注目の園紹介

「つながる保育研修」から広がる、持続可能でインクルーシブな街の形

実践している保育者が保育を楽しみ、手応えを感じているから「うねり」が生まれる

岡結美枝さん(以下、岡さん):今思えば研修受講前は、つながる保育についてよくわかっていなかったように思います。
自分のなかにある知識だけでぼんやりとしたイメージで「つながる保育」をしていて、子どもたちが限定的な答え方しかできないような質問をしてしまっていました。
研修ではオープンクエスチョンの仕方から学べ、実践につなげやすかったです。

実践できるようになり「保育が楽しくなった」と岡結美枝さん

岡さん:オープンクエスチョンってこうやるんだと教えてもらって終わりではなく、他園から参加されている仲間と相談できる時間もあったので、より実践しやすかったんじゃないかと思います。
うまくいかなかったこともシェアすることで、こういうときはこうした方がいいんじゃないとお互いにアドバイスし合い、保育の現場に持ち帰ることができました。

岡さん:子どもたちの興味・関心を拾い、それを深掘りする。サークルタイムやオープンクエスチョン、さまざまなかかわりの中で探究が深まっていく…と「つながる保育」の過程を意識しながら保育を進められるようになり、保育が楽しくなりました。事前に、こういう問いかけをしたらこういう答えが返ってくるだろうなって見通しをまず立てるんですよ。で、それらを踏まえて環境を準備するんです。
実際に想像通りの答えが返ってきたら「よしよし」という楽しさがありますし、予想外の反応があってもそれもまた楽しいです。自分が考えていた反応以上のことを子どもたちが返してくれたら、それをきっかけに「こういうことにもつながるな」「あ、次はこんなこともできそう」と一人ではたどりつけなかったところにまで発展していくのも楽しいですね。

青木さん:子どもの主体性を尊重するには、保育者の側にも主体性が必要です。子どもの反応を受けて、次の問いを投げかけるのは、主体性がないとできませんから。保育者の主体性があるからこそ、子どもの主体性が発揮されるんです。その実感は、保育者のやりがいにつながります。

岡さん:そうなんです。実践の方法がわかって、保育が発展するとどんどん楽しくなって……。研修に参加するまでは、「つながる保育」について悩む時期もあったんですが、研修を受講して実践を積み重ねた今、なんか楽しくなってて、同僚からも「最近楽しそうやね」って言われて、ほんまに楽しんでるんだって自覚しました。

「私から見ていてもすごく楽しそうになったよ」と保育安全部で乳児研修をプロデュースしている青木美佳さん

霧が晴れるように目の前が広がり、次第に深まっていく

岡さん:研修を通して、保育を通して見る世界がばーっと広がり、その中からねらいの的が絞られて、だんだんと深まっていったように感じています。
現場でも同僚から「つながる保育」について話を聞くんですけど、日常の保育の中では細かく教わる時間もあまりありません。しかし、学びと実践をくり返すことで「つながる保育」が自分のものになっていきました。受講したことのない職員には、ぜひ受講して、この手応えを体感してもらいたいと思っています。

青木さん:「つながる保育」は「つなげる保育」ではないという点は大切なポイントです。つなげていこうとすると保育者も苦しくなっちゃうし、子どもの意図を読み取れずに、大人のやりたいことに方向をシフトしてしまう。子ども理解からはじめて、大人が「つなげよう」とするのを抑えて、子どもたちの興味・関心から自然とつながっていくことが大事なんです。子どもの声を聞いて、それを元に保育を進められることで、保育者は自分の保育に手応えを感じてワクワクしてくる。保育者も保育を楽しめるようになる。
岡さんのようにこうして手応えを感じて心から保育を楽しんでいる先生が増えていくと、うねりがどんどん広がると思うんですよね。
岡さんをはじめ、研修に参加した保育者たちは「こうすればいいんだ!」と理解して実践者になり、さらには自園につながる保育を広げてくれており、実践の成果を感じています。

<次のページ:変化のうねりは学童保育へ、世界へと広がる>

タイトルとURLをコピーしました