注目の園紹介

100年変わらぬ保育の本質。保育園という「場」から生まれる地域の育みあい

人生100年時代を生きるみなさんに、よろこびに満たされた心の豊かさを

第三者評価者として多数の施設を訪問するなかで、手前味噌ですがうちの先生たちがいかにすばらしい保育をしているのか、保育にかけるすばらしい思いをもっているのかを実感したことがきっかけです。
先生たちが積み重ねてきてくれた保育をもっと知ってもらい、一人でも多くの子どもたちによりよい育ちの環境をつくりたいと考えました。
ちょうど横浜市で「待機児童ゼロ作戦」が打ち出されていた時期だったので、まずは横浜に…と2006年に横浜りとるぱんぷきんずを開園しました。
清香会が掲げている「保育のコンセプト」、そして「3つのWIN」(子どもと保護者、職員、法人それぞれのWIN実現を目指すこと)はこの時期に生まれました。
法人の安定は子どもたち、職員たちを守るために欠かせません。そのために複数園を運営し、基盤を安定させたいという考えから新規開園、拡大へとつながりました。

これからは福岡と関東という拠点を活かし、職員同士の交流から視野を広げていったり、今後は在園児の親子の交流等、さまざまな仕掛けをやっていきたいと思っています。

ありがとうございます。うれしいですね。職員は現場で本当に頑張っていますから。

いつも素晴らしい職員に恵まれていることに感謝しています!

保育者にはすばらしい力があります。子どもたちとのコミュニケーション、保護者との、職員同士の、さらには地域の方々との。そうしたさまざまな立場、考えのひとたちと、相手の心情を理解してコミュニケーションをとる力というのは、保育者の強味です。

そうした人と人を分かち合い、つながっていく力を社会の中でもっと発揮していってほしいと思います。

保育という仕事は、年齢を重ねても周囲から求められる素晴らしい職業です。保育という仕事に誇りをもって長く勤めてほしいですね。


先ほどもお話しした私の母は、91歳で園長を務めています。

これは仕事を通して、自分のためではなく人のために生きられているよろこびがあるからだと思います。ドーパミンが出るような一時的な嬉しさではなく、心の奥深くでよかったなと感じられるのは、人とのかかわりのなかでお役に立てたときです。多くの人との関わり、関係性のなかでよろこびを感じ、心が豊かになり、生きがいを感じる。「役に立つ」というのは、人生100年時代にすごく大事だと思います。

そういう意味で、保育園は「場」になります。

この場所で、子どもたちも職員も保護者も豊かな人との関わりを得て、役立つよろこびを感じられる人生を歩んでもらいたいなと思います。

どんな人にも、無限の可能性がある

園理念として掲げている「無限の可能性を信じ、共に育ちあう個と公の集団」という言葉における「無限の可能性」、これは子どもに限ったことではありません。あえて「子どもの無限の可能性」とは書いていません。
何歳になっても、人には無限の可能性があります。
私たちの園は、子ども、保護者、職員が常に育みあい育ちあっている「場」を目指しています。

園という場所があって、その場所を提供することでご縁がつながって集まったひとたちがすべて、ともに育ちあい、そして街が育つ…その中心となる園をこれからもつくっていきたいと思います。
国がどうにかしてくれると思うのではなく、私たちが園という「場」から街をつくる、子どもたちが生きる社会をつくる。そういう思いでいます。

先ほどもお話ししたように、100年後この社会がどうなっているかは誰にもわかりません。
子どもたちが20年後に社会に出たときのことを想像し、老年になったときに心豊かで生きがいを感じていられるような人との出会いにつながる「場」をつくっていきたい、と。

自分の可能性に蓋をせず、自分なりの役割を持ち、社会のなかで人の役に立つことで、本園の園長は90歳を超えてもまだまだ現役ですから、私もまだまだこれからです。

私自身が母として、祖母として、園長として、理事長として…人生のなかで役割が変わっていくなかで大事にしていることは、自分の可能性を信じることです。自分の人生を生きられるのは自分だけ。人に任せることはできません。人生を振り返っても、心に大打撃を受けるような経験もしましたし、大きな病も経験しました。そのようなさまざまな経験を通して「何のために生きているのか」「自分がどう生きていくのが自分として心豊かなのか」考えるようにもなりました。

またその際に気づいたことは、「なぜ私だけがこんな目に・・」「あんなことさえなければ・・」等、問題や課題を外に向けて責任転嫁していると、結果自分を苦しめることになるということです。問題や課題は自分事としてとらえることができれば、自分が変われば問題も解決していきます。しかし、外部に責任転嫁していると外部が変わることを待たなければなりません。そうなるといら立ちや怒り等の負の気持ちが生じ、結果自分を苦しめることになります。自分の課題は自分の中にあり、自分が乗り越えることが大事だということに気づけば、この出来事は自分の成長のチャンスであり、むしろ有難いことだと捉えられ、前向きな気持ちが自分を支えることにもなりました。

また、自分は自分だけでは生きていないということも痛切に感じる機会にもなりました。たくさんの人の支えがあってこそ生かされている。周囲への感謝の気持ちを今まで以上に感じられ、私が今世でやるべき役割をしっかり果たしていこうという強い気持ちを持つこともできました。

過去と現在と未来は、いつだって変えられると思います。

過去は変えられないといいますが、出来事は変わらなくても、捉え方は変えられます。

捉え方が変われば、そのとき苦しくて仕方なかったことも、今思えば自分の転換点であり、それがあったから良い方向に進んだと、苦しみではなく試練だったのだと捉えなおすことができます。

未来も同じように、将来や老後の不安にかき立てられることがあっても、「輝く未来が待っている」と捉えなおすこともできます。


これからのみなさんには、自分を大事に、ご縁を大事にしてほしいです。人って本当にすばらしいですよ。過去にとらわれず、執着せず、自分の無限の可能性と未来の希望を信じて、人生をおもしろがって生きてほしいと思います。

りとるぱんぷきんずが、そのためのご縁をつなぐ、人とのかかわりをつなぐ「場」であれたらこれ以上のよろこびはありません。

(取材・文:山口美生、撮影:根本和大、編集:ホイシル編集部)

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