保育士を目指し就活をしている方のなかには、「保育士の仕事は大変なのではないか」「自分に保育士の仕事は務まるのか」「保育士の仕事のなかでどのような点が大変か」など、不安に思う方もいるのではないでしょうか。
保育士の仕事は大変なこともありますが、保育士でなければ味わえないやりがいのある仕事でもあります。
この記事では、保育士が仕事のなかで感じる大変なこと、保育士が大変ななかでもやりがいを感じる瞬間について解説いたします。
保育士が仕事のなかで感じる大変なこと
保育士は子どもの命を預かる責任重大なお仕事です。そして子どもだけではなく、保護者や職員同士でのコミュニケーションも必要のため、人間関係で大変なこともあるでしょう。
まずは保育士が仕事のなかで感じる大変なことを紹介します。
職場の人間関係
保育園により異なりますが、保育士同士の上下関係が厳しい場合があり、職場内での人間関係で大変と感じている方が多いようです。
特に保育士1年目は、職場環境や人間関係に慣れていないため、大変と感じることが多いでしょう。
新しい環境に馴染むだけでも大変ですが、忙しくて指導が行き届いてていない保育園だと、先輩の動きを読んで、仕事を覚えなければなりません。
先輩保育士が指導をしてくれますが、先輩保育士も自分の業務があるため、分からないことを質問するタイミングが掴みづらいといったことも多いようです。
また、正規の職員だけではなく、パート保育士との関係が上手くいかないということもあるようです。保育士の経験年数や人生経験はパート保育士さんのほうがたくさん積んでいる場合が多く、「こんなやり方じゃだめ」と批判されたり、失敗したときにほかの職員に話しをされたりということもあり、新人保育士さんが苦労している場面もあるようです。
保育に対する価値観の違い
同じ保育士といっても、保育に対する価値観はさまざまです。
「どのように子どもに関わりたいか」「なにを大切に保育をしたいか」など、保育士は一人ひとり違う価値観を持っています。
保育の価値観の大きく違う人と保育園のなかで一緒に仕事をするのが辛いという声をよく聞きます。
保育の価値観の違いのせいで、保育が辛い、楽しくないと保育から遠ざかる方もいるようです。
「保育の価値観は人それぞれ違う」と頭で分かっていても、保育園では複数で担任にあたることが多く、お互いの保育の価値観の違いによるトラブルが起きてしまいます。
もし保育の価値観の違いでうまくいかなくなってしまったときは、話し合いの機会を持つといいでしょう。
保育の価値観が合わないと思っていても、よく話を聞くと、子どもへの思いやねらいは同じだったということもあります。自分の保育の価値観に固執せず目線を変えることで、相手の保育の良い面を感じられることもあるでしょう。そしてお互いの保育の価値観のすり合わせを行うことで、自分の保育の改善点が見えてくることもあります。
また、信頼できる先輩保育士や主任保育士に相談するのもいいでしょう。いいアドバイスをもらえるはずです。
保育園のカラーはさまざまです。働いててみてどうしても合わないと感じれば、ほかの保育園を探してみるのもいいかもしれません。きっと自分の保育の価値観にあった保育園があるはずです。
保護者対応
保護者からの保育士、保育園に対する要望対応を大変に感じることも多いようです。
・トイレトレーニングやお箸トレーニングを保育園ですべてやってほしい
・ホームページで保護者のみに公開している保育園で撮影した子どもたちの写真について、うちの子どもの枚数が少ないから気をつけてほしい
・間違えてお友だちに洋服を持ち帰られ、洗われたのが嫌だった
など、保護者からの苦情や要望は多岐にわたります。保育園側のミス以外にも要望がくることもあり、対応が難しいこともあります。
保護者からの要望の多くは「自分の子どもが大切でかわいい」というところから発していることが多いです。そのため、対応が難しい場合でも保護者からの要望をすぐには否定せず、一度思いを聞いたうえでこちらの事情を説明することが大切です。
そしてよく起こることは、子ども間でもトラブルや、それにまつわるケガなどです。保育園は幼い子供たちが集団で生活をしているので、おもちゃと取り合ったり、言い合って泣かせてしまったり、叩いたり噛んだりしてケガをしてしまうこともあります。
こういったトラブルが起きてしまったときの責任は保育士や保育園になってしまいます。
特にケガの場合、保護者へのしっかりとした報告が必要です。報告をする際には、トラブルが起きた状況を話しましょう。原因や保育士がした対処も報告します。そして、真摯に謝罪します。トラブルになった相手の名前を伝えるかどうかは、勤める保育園の方針によります。保護者から謝りたいので名前を教えてほしい、といった場合もあるので、施設長に確認する必要があるでしょう。
子どもたちの対応
子どもは大人の意向や予定などまったく気にせず、自由に行動するものです。
子どもが集まってくれず話を聞かないこと、製作やゲームなどの参加を拒むことなどよくあります。
保育園は、給食やお昼寝などの兼ね合いもあり、時間に縛りがあることが多いです。
保育士として働きはじめた頃は子どもたちが言うことを聞いてくれず、時間が押して焦ってしまうこともあるでしょう。
しかし、経験を積むにつれ、「こうしたらどうかな」というアイデアが出るようになります。
子どもたちがどうしたら興味を持ってくれるか、楽しんで行動できるか、をヒントに活動や声かえを考えるといいでしょう。
また、子どもたちは大人と違って忖度など気にしません。特に幼い子供たちは自分の感情のまま行動します。
友だちとケンカして嫌だったから噛んだり、絵本の時間でも外に行きたがったり、感情のままに行動することがよくあります。そのため、経験が浅いうちは子どもたちへの対応に苦労することが多いでしょう。
しかし、先輩や同僚のやり方を参考にしていると、だんだんと子どもの様子が分かるようになってきます。どうすれば子どもも楽しく活動できるか、試してみたいことが思い浮かぶようになるでしょう。
また、子どもの機嫌の悪さが体調不良からきていることもあります。保育士は子どもの様子がよく観察し、感情や行動の理由を考える必要があります。
保育士が大変ななかでもやりがいを感じる瞬間
保育士の大変に感じる大変なことについて紹介しましたが、大変だからこそ感じられるやりがいが大きい仕事です。
ここでは、保育士が大変ななかでもやりがいを感じる瞬間について紹介します。
子どもの成長を感じられたとき
保育士の一番のやりがいは子どもの成長を感じられたときでしょう。
着替え、身支度、食事、トイレなどさまざまな段階で「こんなことができるようになった!」という喜びがあります。
歩きだす様子も見られることもあり、そういった子どもの成長の瞬間に立ち会えたときはすごく感動するでしょう。
お話しが上手になってきたときも成長を感じられます。
特に話し始めの子が「ちぇんちぇ~(先生)」と呼んでくれたときは、喜びが大きいです。
また、使いたいおもちゃがあったときに「貸して」と言葉で伝えられるなど、やりとりが上手になるのも、より子どもの成長を感じられます。
そして、最後は子どものこころの成長を見られたときです。
小さい頃から見てきた子どもが、だんだんとお友だちと関わる様子を見られることも、とても大きなやりがいのひとつです。
それから年中~年長さんなどは、たとえばこま回しがうまくできなくても、諦めずに毎日練習してできるようになったりします。できないことを悔しいと思って努力する姿に、成長を感じられるでしょう。
子どもたちを卒園式で見送ったとき
見ていた子どもが成長して卒園し、巣立っていくときには、格別の思いを感じられます。
また、卒園でなく進級のときもその思いは強いでしょう。
子どもたちそれぞれの成長のほかにも、3月にはクラスとしてのまとまりもかなりできています。
大きく成長して卒園や進級をする子どもたちを見て、嬉しくて寂しいという感情が押しよせて涙がでてしまうこともあるようです。
卒園や進級の際に、保護者の方に、子どもと書いた感謝のお手紙をいただくこともあり、とても嬉しく、ずっと大事にとっているという保育士さんもいるようです。
行事を成功させたとき
多くの保育園では、入園式、運動会、誕生日会、発表会、クリスマス会、節分、ひなまつり、卒園式など、季節のイベントや毎年恒例の行事を行います。
普段の保育を行いながら、行事の計画・準備を行うため、保育士にかかる負担はかなりのものです。保育士にとって行事を行うことは負担が大きいのですが、頑張った分だけ、喜びや達成感も大きいでしょう。
子どもたちが楽しんでくれ、保護者から感謝されることも多く、やりがいを感じられるはずです。
行事でも、保育士同士のチームワークが大切です。企画・準備を一緒に行うので、チーム力もぐっと高まります。
子どもたちと準備や練習をすることもすごく楽しいでしょう。子どもの頃を思い出して懐かしい気持ちになるかもしれませんね。
まとめ
この記事では、保育士が仕事のなかで感じる大変なことと、大変ななかでもやりがいを感じる瞬間について解説いたしました。
たしかに保育士の仕事は、職場の人間関係や上下関係、保育の価値観の違い、保護者対応、子どもたちへの対応など、大変なことがたくさんあります。
しかし、子どもの成長を近くで見られることや行事の成功など、大変ななかでもやりがいを感じる瞬間がたくさんあります。
特に保育士として働きはじめた最初は大変だと思いますが、先輩保育士の仕事を参考にしているとできるようになっていく部分もあるので、気負いすぎないでくださいね。