保育士の就職活動でよく聞かれる質問に、自己PRがあります。控えめな人ほど、「自分で自分をほめるなんて恥ずかしい」と悩んでしまうかもしれませんね。
しかし、自分のいいところを採用担当者に知ってもらうことは、就職活動においてとても重要です。
この記事では、自己PR文の書き方と例文を強み別にまとめています。就活中の保育学生の皆さんは、参考にしてみてください。
自己PRとは?基本を理解しよう!
自己PRとは、簡単に言うと「自分を入職希望先に売り込むための宣伝」のようなものです。自分の長所や特技などを園側に示し、「私はこのような面で仕事に貢献できます」、「私はこんな魅力がある人材です」とアピールするのです。
自己PRは、エントリーシート、履歴書、面接など就職活動のあらゆる場面で登場する可能性があります。就活で印象的な自己PRができれば、大きな武器になることでしょう。
文の構成は「結論→エピソード→将来への展望」
自己PRで書きやすいとされる文章構成は、以下のようになっています。
①自分のPRポイントを最初に書く(私の強みは〇〇です。私は〇〇ができます。など)
②PRポイントが伝わる具体的なエピソードを挿入する。
③この特徴をどのように将来に役立てていきたいか、保育士の仕事と絡めて書く。園の保育方針や特徴にあっているという点を強調するとより良い。
強み別の自己PRまとめ
ここからは、強み別に自己PRの書き方ポイントと例文を紹介していきます。あくまで仮のシチュエーションなので、自分の強みを具体的に表現する際の参考としてみてください。
✳︎性格別の自己PRについて知りたい方はこちらをご覧ください。
協調性
協調性というのは、「友達と仲がいい」という話とはまた別のものです。ともすれば、「周りに流される受け身な人」と捉えられかねないワードでもあります。そのため、協調性をアピールするときには、積極性も合わせて盛り込むことがポイントです。以下では、意見が異なる相手とどのように協力していったのかというエピソードを取り上げています。
【「協調性」のアピール例文】
私の強みは、人の意見をよく聞き、異なる意見の人に対してどのようにアプローチすべきか考えられるところです。
私は、短大の文化祭で、実行委員に立候補しました。例年、文化祭に参加しない学生がいることが気になっていたからです。文化祭は、任意参加ではありますが、夜遅くまで準備する人がいる一方、当日にも姿を見せない人がいるため、校内の雰囲気は2極化していました。
そこで私は、文化祭についてのアンケートを取り、参加したくないという学生についてはその理由を聞いてみました。すると、アルバイトや勉強で忙しいこと、準備に参加していないのに当日だけ参加するのは申し訳ないと思っていることなどが分かりました。決して、文化祭自体に興味がないわけではなかったのです。
そこで私は、文化祭の準備作業を細分化することを提案しました。「一日〇〇係」というように、少しの時間でも準備に関われるようにすることで、忙しい人でも文化祭の準備に参加しやすくしたのです。すると、文化祭への参加率は前年比50%増となり、多くの学生が文化祭に参加するようになってくれました。
たくさんの人が集まる保育現場では、意見の食い違いが生まれることもあると思います。私は、同僚や保護者、そして子どもひとり一人の意見をよく聞いて、みんなが納得できる解決法を探す努力をしていきたいと思います。
向上心
保育士は、自己研鑽が求められる仕事です。目標を持って行動できる向上心は、とても大事な要素と言えます。向上心を自己PRに使うときは、最初の目標と、それを達成するためにどのような行動を起こしたのかを具体的に表せるようにするといいでしょう。
【「向上心」のアピール例文】
私には、一度決めた目標に対して努力していく向上心があります。
高校1年生で参加した保育園での職場体験をきっかけに、私は、保育士を目指すことを決めました。しかし、今までピアノを習ったことがない私にとって、短大保育科の入学実技試験は大きな壁でした。慌ててピアノの教室に通い始めたものの、子ども向けの教本すらまともに弾けず、大きな挫折感を味わいました。
上達するためには、自宅での練習時間を増やすしかない。そう考えた私は、毎朝1時間早く起きて早朝練習をすることにしました。また、宿題はなるべく学校で終わらせ、帰宅後はピアノの前に座り続けました。「大人になってから始めるピアノの教材」や「保育園で使う手遊びの楽譜」などを使い、楽しんでピアノを続ける工夫をしました。その結果、保育科の入学実技試験に無事合格することができました。短大のピアノの授業で、「高校生からピアノを始めたとは思えない」と先生に褒められたときは、とても嬉しかったです。
保育の現場には、ピアノの技術以外にも、障害児対応、保護者対応などこれから学ばなければならないことが山ほどあります。私は、この向上心を生かして、保育に必要なさまざまな分野について貪欲に学んでいきたいと思っています。
気配り
気配りという言葉は、とても曖昧なものです。わかりやすくアピールするためには「気配りができる」という一言を、もっと具体性のある別の言葉に置き換えたほうがいいでしょう。
また、相手のために気を利かせたつもりでも、された相手にとっては「余計なお世話」であることも十分あり得る話です。気配りを自己PRに使うのであれば、客観的に見て「気配りが成功している」と考えられる経験を盛り込むといいでしょう。
【「気配り」のアピール例文】
私の強みは、相手の表情やしぐさから何をしてほしいか気持ちを汲み取り、要望に合わせた行動を取ることができるところです。
この強みは、私の祖母が育ててくれたものです。祖母は、私が物心つく頃に大病をし、言葉を話すことも、音を聞くこともできなくなっていました。会話によるコミュニケーションができないため、祖母は、私を含め家族に対していつも遠慮がちにしていました。
ある日、祖母の食事の様子がどことなく変に感じた私は、どこが変なのかを観察してみました。すると、いつまでも口をもごもご動かしているばかりで全く箸が進んでいないのです。私は、「もしかすると食材が大きすぎるのでは」と思い、食材を少し細かくして祖母の皿の物と取り換えてみました。すると、祖母は非常にうれしそうな顔をして、箸を動かしだしました。その表情が嬉しくて、私は祖母をより深く観察するようになりました。そうするうちに、足が痛い、眠い、喉が渇いた、などの気持ちを察して、それに合わせた行動ができるようになったのです。
幼い子どもたちは、自分の気持ちを言葉や行動ですぐ表現にできないことも多いと思います。保育士として子どもたちの様子を見守りながら、どんなことを伝えようとしているのかを理解できるよう努めていきたいと思います。
行動力
保育士の仕事は、慣例通りにすればそれで終わり、ということは決してありません。新しいことにチャレンジする行動力は、保育を新鮮かつ楽しくするためにとても重要な要素となります。
行動力のアピールには、「どうしてそんなことをしたのか」という動機と、どのように行動したのかという具体性が大事です。この2つが伝わるエピソードを選んでください。
【「行動力」のアピール例文】
私の長所は、目標を実現するための行動力があるところです。保育士が夢だった私は、高校の頃から子どもと関わることができる場所を探していました。しかし、高校生では保育補助のアルバイトに採用してもらうことはできませんでした。
そこで私は、仲間を集めて「絵本研究部」を創設しました。最初の活動内容は、いろいろな絵本を読み、絵本紹介の新聞を作ることでした。そして、制作した新聞を保育園や児童館、図書館に置いてもらえるように交渉しました。その際、各施設で「絵本の読み聞かせボランティアをやらせてもらえませんか」と頼んでみました。すると、図書館と2か所の保育園で読み聞かせをやらせてもらえることになりました。子どもたちの反応を間近で見ることができるので、次の絵本選びにもハリが出ます。創部2年目には、オリジナル絵本作りにも挑戦し、子どもたちにとても喜んでもらえました。
この経験から、「チャレンジ精神を持った子どもを育てていく」という保育方針を掲げている貴園にて、自らが新しいことに挑戦する保育士として、子どもたちの指針になるように努力していきたいと考えています。
責任感
保育士の仕事は子どもの人格形成、そして命に関わる責任重大な仕事です。責任感は、保育士の自己PRに使いやすい要素と言えるのではないでしょうか。
アルバイトやボランティアなど、一定の責任が生じる活動経験をベースにすると書きやすくなるでしょう。
【「責任感」のアピール例文】
私は、4年間続けた家庭教師のアルバイトで責任感を培うことができました。4年間のうち、高校受験生を3人受け持ちましたが、自分の教えた内容がその子の人生を左右すると思うと大きなプレッシャーでした。しかし、ここで投げ出してはいけないと教材研究に努め、事前の予習や宿題の工夫などを重ねていきました。その結果、3人とも志望校へ無事送り出すことができました。
また、あまり学校に行けていない子や、進学先に悩んでいる子など、言葉がけひとつで信頼関係を損ねてしまいそうな生徒もいました。そんなときは、丁寧に話を聞き取り、子どもの気持ちに共感するやり取りを心がけました。どんな生徒に対しても向き合う努力ができたと自負しています。
保育園に通う子どもたちは、人生の価値観が育つ大事な時期にあると考えています。子どもひとり一人と真摯に向き合い、日々の保育に責任を持って取り組んでいきたいと思っています。
あなただけの自己PR文を書いてみよう
自己PR文は、あなたの良さを採用担当者に分かってもらうための貴重なチャンスです。「面倒だ」、「恥ずかしい」などのネガティブな気持ちから、ありきたりの文章を書いてしまうようではもったいないです。自分に自信のない人は、思い切ってご両親や先生がた、友達などの近しい人たちにあなたの長所を聞いてみてもいいですね。思わぬ発見があるかもしれません。
あなた独自の強みを生かしたステキな自己PR文を考えてみてください。