。9科目の筆記試験と、筆記試験合格者が対象の実技試験を突破することで、資格を取得することができます。
では、どのような人に受験資格が与えられているのでしょうか。大学卒、高卒など、学歴ごとの受験資格をまとめましたのでチェックしてみてください。
最終学歴【大学】の場合
まずは、最終学歴が「大学卒業」または「在学中」「中退」の場合の受験資格です。
大学卒業
学校教育法に基づいた大学であれば、どの学部・学科を卒業していても受験資格があります。
大学在学中・中退
大学に2年以上在学していて、かつ62単位以上を修得済みであればどの学部・学科でも受験資格があります。この条件を満たしていれば、中退していても受験可能です。
また、現在在学中であればどの学部・学科でも受験資格があります。しかしこの場合、年度中に62単位以上修得の見込みがある、あるいは在学期間2年を満たすことが条件となります。もし年度内に単位が修得できなかったり、在学期間が2年に満たなければ受験をしても合格扱いにならないので注意してください。
上記の条件を満たしていない場合は受験ができないため、まずは単位の取得もしくは在学期間をクリアしましょう。
最終学歴【短期大学】の場合
次に、短期大学を「卒業」または「在学中」の場合の受験資格です。
短期大学卒業
大学とおなじく、どの学部・学科でも受験資格があります。
短期在学中
こちらも大学と同じく、在学中であればどの学科でも受験資格があります。しかし年度中に卒業できなかった場合は、受験をしても合格にならないので注意が必要です。
つまり、受験するときに卒業学年でなくてはいけないということになります。卒業がまだ先の1年生などは、改めて卒業年に受験するようにしましょう。
最終学歴【専門学校】の場合
専門学校を「卒業」または「在学中」の場合の受験資格です。
この場合は、「学校教育法に基づいた専修学校であるか」「卒業した(在学している)課程が修業年限2年以上の専門課程であるか」の2点を学校に確認しましょう。
〈2点が満たされている場合〉⇒どの学部・学科でも受験資格があります。
〈1点でも満たされていない場合〉⇒高校の卒業年月が「平成3年3月31日以前」or「保育科なら平成8年3月31日以前」であれば受験資格があります。
それ以外の方は、受験資格詳細ページを確認するか、保育士試験事務センターに問い合わせましょう。
最終学歴【高校】の場合
最終学歴が高卒の場合の受験資格です。少しややこしくなっているので、しっかりとチェックしてくださいね。
【平成3年3月31日以前に卒業している場合】
この場合は、受験資格があります。
【平成3年4月1日以降に卒業している場合】
保育科を平成8年3月31日以前に卒業していれば受験資格があります。保育科以外を卒業or保育科を平成8年4月1日以降に卒業している場合は、2年以上かつ2,880時間以上「児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設」での勤務経験があれば、受験資格があります。
勤務認可外保育施設や一時預かり事業などでの勤務が2年以上かつ2,880時間以上ある場合は、受験資格認定が必要です。
施設の詳しい内容は「受験資格 高等学校卒業」をご確認ください。
このどれにも当てはまらない場合は、受験資格詳細ページを確認するか、保育士試験事務センターに問い合わせましょう。
最終学歴【中学】の場合
中卒の場合も、高卒と似たような条件が設定されています。
5年以上かつ7,200時間以上「児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設」での勤務があれば、受験資格があります。
それ以外の認可外保育施設や一時預かり事業等での勤務が5年以上かつ7,200時間以上の場合は、受験資格認定が必要です。施設の詳しい内容は「受験資格 中学卒業」をご確認ください。
このどれにも当てはまらない場合は、受験資格詳細ページを確認するか、保育士試験事務センターに問い合わせましょう。
保育施設での【勤務経験がある】場合
すでに社会人として保育施設での勤務経験がある方は、一定の条件を満たしていれば受験資格が与えられます。
【高校を卒業している場合】
①勤務期間2年以上
②総勤務時間数2,880時間以上
③児童等の保護または援護に従事
【高校を卒業していない場合】
①勤務期間5年以上
②総勤務時間数7,200時間以上
③児童等の保護または援護に従事
上記3点をすべて満たしていて、「児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設」に勤務していれば受験資格があります。それ以外の認可外保育施設などでの勤務の場合は、受験資格認定が必要です。
一点でも満たされていない場合は、受験資格詳細ページを確認するか、保育士試験事務センターに問い合わせましょう。
勤務先に関する詳しい施設区分は、「受験資格 勤務経験」をご確認ください。
最終学歴【海外の学校を卒業】の場合
海外の学校を卒業している場合、受験資格を事前に調べてもらう必要があるため少し時間がかかります。
事前確認の対象者
・最終学歴が海外の学校の卒業者
・以下の①~④に当てはまらない方
①平成3年3月以前の日本の高校卒業者
②日本の短大・大学・専門学校の卒業者
③日本の高校を卒業し、児童福祉施設で2年以上かつ2,880時間以上児童または幼児の保護全般に従事している方
④児童福祉施設で5年以上かつ7,200時間以上児童または幼児の保護全般に従事している方
※当てはまる方は受験資格があるので、事前確認は不要です。
書類の提出方法
「受験資格事前確認依頼書」と「学位を証明する書類の写し」を用意して、保育士試験事務センターに郵送またはFAXをする必要があります。確認には2~3週間はかかるようなので、時間に余裕を持って書類の準備・提出を行うようにしましょう。
受験資格があるかどうかは、調べてもらってからでないと分からないため、もし資格がなかった場合の対応も回答が来た時に聞いておくと良いでしょう。
詳しく知りたい場合は、海外の学校を卒業した方の受験資格をご確認ください。
保育士資格の取得を目指そう!
今回条件に当てはまらなかったという方は、保育士養成協議会のホームページで、一度受験資格詳細ページを確認してみましょう。細かい条件が書かれています。
「保育の学校ではないから…」と諦めず、まずは自分に受験資格があるのか確認してみてはいかがでしょうか。夢を叶える道のひとつとして、ぜひ保育士試験の受験を視野に入れてみてくださいね。