4歳児クラスの保育実習まるわかりガイド 事前準備

4歳児クラスの保育実習まるわかりガイド

4歳児クラスは保育園での経験も長くなり、安定した園生活を送ることができるようになります。

基本的な生活習慣はほぼ確立し、自分で考えて行動するようになる時期です。

自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを聞いたりといった、社会生活に必要な力も身に付いていきます。

では、4歳児クラスで保育実習を行う場合、実習生としてどのようなことに注意すればよいのでしょうか?

この記事では4歳児の発達段階や保育士の役割を確認しながら、保育実習のねらいや子どもとの接し方についてご紹介していきます。

4歳児の発達状況

4歳児クラスでは、4月1日の時点で4歳0か月~4歳11か月までの子どもが生活しています。

クラスの誕生日の状況によっては、保育実習に行った時点で5歳になっている子も複数いるでしょう。

この記事では4歳児の発達状況について記載していますので、5歳児の保育実習についての記事も参考にしてみてくださいね。

身体の発達

4歳児になるとだんだんと全身のバランスをとることができるようになり、より活動的に遊びを楽しむようになります。

手先の発達すすみ、ハサミでジグザグに切るなど細かな動きも獲得していく時期です。

・全身運動を楽しみ、さまざまな遊具や新しい遊びに挑戦する。

・なわとびを回して跳ぶ、転がるボールを見て蹴る、といった協応動作が発達する。

・手先の発達により、指先でものをつまんだり、紐を結んだりといった細かな動きができるようになる。

・ハサミを使い、線に沿って簡単な形を切ることができるようになる。

言葉や社会性の発達

言葉の扱いがより発達し、できごとをわかりやすく伝えたり、自分のイメージを言葉で表現したりできるようになります。

友だちとルールのある遊びを楽しむなかで、相手の思いに気づくようになるのもこの時期です。

・自分のことを客観的に見ることができるようになり、自他の区別がはっきりとしていく。

・思い通りにならないことによる葛藤を経て、友だちの気持ちに気づくことができるようになる。

・数の認識がすすみ、10程度の数がわかる。

・「勝ち」「負け」がわかり、ルールを守って遊ぶ大切さに気付く。

生活習慣の発達

身辺的な自立がすすみ、先を見通して自分から行動できるようになります。園生活の流れも十分にわかり、保育士の簡単な声かけで行動できる子が増えていく時期です。

・「鼻水が出ている」「髪が乱れている」など自分の状態に気づき、清潔に保とうとする。

・食事のマナーがわかり、箸を使って食べたり、食器に手を添えたりする。

・暑い寒いといった感覚で衣服の調節をしたり、順序立てて着脱したりする。

・排泄もより自立し、自己申告でトイレに行ったり、マナーを守って使おうとしたりする。

4歳児クラスの実習目標

ここでは、保育実習で必ず書くことになる実習目標についてです。

4歳児ではどのような目標を立てるとよいのか、保育士の役割や、実習生の見るべき点を紹介していきます。実習目標の例文もありますので参考にしてください。

4歳児に対する保育士の役割

4歳児クラスは保育園のなかでも「お兄さんお姉さん」という立ち位置で生活している学年です。

自分でできることが増え、自信を持って行動する姿がみられる一方で、意見がぶつかりトラブルに発展することも少なくありません。

保育士は子どもに過度な介入はせず、自分たちで解決しようとする様子を見守り、必要に応じて声かけしています。

一見すると、放置しているように見えるかもしれませんが、子どもの考えや行動を大切にしているからこその様子見です。

担任を1人で受け持つことが多い学年ですので、子ども一人ひとりの様子をしっかりと把握する必要があり、同じ目標に向かうなかでも個々の姿に合わせた働きかけをしていくのが保育士の役割になります。

実習生が見る視点

では保育実習で4歳児クラスに入った場合、実習生はどんなところに注目してみるとよいのでしょうか。

4歳児クラスの子どもたちは、保育士の話を聞いて理解することができるようになるため、3歳児とくらべると保育士の働きかけの数が少なくなっていることがわかるかと思います。

子どもたちが自分で考えて行動できるような配慮をしている場合もあるので、保育士の声かけや援助の方法に注目してみるとよいでしょう。

たとえば、「次は〇〇するんだよ」とすぐに答えを教えるのではなく、「次は何をするんだっけ?」のように、子どもが自分で考えて行動できるような声かけをすることが大切です。

次に子どもの様子についてです。

4歳児になると協調性が育ち、気の合う友だちと役割分担をして遊ぶようになります。

一緒に遊ぶなかで、イメージを共有して遊んでいるように見えながらも、実はそれぞれ別のイメージで遊んでいるという姿も見られるでしょう。

自分の世界観と友だちの世界観をどう共有しているのかを視察してみると、面白い発見がありますよ。

また、ひとつの遊びを何日も続けて行うことがあります。

細かな塗り絵やパズルに挑戦している途中で片付けの時間となった場合、次回続きをするためにどのような対応をしているのか、保育環境の工夫も見てみるといいですね。

目標の例文

4歳児の目標の例文について下記にまとめました。

より詳しく知りたいという方は、『【事例集あり】保育実習の目標の書き方』や『保育実習日誌の目標を立てるポイントとは?書き方の例も紹介!』をご覧ください。

  • ・4歳児クラスの一日の流れを知る
  • ・活動のなかで友だちと協力し合う様子を見る
  • ・保育者の子どもへの援助の仕方を知る
  • ・活動のねらいに対し、保育者がどのような工夫を行っているか知る
  • ・3、5歳児クラスとの違いを知る
  • ・3歳児との活動や保育者の援助の違いに気付き、声掛けの仕方を知る

4歳児クラスの保育のねらい

保育実習では、実習生が保育のねらいを立てる場面があります。部分実習や責任実習といった、実習生が活動を設定するような場合です。

その場合は具体的な活動があるのでねらいも立てやすいですが、なかには日々の保育や生活のねらいを実習生が考えるケースもあるようです。

4歳児クラスではどのようなねらいにするとよいか、ねらいの立て方や例文を紹介します。

ねらいの立て方

4歳児クラスの保育のねらいは、子どもの積極性や社会性を育むような内容にするとよいでしょう。

発達段階の項目にもあるとおり基本的な生活習慣が身につくため、マナーを守ることや丁寧に取り組むといった一歩先の段階をねらいにするイメージを持つとわかりやすいかもしれませんね。

ねらいの例文

4歳児のねらいの例文について下記に例文をまとめました。

  • ・食材に興味を持ち、苦手な食べ物に挑戦しようとする
  • ・集団遊びのルールを守る大切さを感じながら、友だちと楽しく遊ぶ
  • ・自分の考えやイメージを友だちと共有し、意見を出し合いながら遊ぶことを楽しむ
  • ・身の回りのことを丁寧に行ったり、清潔に保ったりすることの気持ちよさを感じる
  • ・手先を扱う遊びを楽しみながら、細かな作業に挑戦する楽しさを味わう
  • ・自分と友だちの要求が違うことを理解し、気持ちをコントロールする

4歳児クラスでの自己紹介

保育実習の初日や、入るクラスが変わったときに自己紹介をする場面があります。

4歳児クラスで自己紹介をする場合はどのような配慮が必要なのでしょうか?

ポイントや例文を紹介いたします。

4歳児に向けた自己紹介のポイント

4歳児になると大人の話をほぼ理解しており、毎年保育実習生を受け入れている保育園では、「実習生はどういう人なのか」ということもわかっています。

「先生になるお勉強をしにきた」「一緒に遊んでくれる」という印象をもっているので、実習生が来るよろこぶ子どもも多いのです。

そのため自己紹介では、「今回の実習生は面白そう」「優しそう」などよい印象を持ってもらうため、明るい話し方や笑顔を心がけるとよいでしょう。

なわとびやお手玉など、子どもが一緒に遊びたい! と思えるような特技を披露するのもいいですね。

自己紹介のやり方について、より詳しく知りたいという方は、『保育実習ですぐできる!!自己紹介の3つのポイント』の記事をご覧ください。

自己紹介の例文

  • 「田中あかりです、保育園の先生になるお勉強のために、こどもすくすく保育園にきました。うさぎ組のお友だちとたくさん遊びたいと思っています。先生が好きなことはブロック遊びです。高く積み上げることと、ロボットをつくることが得意なので、好きな人は一緒に遊びましょう。走ることも好きなので、鬼ごっこは負けません!よろしくお願いします」

4歳児との遊び

ここからは、4歳児クラスの好きな遊びについて紹介いたします。

友だちとのかかわり、保育士との関係性についても触れていますので、保育実習へ行った際の参考にしてください。

子ども同士のかかわり

4歳児は、子ども同士のかかわりが多くなり、イメージを共有して楽しむことが増えます。

ままごとなどの、それぞれが役割を持ち、演じるような遊びも大好きです。

絵本のような世界観を取り入れて楽しむこともあるため、遊んでいる様子を観察してみましょう。

かかわりが増える一方で、なかよしの友だちとの遊びでイメージが完成してしまい、ほかの友だちを受け入れられなかったり、勝ち負けにこだわりトラブルに発展したりという様子も見られます。

頭ごなしにどちらかを叱るのではなく、落ち着いてお互いの気持ちを伝えられるような声かけをしてみてください。

保育士とのかかわり

乳児クラスにくらべて保育士との遊びやかかわりは減り、基本的には子ども同士の遊びを楽しむようになります。

保育士は子どもの遊びを邪魔しないように静観しながらも、ごっこ遊びに必要な用具や道具を揃えたり、できないことに対してヒントを与えたりしながらの援助が必要です。

子どもの「やりたい」を存分に行えるような環境づくりをしていますので、そのあたりに注目すると保育士の動きを学ぶことができるでしょう。

子どもの「やりたい」を存分に行えるような環境づくりをしていきましょう。

どんな遊びが好きか

4歳児が好きな遊びと、ねらいとなるポイントも合わせて紹介します。保育実習でゲーム遊びを取り入れる際の参考にしてください。

より詳しく子どもとの遊び方を知りたいという方は、『【職場体験で使える!!】保育士が教える子どもと遊ぶときのポイント』の記事を見てくださいね。

  • ・ごっこ遊び

お医者さんごっこ、お店屋さんごっこなど自分でイメージして作ったもので楽しむ
友だちと役割を分担する

  • ・氷鬼、色鬼、高鬼

複雑なルールを理解し、友だちと遊ぶ楽しさを味わう
友だちと協力してゲームを行う

  • ・製作遊び

廃材を組み合わせて、自分が好きなものを表現する

  • ・ドッヂボール、キャッチボール

ボールを投げたりキャッチする動作を知る
友だちと戦略をたてる

4歳児クラスの感想と反省

保育実習日誌には、必ずといってよいほど感想と反省を書く欄があります。

その日に自分が立てた実習目標の内容に注目して過ごすことで、感想や反省が書きやすくなるでしょう。

4歳児クラスでは、遊びの項目でもお伝えしたとおり、子ども同士のかかわりがより多くなっていきます。そのなかで「リーダー的な存在」「自分の意見をなかなか言えずにいる子」といったそれぞれの性格も見えてくるでしょう。

個性豊かな子どもに対して保育士がどのような働きかけや援助をしているのかに注目すると、エピソードを交えた具体的な感想が書けるはずです。

また、感想や反省は翌日以降の目標やねらいを立てる際に役立ちます。

数日続けて同じクラスに入る場合は反省をもとに、より理解を深めるような目標を立てることができますが、保育実習では1日で次のクラスへ行くことも多いです。

その場合は、年齢による違いに注目してみるとよいでしょう。

たとえば4歳児は、5歳児に向けて、当番活動や係活動を積極的に行うようになります。

当番活動が好きな子もいれば、人前に立つことが苦手な子もいるなど、おなじ活動でも、子どもによって反応はさまざまです。

4歳児と5歳児の活動の違いはなにか、子どもの反応に対する保育士の声かけにはどのような違いがあるか、ということに気づくことができると、そこから感想や反省につなげることができますよ。

さらに詳しく感想と反省の書き方について知りたいという方は、『【文例で解説】保育実習での感想文の書き方』や『保育実習日誌の「反省と感想」の書き方を徹底解説!』の記事をご覧ください。

保育実習最終日のプレゼント

保育実習最終日に、子どもたちにプレゼントを渡したいと考えている実習生もいるかと思います。

実習先の保育園によってはプレゼントをNGにしている場合もあるので、確認してから渡すようにしましょう。

プレゼントを渡す場合、4歳児にはどのようなプレゼントが喜ばれるのでしょうか。

4歳児に渡すプレゼント

4歳児は、ごっこ遊びで大人の模倣を楽しんだり、手先の発達によりいろいろな製作遊びを楽しんだりできるようになります。

クラスに渡すプレゼントであれば、遊びに取り入れられるプレゼント、個別に渡すプレゼントであれば折り紙などの真似して作ってみようと思えるプレゼントがおすすめですよ!

プレゼントの例

  • 段ボールで作ったパズル
  • ひらがな表
  • 折り紙のコマ

子どもと撮った写真をパズルにすると、思い出を振り返るきっかけにもなりますよ。マスキングテープなどで飾り付けるとかわいいですね。

パズルにする場合は集合写真を拡大でカラーコピーし、段ボールに貼って作ります。

保育園によって写真がNGの場合は、絵を描いてコピーしたものを使うといいでしょう。

参考:段ボールの自作パズル

手作りのプレゼントについて、『保育実習で子どもに渡す手作りプレゼントのおすすめ3選』と『保育実習でクラスに渡す手作りプレゼントのおすすめ3選』の記事でも紹介をしているので、ぜひご覧ください。

子どもを理解して保育実習に臨もう

今回は4歳児クラスで保育実習する場合に気をつけるポイントや子どもの発達、保育士の役割、実習生が注目すべき点などを紹介しました。

4歳児クラスには数日から1週間以上保育実習に入る場合もあり、責任実習を4歳児で行うことも少なくありません。

学校で学んだことや今回の記事を参考にすることで、子どもの様子や保育士の動きを保育実習の早い段階で把握でき、より深い学びを得ることができるでしょう。

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