育児休業は子どもを養育するための休業で、子どもが1歳になるまで取得できます。
もし保育園に入園できないなどのやむを得ない理由がある場合、育休は延長できるのでしょうか?
今回は育休の延長について、条件や期間、必要な手続きを紹介します。
育休が取得できる期間
育休は原則子どもが1歳に達する前日まで取得できます。また、育休が取得できる開始日はパパとママで異なります。
パパ:出産予定日から
ママ:産後休業終了の翌日から
産休・育休の概要や取得できる期間は下記の記事で詳しく紹介しております。あわせてご覧ください。
育休は延長可能?
育休は所定の条件を満たせば延長することができます。育休延長の条件と期間について解説します。
延長の条件
育休延長の条件は下記のとおりです。①〜⑤いずれかに当てはまる場合、延長することができます。
①保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合
②子どもが負傷、疾病、障害により2週間以上にわたり世話を必要とする場合
③離婚等により配偶者が子どもと同居しないこととなった場合
④配偶者が死亡、もしくは傷、疾病、障害によって子どもの養育が難しくなった場合
⑤新たな妊娠により6週間以内に出産予定(多胎妊娠の場合は14週間)または産後8週間を経過しない場合
育休延長の最長期間
育休が延長できる期間は、子どもが1歳6か月になるまでです。
また、1歳6か月になった時点で、状況が変わっていない場合は再度申請することで最長で2歳まで延長することができます。
あくまでもやむを得ない理由がある場合のみの例外的な処置のため、1歳の時点で「2歳まで育休延長希望」はできません。どうしても保育園に入所できなかったなどの場合のみ申請できます。
保育園に入園申し込みを行っていない、復職の意思がない場合は延長できません。
参考:育児・介護休業法のあらまし|厚生労働省
育休を延長するために必要な手続きや書類
育休を延長するために必要な手続きや書類について、詳しく解説します。
申請先
育休延長の申請先は勤務先である会社です。
育休延長の申請とあわせて育児休業給付金の申請も行います。育児休業給付金の申請先はハローワークですが、会社経由で手続きをするため、すべて勤務先である会社へ申請します。
必要な書類
1歳に達する日からの延長、1歳6か月に達する日からの延長、それぞれで手続きが必要です。
必要な書類は主に下記の3種類あります。
➀育児休業給付金支給申請書
➁賃金台帳、労働者名簿、出勤簿など賃金額や支払状況を証明する書類
➂延長に必要な確認書類
➂の確認書類は育休延長の理由により必要な書類は異なります。
延長事由 | 確認書類 |
---|---|
保育所※1による保育が実施されない | 市町村により発行された証明書(保育所入所保留通知書 等)※2 |
養育を予定していた配偶者の疾病、負傷等 | 医師の診断書 |
養育を予定していた配偶者との別居 | 住民票の写しと母子健康手帳 |
養育を予定していた配偶者の死亡 | 住民票の写しと母子健康手帳 |
新たな妊娠による産前産後 | 産前産後に係る母子健康手帳 |
※2 保育の申し込みを行い、かつ1歳到達日の翌日(1歳の誕生日)または1歳6か月到達日の翌日において保育が行われていないことが確認できる市町村が発行した証明書等が必要です。
参考:育児休業給付金の延長申請について|厚生労働省
参考:育児休業の取得は、子どもが1歳になるまでです。|厚生労働省
育休を延長している間の給与はどうなる?
育休延長の申請先で解説したとおり、育児休業給付金の申請を行うことで、引き続き手当が支給されます。
育児休業給付金の支給額の計算式は下記の通りです。育休延長期間は181日以降の計算式で算出されます。
180日(6か月)までは休業開始時賃金日額×支給日数×67%
181日以降は休業開始時賃金日額×支給日数×50%
支給額には上限額と加減額があり、休業開始賃金日額の上限額は15,430円、下限額は2,746円です。(令和6年7月31日までの額)
支給日数が30日の場合の支給上限額と支給下限額は下記のとおりです。
(給付率67%)支給上限額 310,143円 支給下限額 55,194円
(給付率50%)支給上限額 231,450円 支給下限額 41,190円
ただし、育休中に一時的・臨時的に就業した場合は下記の計算式となり、支払われた賃金により下限額を下回ることがあります。
支払われた賃金の額 | 支給額 |
---|---|
休業開始時賃金月額の13%未満 | 休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数× 67%(50%※2) |
「休業開始時賃金月額」の13%(30%※1)超~80%未満 | 休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数× 80% - 賃金額 |
「休業開始時賃金月額」の80%以上 | 支給されない |
※2 育児休業の開始から181日目以降は給付率50%
まとめ
育休の延長に必要な手続きについて紹介しました。育休は原則子どもが1歳になるまで取得できますが、入園できる保育園が見つからないなどの場合、最長2歳まで延長できます。
勤める会社によって必要な手続きや書類が異なる場合があるので、延長が必要になった場合ははやめに会社へ相談しましょう。