2歳児クラスの保育実習まるわかりガイド 事前準備

2歳児クラスの保育実習まるわかりガイド

保育園の2歳児クラスは、身の回りの基本的なことを自分でやろうとする意欲が出てくる時期です。

集団生活の経験も重ねていますが、自己主張が強くなるためトラブルも発生しやすく、保育士はケガなどに十分配慮しながらかかわりを見守っていく必要があります。

では、2歳児クラスで保育実習を行う場合、実習生としてどのようなことに注意すればよいのでしょうか?

この記事では2歳児の発達段階や保育士の役割を確認しながら、保育実習のねらいや子どもとの接し方などさまざまなポイントについてご紹介します。

2歳児の発達状況

2歳児クラスは、4月1日の時点で2歳0か月~2歳11か月の子どもが生活しています。

保育実習に行く時期によって、クラスの半数近くが3歳になっているということもあるでしょう。

ここでは2歳児という年齢についての発達段階について解説していますので、学年の状況によって3歳児についての記事も参考にしてください。

身体の発達

2歳児になると身体の使い方が飛躍的に向上し、安定して走ることができるようになります。

全身を使って表現することを楽しめるようになるため、体操やダンスなど身体の動かし方を知らせていく活動を取り入れることが多いです。

・走る、跳ぶといった、基本的な運動機能が発達する。

・全身を使った表現活動ができ、動物のポーズや動きなど繰り返し楽しむ。

・足を交互に出して階段を上がることができる。

・手すりを持ったり支えてもらったりして階段を上る。

・のりで紙を貼ったり、なぐり描きをしたりする。

・大人の働きかけではさみの持ち方がわかり、1回切りができる

言葉や社会性の発達

日常会話やテレビなどのメディアからさまざまな言葉を吸収し、語彙が飛躍的に増えていきます。

同時に、大人の会話からも新たに言葉を覚えていくため、丁寧な声かけや正しい言葉遣いを心がけるようにしましょう。

・自分の思いを言葉で伝えられるようになり、言葉を使ったやりとりを楽しむ。

・「大きい・小さい」「高い・低い」「長い・短い」などがわかるようになる。

・いろいろな線を描き、自分の描いたものに意味や名前づけをする。

・「~のつもり」や「~のふり」といった、ごっこ遊びを楽しむ。

生活習慣の発達

身のまわりのことを自分でしようとしたり、トイレで排泄できるようになったりと、生活習慣の自立が大きく進む時期です。

・乳歯が生えそろうため、よく噛んで食べることができるようになる。

・尿意を感じて知らせたり、タイミングが合えばトイレで排泄できたりする。

・ものの定位置がわかり、そこに片付けようとする。

・パンツや靴下など、簡単なものは自分で履くようになる。

2歳児クラスの実習目標

ここからは、保育実習の目標設定について考えてみましょう。子どもの様子や保育士の様子を、どのような視点で見るとよいか紹介します。

2歳児に対する保育士の役割

2歳児は、幼児クラスへの進級に向けての大切な1年でもあります。

身のまわりのことの自立を目指し、「食事は徐々にエプロンを使わず、食具を使って最後まで一人で食べる」「排泄はパンツで終日過ごす」「着脱は一人で頭や腕を通して着ることができる」などの目標を、子ども一人ひとりの状況を踏まえて立てていく必要があります。

特に、排泄の自立(トイレトレーニング)は、月齢によって「これができる」というものはなく、子ども一人ひとりの性格や環境によってアプローチを変えなければならず、そこを見極めるのも保育士の役割のひとつです。

また、友だち同士のかかわりが増えはじめ、一緒にごっこ遊びや玩具での遊びを楽しんだりするようになります。

まだまだ言葉で伝えられずトラブルになることも多いため、保育士は子ども同士のかかわりを大切にしながら、こういうときはどう言えばいいのか、相手はどんな気持ちかなど、「自分と相手」を意識した声掛けを心がけているのです。

実習生が見る視点

では保育実習で2歳児クラスに入った場合、実習生はどんな部分に注目してみるとよいのでしょうか。

2歳児になると、自分でできることがぐんと増えます。

この時期に大人が援助しすぎてしまうと、子どもは意欲を失い成長の機会を逃してしまうかもしれません。

子どもが自立していくために、保育士がどこまで援助をしているのか、どのような声かけをしているのかを見てみましょう。

子どもの性格によっても、アプローチは異なってきます。

できないことが同じでも、子どもによって声かけや援助の仕方が変わってくるので、そのあたりにも注目してみてください。

また、2歳児は「自分でできた」「自分でできる」ということに誇りを持つ時期でもあります。

「できた」という喜びに共感し、達成感や充実感をたくさん味わえるようにしましょう。

「できない」ことにも挑戦する楽しさを伝え、悔しさを共感しながら「できる」ようになる過程を応援するのも大切です。

保育実習中、昨日はできなかったことが今日はできたという姿を見つけたら、たくさん褒めてあげてくださいね。

目標の例文

2歳児の目標の例文について以下にまとめました。

  • ・1歳児クラスとの違いを知る。
  • ・トイレトレーニングでの保育者の援助の仕方を見る。
  • ・保育者と子どもの関わりを見る。
  • ・ごっこ遊びを通して子どもの関わりを見る。
  • ・子どもの身体の使い方を知る。
  • ・身の回りのことをやろうとする意欲を引き出すための援助を知る。

目標の立て方についてより詳しく知りたい方は『【事例集あり】保育実習の目標の書き方』や『保育実習日誌の目標を立てるポイントとは?書き方の例も紹介!』をご覧ください。

2歳児クラスの保育のねらい

保育実習では、部分実習や責任実習といった、実習生が活動を設定する場合に保育のねらいを立てる場面があります。

しかし、なかには日々の保育や生活のねらいを実習生が考えるケースもあるようです。

2歳児クラスではどのようなねらいにするとよいか、ねらいの立て方や例文を紹介します。

ねらいの立て方

2歳児の保育のねらいは、子どもの遊びのなかからどのような成長を期待するのか、どのような発達を促しているのかを明確にしていくと書きやすいです。

主活動の内容を事前に聞いておき、その活動を通してどのような成長を目指しているのかを自分なりに考えてみましょう。

ねらいの例文

2歳児のねらいについて例文をまとめています。

  • ・ごっこ遊びを通して友だちとかかわることを楽しむ
  • ・追いかけっこを楽しみ、遊びにルールがあることを知る
  • ・はさみの使い方を理解し、1回切りを丁寧に行う
  • ・遊具を使う場合は、順番を守ることを知る
  • ・自分の好きな色を選び、折り紙の1回折りに挑戦する
  • ・保育士と一緒に身体を動かし、体操やダンスを楽しむ

ねらいの書き方について、より詳しく知りたい方は『【0~2歳児】保育実習日誌「ねらい」の書き方』をご覧ください。

2歳児クラスでの自己紹介

保育実習の初日などに、自己紹介をする場面があります。

2歳児クラスで自己紹介をする場合はどのような配慮が必要なのでしょうか?

ポイントや例文を紹介いたします。

2歳児に向けた自己紹介のポイント

2歳児になると、日常生活で大人が話す言葉を理解するようになります。

しかし長い文章を耳で聞くだけでは理解しきれなかったり、集中できる時間が短かったりしますので、2歳児の特性に合わせた自己紹介を考えましょう。

自己紹介の最初に手遊びを取り入れて子どもの注目を集める、子どもが集中して話を聞くことができるよう、パペットや指人形といった目で楽しむアイテムを使うなどの工夫をするとよいですね。

1歳児とは違い、その場で座って話を聞くことができるので、多少ギミックのある小道具も取り入れることができます。

裏表で絵が違うペープサートをうまく使って、手品のように子どもの驚く演出をしても楽しいですよ。

 自己紹介の例文

2歳児向けの自己紹介の例をご紹介します。

  • みなさんこんにちは、私の名前は田中あかりです。一緒にたくさん遊びましょう。今日は1人だと恥ずかしいので、お友だちを連れてきたよ。みんなで、おーい! って呼んでみてね。(みんなで)「おーい!」こんにちは、ぼくは⚪︎⚪︎だよ。ぼく、手遊びが大好きなんだけど、一緒にやってくれる? ⚪︎⚪︎の手遊び知ってるかな? じゃあ一緒にやってみよう! (手遊びを楽しむ)どうもありがとう、これからあかり先生と⚪︎⚪︎となかよく遊ぼうね。よろしくお願いします。

自己紹介についてより詳しく知りたい方は『保育実習ですぐできる!!自己紹介の3つのポイント』の記事を見てみてくださいね。

2歳児との遊び

ここからは、2歳児クラスで楽しまれている遊びについて紹介します。

遊びのなかでどのような友だちとのかかわりがあるのか、保育士とはどういう関係性なのかについて触れていますので、保育実習へ行った際の参考にしてくださいね。

子ども同士のかかわり

鬼ごっこやむっくりくまさんなど簡単なルールのある遊びを理解し、楽しむことができるようになります。

子ども同士でも追いかけっこやごっこ遊びなどでかかわりを持つ姿が見られるようになりますが、まだ「自分と相手」の距離感や気持ちなどに十分な理解が無いため、自分の思い通りにいかないと、トラブルになる場合もあります。
トラブルになり泣いてしまったり手が出たりした場合は、子どもが落ち着くまで待ち、それぞれの思いをしっかり聞いてあげましょう。言葉で状況をうまく伝えられない子もいますので、一方の言葉だけで判断せず、双方の気持ちに向き合うようにしてみてくださいね。

保育士とのかかわり

ルールのある遊びをするときは、保育者が一緒に遊びに参加し、子どもにルールを伝えていきます。

複数担任のため、たとえば鬼ごっこでは逃げる側と鬼側、それぞれに保育士がついて遊びをわかりやすくすることが可能です。

保育士に確認して、実習生も子どもと一緒に思い切り遊びを楽しみましょう。大人が楽しむことで、子どもも「楽しい!」という思いが芽生えやすくなります。

また、多くのことを吸収する時期ですので、保育士はできるだけ丁寧で正しい言葉づかいを心がけています。子どもの「なぜ?」「なに?」に答えていくのも大切なかかわりのひとつです。

保育実習中に子どもから質問された場合、難しい質問はあいまいにするのではなく、「先生もわからないから一緒に調べてみよう」「むずかしいな、不思議だね」と正直に思いを伝えるようにします。

どんな遊びが好きか

2歳児が好きな遊びと、その遊びでのねらいとなるポイントを紹介します。

  • ・おままごと

友だちとのかかわりを楽しむ

役になりきって遊ぶことを楽しむ

  • ・鬼ごっこ

全身運動を楽しむ

遊びのルールや、勝ち負けに気がつく

  • ・だるまさんが転んだ

遊びのルールを聞く習慣をつける

止まる、動くといったメリハリを楽しむ

  • ・塗り絵

指先を使って楽しむ

好きな色を塗り達成感を味わう

より詳しく子どもとの遊び方を知りたいという方は、『【職場体験で使える!!】保育士が教える子どもと遊ぶときのポイント』の記事をご覧ください。

2歳児クラスの感想と反省

保育実習での反省点は、実習生自身がとった行動からどのような結果がおこったのかを書くため、実習生の視点で書いていくことになります。

基本的には、その日の実習目標を達成できたかどうか、達成するためにどのような行動をとったのか、もしくはとらなかったのかということを文章にするとよいでしょう。

2歳児クラスは、「赤ちゃん」という印象の強い0歳児や1歳児とくらべると、なんでもできるようになったと感じるかもしれません。

ほかの学年と保育士の援助がどのように違うか、子ども同士のかかわりはどうかといった点に注目すると、感想欄に書きたいエピソードが見えてくるでしょう。

また、2歳児は幼児クラスへの移行期となるため、さまざまなことに挑戦していきます。

食事や排泄といった身の回りの自立はもちろんのこと、友だちとのかかわり方や、遊びの内容など、3歳児に向けてどのような姿を目指して保育に取り組んでいるのか、考えてみるといいですね。

さらに詳しく感想と反省の書き方について知りたいという方は、『【文例で解説】保育実習での感想文の書き方』や『保育実習日誌の「反省と感想」の書き方を徹底解説!』の記事をご覧ください。

保育実習最終日のプレゼント

保育実習最終日は、実習生から子どもへプレゼントを渡すことが多いです。

実習園や学校の考え方によっても異なりますが、なかには実習生の負担を考えて、プレゼントをNGにしている保育園もあります。

プレゼントを準備したいと考えている場合は、保育園に確認してから渡すようにしましょう。

では、2歳児クラスにはどのようなプレゼントが喜ばれるでしょうか。

2歳児に渡すプレゼント

2歳児クラスの子どもは、これまでの項目でお伝えしたように友だちと「いっしょ」「おんなじ」を喜んだり、「自分でできた」の感覚を味わう時期になります。

プレゼントには、少し指先を使うような玩具や、みんなで見て楽しめるような絵、壁面製作といったグッズがおすすめです。

プレゼントの例

2歳児におすすめのプレゼントを紹介します。

  • イラストや壁面製作(大きめの画用紙に、全員で1枚)
  • 指で弾いて遊ぶカエル(折り紙、1人にひとつ)

イラストは2歳児クラスでの保育実習中にあったことを描くのもいいですね。公園で遊んだ場合はみんなで鬼ごっこをしている様子、製作をした場合は作った製作物を貼るのもおすすめです。

手作りのプレゼントについて、『保育実習で子どもに渡す手作りプレゼントのおすすめ3選』と『保育実習でクラスに渡す手作りプレゼントのおすすめ3選』の記事で紹介をしているので、ぜひご覧くださいね。

子どもを理解して保育実習に臨もう

今回は保育実習で2歳児クラスに入る際に知っておきたい、さまざまなポイントについて紹介しました。

子どもの発達やかかわり、保育士の役割、実習生が注目すべき点などをおさえておくことで、保育実習の短い期間でもさまざまな学びを得ることができるでしょう。

2歳児は「イヤイヤ期」と呼ばれるだけあって、対応が難しい子もいるでしょう。

子どものことを理解していったつもりでも、うまくいかないことがあって当然です。わからないことは遠慮なく質問し、将来保育士になったときの糧となるよう、充実した保育実習にしてくださいね。

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