子どもたちの未来へつながる グループ園があるからこそできる学び合い
ーこうした変化をプロケア本部でも感じられていたから、今回インタビューのご依頼をした際に「ちゃいれっく入船保育園で」とご指定いただいたのでしょうか?
下牧さん:そうですね。プロケアのなかでもモデル園にしたいと思っています。
公開保育をきっかけに、先生方が同じ方向に向かって取り組むと、こんな風に園全体が輝いていくんだというよい変化がすごく見えてきました。
ー子ども起点で変わっていくとなると、モデル園として展開していこう…と法人として決めたときに、「同じように」はできませんよね?
下牧さん:これまでもプロケアでは、本部から「こうすべき」と押し付けることはしていませんが、入船保育園も本部から押し付けられていたらこんなにいい変化は生まれていなかったんじゃないかと思います。
現場の先生たちが主体となって変えていく、そのエネルギーがないとこうはならないと実感しています。先生たちから強い思いが出てきたとき、それが園が変わっていけるときなのかなと思うんですね。
どの園でもそれを体感してもらいたいし、体感することによって保育が楽しいって思えるようになってほしいんです。
なによりそれが、子どもたちが保育園での生活を楽しみ、保護者が「この園いいね」と思ってくださることにもつながると思います。
そのために私たちにできるのは、変わるきっかけをほんの少し、提供することかもしれません。
早津さん:こうした一連の取り組みと変化をみて、職員研修においても組み立て方を変えることにしました。
これまで本部で決めていた研修計画をプロジェクト化し、現場の先生、園長先生方にも参加していただき、「現場で本当に求められている研修はどういうものだろう」「この研修はなんのためにやるんだろう」というところをともに考えました。
ー現場の先生の声を聞くようになって、大きく変わったところはありますか?
早津さん:こちら側が考える、「現場の先生にこう学んでほしい」という思いと、受け取る側の思いにずれがあったと気づけましたね。
意見交換会は遠くにお住まいの支社の先生たちも一緒に3時間の会を5回実施したのですが、こちらの思いやその研修を企画した背景が伝わっていなかったことがはっきりわかりました。同じように、先生たちのなかにも伝えきれていない思いがたくさんあったのですが、すぐには言いづらいということもあり、回数を重ねました。
下牧さん:次第に先生たちの率直な意見も出てきて、「こんなことでも困っています」「あの研修はあまり必要なかった」と聞くことができ、その上で、現場に負担なく研修を最大限活用してもらうにはどうしたらいいのかと建設的な話ができ、濃厚な時間になりました。
市川園長:研修って、当たり前だけどただ受けるだけじゃ意味がないかな。自分の体のなかに一つだけでも入ってくるかが大切かなと。だから、こうやって現場と本部が一緒になって考えることで、研修の目的や企画した本部の思いが伝わり、現場の意見を届けられ、お互いに少し分かり合えたことで、捉え方も変わったんじゃないでしょうか。
ー本部として、「現場がこう変わったから本部も変えていこう、全体で変えていこう」と柔軟に取り組めたのはなぜでしょうか?
早津さん:法人として人を育て、楽しく働いてもらえる環境を整えていかなければいけないと、数年前から研修や人材育成に特化したチームを立ち上げ、アンケートなどで現場の声を吸い上げながら研修を実施してきたのですが、なんとなく現場との距離を感じていました。公開保育を通して、先生たち一人ひとりの行動から園全体の雰囲気がかわっていけたのは、市川園長と先生たちの距離感の近さ、気軽に相談できる関係性があったというのも大きいのかなと思い、支社も含めて現場の先生方から広く参加者を募集して意見交換会をしました。
ーもともと課題を感じられていたところに、解決のヒントが見えたんですね。実際に意見交換会を重ねて、関係性に変化はあったと感じられていますか?
早津さん:距離は近くなったかなと思います。その距離は人によって違いますが、横のつながりができたのは確かです。今後は本部とともに発信する側になってくれるのではないかと期待しています。
市川園長:枝ですかね。大樹が育つにはがっしり根を張ることが大切だけど、たくさんの葉を茂らすには枝をのばしていくことが大切。市川市の公開保育をしたあとに、今度はプロケアのほかの園の先生たちに向けた公開保育をしました。普段は近くに系列の園があっても、なかなか「保育を見る」ことはありません。公開保育をしたことで、同じグループ会社で同じエプロンをしてる先生たちがこういう取り組みしてるんだって刺激になったと思いますし、私たち受け入れる側も、グループ会社で保育しているひとがこんなにたくさんいて、同じ立場で悩んだりしてるんだとわかり、一緒にがんばっている連帯感を感じたりして…。グループ会社があるよさを感じました。
下牧さん:グループ園では横のつながりがあるので、「それならやってみようよ」とスムーズに導入できます。3つの柱という共通認識があったうえでの取り組みなので、まったく同じにはならなくても、これからどんどん広がっていくのではないかと期待しています。
ー子どもの主体性と人権を考えて先生方が主体的に取り組んでいくことが園を輝かせ、本部を通じて法人のグループ園全体に広がっていく動きが今まさにここから生まれているのですね。今後のちゃいれっく保育園全体への広がりを楽しみにしています!
<編集後記>職員どうしがつながり、想いを知ることで笑いの絶えない園が広がる
ちゃいれっく保育園は「大地にがっしりと根を張る大樹となってほしい」という保育理念を軸に運営されています。インタビュー後に、ご自身が大切にしている「根っこ」について聞いてみました。
市川園長:「1日1笑い」を大切にしています。子どもたちもそうだけど、私たち大人も、お母さんたちも。笑うと絶対に元気が出ますよね。悔しいことや悲しいことがあっても、笑うことで頑張れたりするのかなって。先生たちとも、いつも笑っていたいと思っています。
早津さん:「つながり」を大切にしたいなと思っています。今年の研修計画で、先生たちと話せて横のつながりの大切さを感じたこともありますし、今私たちが取り組んでいることが未来に「つながる」、次の世代や子どもたちにバトンタッチしていくという意味もあります。コミュニケーションを深めていくことで、横にもつながりが広がり、未来にもつづくことを成していきたいですね。
下牧さん:「相手の思いを知る」ことが大事だなと思っています。何をするにも、1人ではできません。どんな仕事もチームで動く。そんな中で、相手がどんな思いや考えをしているのかを知ることによって、その人との距離が縮まりますよね。これから成長していく子どもたちにとっても、相手がどんな思いでいるのかな、どうしてそんなに泣いているんだろうと知ろうとすることが大事だなと。
ー園と本部、違う立場にある方々が、それぞれの根っこを大切にし、お互いに対話を重ねて理解しあいながらよりよい未来へとつなげていこうとされているプロケアの園では、子どもも保護者もそれぞれの根っこを大切にのびのびとのばしていけそうだと感じました。
(取材・文:山口美生、撮影:中村隆一、編集:ホイシル編集部)
■ちゃいれっく入船保育園
事業種別:認可保育所
定員:60名
所在地:千葉県市川市入船10-3
東西線行徳駅徒歩10分
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