保育士を目指している方にとっては「保育士の仕事内容を詳しく知りたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。
学校や実習先で知ったことや経験したことだけでは、保育士の仕事内容は具体的にイメージがしづらいところもあると思います。
しっかりと保育士として自分の働く姿をイメージすることができれば、実際に保育士として就職してから「そんなの知らなかった……」「働く前に知りたかった……」といった気持ちになることもなく、スムーズに社会人生活をスタートすることができるでしょう。
今回は保育士の実体験をふまえ、保育士の仕事内容を分かりやすく紹介します。
保育士の具体的な仕事内容や1日の流れが知りたい、保育士として働くイメージを明確にしたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
保育士の仕事内容
保育士の仕事内容は子どもと関わることだけではなく、そのほかにもさまざまな仕事があります。ここでは、保育士の仕事内容を大きく4つにわけて解説いたします。
子どもの保育
まずは子どもの保育です。保育ではさまざまな場面があります。子どもたちと遊んだり、生活をするなかで保育士として子どもたち一人ひとりが成長できるように関わることが大切です。
【保育の場面の一例】 | 育て方やねらいの一例 |
・外遊び | 運動機能の向上や人間関係づくり(コミュニケーション)。 |
・散歩(園外保育) | 自然に興味をもつ。自然に触れて遊ぶことを楽しむ。 |
・製作、歌 | 表現することを楽しむ。表現力、リズム感を培う。 |
・行事(集会) | 行事の由来を知る。友だちと一緒に活動する楽しさを感じる。 |
・食事、排せつ | 生活習慣の自立。 |
・午睡(お昼寝) | 健康維持。 |
・友だちとのかかわり | 発信する力、聞く力などコミュニケーション能力の向上。 |
保育士は、子どもたちの生活リズムを把握し、発達を理解しながら保育を進めていくことが求められます。
事務仕事
つぎに事務仕事です、「書きもの」と呼ばれる場合もあります。事務仕事では、計画表や振り返り、子どもの記録が中心になります。
まず、クラス運営する際に必要な「年間、月間カリキュラム(指導計画)」、「週案や行事(七夕、お楽しみ会、節分など)の計画書」があります。保育園により指導計画の呼び方はさまざまです。
また、子どもがケガをした場合の記録や子どもの成長を記録した要録なども事務仕事に含まれます。
このほかにも、子ども一人ひとりの「連絡帳」や保護者がお迎えのときに見る「今日の遊びの様子」などもあります。
就職する保育園によって書きものの書式や書き方はそれぞれですが、おおまかな事務仕事は以下の表をご覧ください。
【定期的につくるもの】 | 【機会に応じてつくるもの】 | 【毎日すること】 |
・年間カリキュラム ・月間カリキュラム ・週案 ・児童要録(半年に一度作成) ・個人カリキュラム(乳児クラス) ・おたより | ・行事の計画書 ・ケガの記録 ・懇談記録 ・保護者向けに行事予定の掲示 (持ち物や時間を知らせるもの) ・アレルギー児の献立表 ・写真の整理、販売 | ・今日のあそびの様子 ・個人連絡帳 ・日誌(保育の記録) |
自分の役割がクラス担任か、障がい児加配か、フリー保育士かによっても仕事内容は変わりますので、あくまで一例になります。
たくさんあって大変に感じるかもしれませんが、保育園には過去の記録が保存されていますので、それを参考にしながら「いまの子どもたちだったらどうかな?」「昨年は反省で〇〇があがっているから今年は気をつけるよう!」などと書きすすめていきましょう。
保護者対応
保護者対応とは保護者とのやりとりのことで、保育士がとても気を遣う部分でもあります。
連絡事項を伝える、保護者の要望や意見に応えることに加え、子どもの成長をともに喜ぶ姿勢がとても重要です。
保護者にとって我が子の成長を喜んでくれる保育士は親しみを感じてもらえるでしょう。保育士と保護者はともに子育てをするパートナーとして健康面や情緒面などを共有しながら子どもの成長にむけてコミュニケーションをとっていけるといいですね。
実際に保護者対応をするときは、子どもが熱中していることや好きな遊び、頑張っていたことなどを伝えるといいでしょう。
保護者に「自分の子どもを見てくれている」といったメッセージが伝わり、保護者と信頼関係ができるきっかけになるはずです。
保育準備
さいごに保育をするための準備です。
子どもは保育士が用意した環境のなかで遊びます。子どもが興味のありそうなおもちゃを用意したり、落ち着いて遊べるように棚や机の配置を考えたりと遊びの環境を整えていきます。行事や季節ごとの部屋の装飾も保育準備の仕事のひとつです。
製作活動や畑で野菜を植えるなど、活動に応じた準備が必要なので範囲が広いですが、経験を重ねたり過去の記録を参考にしたりすることで、やるべきことが分かってくるでしょう。
実際に保育準備をするときは、自分のなかで記録やメモを残すと2回目に同じ作業をするときにスピードがあがり、効率的に動けるようになります。
保育準備がしっかりできていると、保育をするときのイメージも自然と持つことができるでしょう。そのため、丁寧に保育準備をすることをおすすめします。
1日の流れ
勤める保育園や自分の役割によって異なりますが、1日の流れの例を紹介いたします。
時間 | 子ども |
7:30 8:30~9:00頃 11:00頃 11:30頃 12:45頃 14:15頃 15:00 16:30 19:00 | 登園 →自由遊び [水分補給]牛乳を飲む(0、1、2歳児) お茶を飲む(3、4、5歳児) 遊び or 集会 給食(0、1、2歳児) 給食 or 弁当(3、4、5歳児) お昼寝(5歳児クラスはお昼寝なし) 起床 おやつ(牛乳とおやつ) 自由遊び →順次降園 全員降園 |
子どもの保育時間は各家庭、保護者の勤務状況によってさまざまです。
食事や遊びの時間は各クラス、各園で異なるため、あくまでも目安になります。
保育士の繁忙期
1年間の流れのなかで、保育士には繁忙期と呼ばれるとても忙しくなる時期があります。
主な下記3つの繁忙期について紹介します。
・春:年度の切り替わり
・秋:運動会、園族
・冬:発表会前(冬の参観日)
春:年度の切り替わり
子どもたちが進級し、新しく入園する時期です。保育園は幼稚園のように春休みがないので、年度の切り替わりは新クラスの準備と日常保育を平行して行わなければならないため、いつもより仕事量が増える傾向にあります。
秋:運動会、遠足
秋は運動会や遠足などの行事が多いため、ひとつの行事が終わって、またすぐにつぎの行事の準備がはじまるといったように、きちんと計画を立てていても、バタバタとなりがちなのがこの時期の特徴です。
子どもは行事を経験するなかで大きく成長するので、しっかりと計画し実行していきたいですね。
冬:発表会(冬の参観日)
発表会は1年の集大成といっても過言ではない行事です。作りものであったり、子どもの演技の構成であったりとすることと考えることが増えます。
また、この時期は多くの保育園で児童要録を書く時期になっているので、忙しくなる傾向にあります。
まとめ
保育士の仕事内容や1日の流れについて紹介しました。
意外と事務仕事といった保育以外の仕事が多いと感じたのではないでしょうか。
「保育士はなんでも屋さんだよね」と言われることもあり、保育士の仕事を経験していくうちに知らず知らずのうちにいろいろなことを知ることができます。
保育士の仕事だけではなく、どんな仕事も同様に忙しさや大変さがあります。ただ、子どもの成長に感動するなかで得られる「やりがい」はほかでは得られないものがあります。
保育士の仕事内容や1日の流れは保育園によってさまざまです。1つのところが合わないからといってすべての保育園で通用しないわけではありません。
子どもも自分も大きく成長できる職場を見つけられるといいですね。