履歴書の自己PRは、採用の合否を分ける大きなポイントです。
しかし、いざ自己PRを書こうとしてみると、何をどのように書けばいいのか悩んでしまいますよね。
この記事では、新卒保育士の方に向けて自己PRの書き方や注意点を紹介します。
作成のポイントはズバリ、「自分を採用したときのメリット」を書くことです。
保育士の履歴書に自己PRが求められる理由
自己PRは、「自分を採用すると、どのようなメリットがあるのか」を採用側に伝えるための文章です。
そのため、これまであなたが経験したことや学んだことを生かして、どんな貢献ができるのかを具体的に書くことが求められます。
採用担当者は、「やる気があります!」と言われただけでは、どんな貢献をしてくれるのか想像ができません。
逆に、採用したあとの姿を採用担当者にイメージさせることができれば、次のステップに進める可能性はグッと高まると言えるでしょう。
保育士における自己PRの書き方
自己PRの書き方の例として、①強みや性格、価値観、②その根拠となるエピソード、③仕事にどう生かすかの3つのパートに分けて解説します。
①【強みや性格、価値観】
私の強みは体力です。
②【その根拠となるエピソード】
高校では、体を動かすことが好きなので、バスケットボール部に所属していました。レギュラーになりたかったので、誰よりも早く朝練に行くと決めました。3年間、毎朝5時に起きて朝練を欠かさず続けました。レギュラーになることはできませんでしたが、健康管理に自信がつきました。
③【仕事にどう生かすか】
この経験を活かし、身体を動かす楽しさを自ら体現することで、貴園の「健やかな身体づくり」というビジョンに貢献します。
大切なことは、①から③までが矛盾なく繋がるように書くことです。
必ずしもこの順番で書く必要はありませんが、書き方に悩んでる方は参考にしてみてください。
長所や強みなどのアピールポイント
まず、あなたの強みを伝えましょう。
たとえば、「ピアノや歌に自信がある」、「体力がある」など、保育士の仕事に生かせる強みはいろいろあります。
「明るい」、「忍耐力がある」などの性格面や、保育に携わる上で大切だと思う価値観などもアピールポイントです。
【保育士に活かせる強み・長所一覧】
・明るい、活発
・継続力、忍耐力がある
・協調性がある
・共感力がある
・責任感がある
・ピアノや歌に自信がある
・体力がある
優れている点を知るにためには、自己分析を行い、自分について理解を深めましょう。
自己分析を行うときは、過去から現在までを時系列で振り返る「自分史」を作成する方法が簡単でおすすめです。
自己分析の詳しい方法についてはこちら↓の記事を参考にしてください。
もし、自己分析をしても決められない場合は、「志望する園で生かせる特徴は何か」を考えてみましょう。
どの園の求人募集にも、「こんな人がほしい」という採用基準があります。
求人案内や園のホームページを見て、どんな人材が求められているのか確認することで、自己PRのヒントが見つかるかもしれません。
根拠となるエピソード
次に、長所や強みを裏付ける根拠を示します。
これまでの学生生活やアルバイトから、何を経験し何を学んだか。そしてどのような結果になったのか……。
実績や資格で示すことができれば説得力が増します。とくになければ、関連するエピソードを書くといいでしょう。
特別な事でなくても大丈夫です。どんなに些細なことでも、あなただけのかけがえのない経験なので自信を持って書きましょう。
たとえば、部長やバイトリーダーをしていなくても、部員やスタッフとして経験したり感じたりしたことがあるはずです。
もちろん、失敗したことや挫折したエピソードでも問題ありません。
大切なのは、その経験を経て、どう感じてどう行動したのかです。
具体的に書くことができれば、「〇〇ができます。」とただ書かれているよりも、説得力のある自己PRになりますよ。
長所や強みを仕事にどう活かすか
エピソードで書いた経験や学びを生かし、志望する園でどのように貢献できるかを考えます。
採用の場では、応募者が採用後にどんな活躍をしてくれるかについて、重点的にチェックします。
たとえば、自由保育に力を入れている園の場合、子どもが自由に遊べるような環境設定を行うことが多くあります。そこで、危険をすぐに察知し、気配りができることをアピールすれば好印象になるかもしれません。
志望する園の特徴は、ホームページや求人案内から調べることができます。
「あなたができること」と「園でできること(園の方針)」を一致させることを意識して、長所や強みを仕事にどう生かすのかを考えてみましょう。
自己PRの例文
それでは、ここまでを踏まえて作成した例文を紹介します。
新卒の場合は、スキルよりも人柄や積極性が重視されるので、保育経験がないことは問題ではありません。
学生時代の経験や特技を踏まえ、志望する園でどのような保育士になりたいかを考えるといいでしょう。
例文で共感できるもの、または自分流にアレンジできるものがあれば活用してみてください。
強みをアピールした例文
【強み】
私は、持ち前の「明るさ」と「笑顔」で人を元気づけることができます。
【根拠】
大学生時代は、4年間イベントスタッフのアルバイトをしていました。イベントに訪れる人たちに、より楽しんでほしいという思いから、マニュアル通りの会話ではなく「今日は楽しんでいますか?」、「その帽子かわいいですね」などと、声かけを工夫しました。その結果、後日対応したお客様から「笑顔が素敵で元気をもらいました」とお礼状をいただきました。
【今後どう活かすか】
思えば、私が幼少の頃、保育園で先生が「〇〇ちゃん、今日も笑顔が可愛いね」といつも話しかけてくれることが嬉しくて、それが今の私の性格に影響を与えています。先生がそうしてくれたように、私もたくさんの子どもを「明るく」、「笑顔」にしたいと思っています。「子ども一人ひとりの笑顔をはぐくむ」という理念を掲げる貴園でなら、私の夢を実現できると考えています。
志望する園の方針に沿った経験や能力をアピールしましょう。
園の求める人物像に近ければ近いほど、好印象を与えられます。そのために、園研究と自己分析をしっかり行い、強みを洗い出しましょう。
価値観をアピールした例文
【価値観】
私は、自己管理を徹底することをモットーとしています。
【価値観が形成された経験】
初めて保育実習を経験した際、私は学業と課題を完璧にこなそうと必死でした。毎日のように深夜まで授業の復習や記録簿の作成にあたっており、子どもの前で体調を崩してしまいました。この失敗を機に、食生活や睡眠時間に気を配るなど、自己管理を徹底するようになりました。そうすることで、体調不良を起こすことがなくなり、以後一度も休むことなく学校も実習もやり切りました。
【今後どう活かすか】
貴園においても、保育士は体が資本という学びを生かし、いつも元気に働けるように心がけ、子どもたちが安心して過ごせる保育を行います。
「失敗をどのように乗り越えたのか」を伝えることで、失敗を生かして成長できる人材という印象を与えられます。
ただし、取り返しのつかないミスや、一緒に働くうえで不安になるような出来事は、要注意人物というイメージを与えかねないので注意しましょう。
保育士の自己PRを書く際に気をつけること
最後に、自己PRを作成する際の注意点を紹介します。
アピールポイントやエピソードを複数盛り込むのはNG
アピールポイントは、ひとつに絞りましょう。また、アピールポイントに対するエピソードもひとつにします。
複数あると内容が薄れてしまい、結局何を言いたいのか採用担当に伝わりません。「話をまとめられない」という評価につながる恐れもあります。
確かに、自分のいいところをたくさん伝えたくなるのが就活生の心情です。しかし、ひとつのアピールポイントにひとつの具体的エピソードで裏付けられている自己PRの方が、伝わりやすく丁寧です。
以下の例を見てください。
<悪い自己PRの例>
私の強みは、チームワークを大切にしながら仕事に取り組めることです。行事やイベントのたびに起きるメンバー同士の意見の対立を改善するために、自分から積極的にコミュニケーションを取ったり、話し合いの場を設けたり、仲間同士が話しやすいと思える雰囲気づくりに努めました。また、私は中学生の頃から吹奏楽部に所属しているので、ピアノや歌などの音楽性に優れていると自負しています。ピアノが得意で歌うことも好きなので、音楽を通じて子どもに歌う楽しさや歌の持つ力を伝えたいと思っています。なぜなら、保育実習の際に音楽の重要性を実感したからです。
いかがでしょうか。読み終わった後にこの人の強みがなんだったのか、またどんな人柄なのか印象に残らなかったと思います。
伝えたいことが複数ある場合は、思い切ってひとつに絞り、そのエピソードを深掘りしましょう。
分かりにくい表現はNG
極端な例ですが、「協調性」があることを伝えたい場合、「異なった環境や立場にいる人と、譲り合って協力できる力」という表現にすると、理解しづらく内容が伝わりません。
長所のような最もアピールしたい内容は、できる限り簡潔に伝えましょう。
たとえば、「私の長所は、協調性があることです」のように、誰が聞いてもすぐに理解できる分かりやすい言葉を選んだ方が伝わりやすいです。
過剰に内容を練る必要はなく、読みやすく丁寧な書き方が第一です。
自己PRを書き終えたら、もっとわかりやすく表現できる箇所はないか再確認しましょう。
自分らしい強みをアピールして自己PRをつくろう!
自己PRを書く際のポイントは、あなたを「採用したときのメリット」を伝えることです。
そのために、経験したことや学んだことを、志望する園でどのように生かすことができるのか具体的に書くようにしましょう。
書き方の例は、①強み、②根拠、③仕事への活かし方の順で矛盾なく繋がるように書くことです。
その際は、志望する園の方針や特徴を確認して、「あなたができること」と「園でできること(園の方針)」を一致させましょう。
新卒の場合は、スキルよりも人柄や積極性が重視されるので、保育経験がないことは問題ではありません。過剰に内容を練る必要はないので、読みやすく丁寧に書くことを心がけて、あなたの強みをアピールしましょう。
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