保育士試験の難易度は?勉強のポイント解説します! 保育士資格

保育士試験の難易度は?試験勉強のポイントを解説!

保育士の資格を取る方法は、大きく分けて2つあります。

1つは、都道府県知事が指定する保育士養成施設を卒業する方法です。もう1つは、保育士試験に合格する方法です。保育士試験は国家試験であり、難易度は高めです。合格を狙うためには、しっかりした対策を取っていく必要があります。

この記事では、保育士試験の基礎知識から科目別の対策法までを解説しています。保育士試験に挑む受験生の皆さんは、ぜひ参考にしてみてください。

試験科目や難易度を把握して国家資格を取得しよう

まずは、保育士試験の基礎情報を確認していきましょう。

開催日程は?

保育士試験は、令和3年現在、年2回のスケジュールで開催されています。

●前期試験

 筆記試験:令和3年4月17日(土)、18日(日)

 実技試験:令和3年7月4日(日)

●後期試験

 筆記試験:令和3年10月23日(土)、24日(日)

 実技試験:令和3年12月12日(日)

申込締め切りは早めなので注意!

保育士試験の開催日程に対し、受験申請書の受付期間は3か月程度早めです。例えば、令和3年前期試験の受付期間は1月5日~29日まででした。令和3年後期試験の受験詳細については、6月に公式ホームページに掲載予定とのことでまだ明らかではありません。しかし、後期試験は7月中に受付期間が終了することが多いようです。保育士試験を受験する場合は、早めに公式情報をチェックしておきましょう。

出題科目は?

●筆記試験

1.保育の心理学

2.保育原理          

3.子ども家庭福祉

4.社会福祉          

5.教育原理          

6.社会的養護       

7.子どもの保健   

8.子どもの食と栄養          

9.保育実習理論

●実技試験

1.音楽に関する技術

2.造形に関する技術

3.言語に関する技術

※上記3分野から2分野を選択

受験資格は?

保育士試験の受験資格は、学歴と実務経験によって細かく定められています。その中の一部をご紹介します。

・大学、もしくは短大を卒業している→受験資格あり

・大学を中退→2年以上在学して62単位以上取得していれば受験資格あり

・短大に在学中→受験資格はあるが、年度中に卒業しなければ合格無効

専門学校卒者、高卒者、中卒者、海外の学校を卒業した人は条件が複雑なので、以下の保育士試験公式ページより受験資格を確認してください。

受験資格:https://www.hoyokyo.or.jp/exam/qualify/index.html

合格率や難易度は?

保育士試験の合格率は、以下のようになっています。

平成27年度 34.3%

平成28年度 25.8%※この年から保育士試験は年1回から年2回になりました。

平成29年度 21.6%

平成30年度 19.7%

令和元年度  23.8%

近年の合格率は約20%程度です。5人受験したとしても、1人しか合格できない難関試験といえます。

保育士の資格取得に向けた対策方法

それでは、保育士試験資格取得に向けた勉強方法を見ていきましょう。

筆記試験編

まずは、科目数の多い筆記試験の対策法を紹介します。

筆記試験では科目を横断する勉強が吉

保育士試験筆記試験で出題されるのは、全9科目です。試験範囲が大変広くなります。一つひとつの科目をバラバラに勉強すると、かなりの時間がかかってしまいます。

そこでお勧めなのが、最初に科目を横断した勉強をすることです。保育士試験で出題される9科目には、それぞれ関連性があります。

まずは、筆記試験向けのテキスト(9科目が1~2冊にまとまっているもの)を最初にざっと読んで、各科目の概要をつかみましょう。その上で、まとめて勉強した方がいい部分を抽出して、ノートにまとめていきます。

科目にこだわらずまとめノートを作った方がいい物には、次のようなものがあります。

・保育所保育指針

・保育や教育に関わる人名とその功績

・日本の教育に関わる年表

特に、年表は科目を問わずひとつにまとめる方が歴史的流れが把握しやすくなります。保育所保育指針も、ひとつのまとまりのある文章として構成されています。よく出題される範囲は各科目で違ってくるとはいえ、全体に目を通した方がいいでしょう。

科目別勉強のポイント

次に、科目別勉強のポイントを見てみましょう。

・「保育原理」

保育所保育指針、保育教育に関わる人名、法律など、前述した「まとめて勉強したい部分」からの出題が多い科目です。そのため、科目単体だけの学習というよりは、教育原理など隣接科目を意識しながら勉強した方が頭に入りやすいと思います。2020年度より、出題範囲が障害児保育と乳児保育にまで広がったため、最新試験への対策も必要です。

・「教育原理」

保育原理より、もう少し年齢層が上の子どもを対象にした内容が出題されます。教育基本法、学校教育法等の法律は、この科目では重要な出題範囲です。ただ、「こんな法律があるな」だけではなく、内容までしっかりおさえてください。この科目と社会的養護は問題数が少ないので、1問あたりの重要度が高いことも覚えておきましょう。

・「社会的養護」

社会的養護の科目では、子どもを養護するためのさまざまな制度について知識をインプットする必要があります。児童養護施設、乳児院、母子支援生活施設などの各種施設の内容、職員配置、里親制度、家庭支援専門相談員等の専門職について暗記します。紛らわしい言葉が出てきて混乱することもあるので、一覧表にまとめたほうが分かりやすいでしょう。

・「こども家庭福祉」

児童福祉施設の種類や里親制度など、「社会的養護」と被る部分があるので、科目を横断して勉強するといいでしょう。人物名や各種法律設定の年表も出てきます。こちらは、前述したように他の科目とまとめて人物表、年表に書き入れていきます。法律関係では、児童福祉法がとても重要ですので、内容もしっかり押さえてください。

・「社会福祉」

保育という分野に限らず、介護保険やDV対策、生活保護制度など、幅広い社会福祉の内容を問われる科目です。福祉に関連する専門用語や福祉の歴史を問われることもあります。学ばなければいけない範囲が非常に広いため、完璧を目指すと時間がいくらあっても足りません。一問一答集や過去問を使って、出る範囲を効率的に学んでいくことが大切です。

・「保育の心理学」

子どもの発達や心理学に関する問題が出題されます(この科目で言う発達の対象は、乳幼児だけでなく、学童期や青年期を含む幅広いものです)。保育士として働く上で、実践に結び付く内容が多いため、しっかり勉強したい科目です。単語帳に「〇〇ができるようになるのは何歳?」というような小問をまとめ、発達の過程を覚えていくと頭に入りやすいです。心理学の重要人物名は、他の科目と一緒に前述の人名ノートにまとめてください。

・「子どもの保健」

保育の心理学と同じく、保育現場で役に立つ科目がこの「子どもの保健」です。感染症の対処法、予防接種、子どもがかかりやすい病気の内容など暗記部分が多いです。単語帳を使って一つひとつ確実に覚えていくといいでしょう。

また、人口動態調査の内容や感染症ガイドライン(厚生労働省作成)などの資料も抑えておいてください。

・「子どもの食と栄養」

他の科目と横断学習がしにくいのが、「子どもの食と栄養」です。他の科目との重複が少ない分、覚える範囲も広くなります。

この科目では、離乳食や妊婦の食事などについて学ぶとともに、栄養の基礎知識も勉強しなくてはいけません。特に難しいのが、「日本人の食事摂取基準」に関する問題で、かなり細かい数字を覚えることになります。全部を完璧に覚えるのはほぼ不可能なので、出るポイントを絞った学習が大切です。数字を覚える時は、語呂合わせを自分で考えると勉強しやすいでしょう。

・「保育実習理論」

音楽の知識、造形の知識、絵画表現と色の原理、遊びの種類から画家の名前まで幅広く問われるのがこの科目です。加えて、保育所保育指針も出題範囲に入ってきます。試験範囲を網羅するのは難しいので、よく出る問題を抑えておくようにしましょう。

なお、一見難しそうに見える移調やコードネームの知識ですが、基本のルールを覚えれば正解できるようになります。

おすすめの参考書

・「福祉教科書 保育士 完全合格テキスト」上下 :翔泳社 

保育士筆記試験全9科目の概要を、上下2冊に凝縮したテキストです。インプットに時間をかけ過ぎたくないという人には特にお勧めです。各章についている理解度チェックを使うことで、なんとなく読んでいた内容を振り返ることができます。また、保育所保育指針の全文が巻末に記載されているのも便利です。

・「保育士一問一答問題集」 :成美堂出版

全9科目の過去問を解きだす前に挑戦したいのが、一問一答集です。コンパクトなので、どこにでも持ち歩くことができ、スキマ時間の学習に役立ちます。成美堂出版の一問一答集は、問題に入る前の「重要ポイントまとめ」も分かりやすいです。このページにいろいろ書き込むことで、まとめノート代わりにも使えます。なお、成美堂の一問一答がある程度身に着いたら、ユーキャンのような別の出版社の一問一答を使ってみるのもいいでしょう。各出版社によって観点が違うので、知識を増やすことができます。

・「らくらく突破 保育士[過去問]ここだけ丸暗記」 :技術評論社

保育士試験の過去問の中で、重要箇所をピックアップし、解説と暗記ポイントをしっかり抑えてくれている本です。過去問は科目数が多いので、ともすれば「解く→答え合わせ」だけの流れ作業になりがちです。しかし、この本を使うことで、膨大な過去問の中の重要箇所を一つひとつ確認することができるでしょう。

実技試験編

実技対策は科目選びから

実技試験対策をする前に、「音楽」、「言語」、「造形」3つの科目のうち、どの科目を選ぶかを決める必要があります。この中で、最も保育現場で使える技術と言えば、「音楽」だと思われます。ただし、「音楽」は例年ピアノの弾き歌いが課題になります。ピアノに自信がない場合は、他の科目を選んでもいいでしょう。

実技試験対策の確認には客観的な視点を

実技試験対策は、以下の通りです。

・「音楽」なら試験前に公表されている曲の練習

・「言語」なら課題となる素話の練習

・「造形」なら過去問をもとにした絵画の練習

実技試験の練習成果を確かめるためには、客観的な視点が不可欠です。ピアノや素話の練習風景は、動画や音声ファイルに記録して、後で見直しましょう。また、ネット上に保育士試験合格者の試験再現絵画がアップロードされているので、「造形」分野での受験者は自分の絵と見比べてみてください。より客観的な評価が欲しい場合は、実技試験対策のみの通信講座を利用してもいいでしょう。

保育士試験対策は科目を横断して効率よく

保育士試験の出題範囲は非常に広いので、試験対策をするのはなかなか大変です。勉強のポイントは、関連のある科目をまとめて勉強することです。また、科目一つひとつを完璧にしようとするのではなく、出題可能性が高い部分に集中して勉強するようにしてみてください。

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