保育実習日誌には、1日の記録の最後に「反省」や「感想」を書き込むところがあります。時間や保育内容をそのまま書く記録の欄とは違い文章を書く難しさがあるため、どんなことを書けばよいのかわからない、と困ってしまう実習生もいるのではないでしょうか。
この記事では、保育実習日誌にある「反省と感想」欄の書き方について説明します。保育実習日誌の書き方に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
保育実習日誌の考察と反省の違いとは?
保育実習日誌で1日にあったことを振り返る欄には、「反省」以外に「考察」という言葉も出てくることがあります。「反省と感想」について紹介する前に、この「反省」と「考察」について考えてみましょう。この2つはどう違うのでしょうか?
考察は、実験の結果や結論に対し、その原因・過程を考えるという意味合いで使われます。例えば、論文で意見を主張するためには、考察が必須です。保育実習においては、保育士や子どもの行動の意味・結果に対し「どうしてそのようになったのか」を考え、気づきを得ることが考察にあたります。
一方で反省は、自分の行いに対する振り返りという意味があります。行動したことに対し、なにがよくなかったのか、またどのように改めるべきかを考えるのです。たとえば、「私の言葉がけが抽象的すぎて子どもに届かなかった」、「次からは私も子どもの気持ちに添った声掛けをしたい」という流れが反省にあたるといえるでしょう。
保育実習の後は、1日の出来事に対する考察と、それを踏まえたうえでの反省を書くようにすると今後の実習に繋がっていきます。
保育実習日誌に記載する「反省と感想」の書き方を解説!
保育実習日誌に記載する「反省と感想」の欄は、次のような内容で書くとわかりやすく読みやすいものになるでしょう。
子どもたちの具体的な姿とそれに対する感想
まずは、1日の実習で観察した子どもたちの姿を記していきます。行動や言葉などの内容を具体的に書くと、読み手にも場面が伝わりやすくなります。そして子どもたちの姿に対する自分なりの感想を書いていきましょう。
保育士の行動を見て考察したこと、学んだこと
保育士が、子どもたちに対してどのような援助をしているのかをよく見て、気づいたことや学んだことなどを書くことも大事です。保育士の行動をよく観察し、どうしてそのようにふるまったのか意図を推察してみましょう。
自分が迷ったこと、失敗したこと
保育実習に戸惑いや失敗はつきものです。保育実習日誌では、よく思われようとしていいところばかりを書くのではなく、失敗したことやどうすればいいのか迷った場面などを率直に表現しましょう。ただし、「○○ができなくて、残念に思いました」で終わるのではなく、次の保育実習にその失敗をどのように活かしていきたいかも合わせて書けるようにすることが大切です。
最初に立てた実習目標の自己評価
保育実習日誌の冒頭部分には、1日ごとの目標を立てて書き込んでいるはずです。「反省と感想」の欄では、その日の目標を達成できたかどうか、自己評価をしてください。さらに、明日以降の実習で新たに目標とすべきポイントについて述べると、よりいいでしょう。
「反省と感想」の書き方のポイント!
「反省と感想」を書くときのポイントや注意点はどんなところにあるのでしょうか。3つのポイントについて、具体的に紹介していきます。
独断や批評は控える
保育実習生は保育士の卵であり、まだまだ未熟な存在です。実習生が正しいと思ってした行動も、保育士の目から見ると間違っていたり、不足があったりするかもしれません。「反省と感想」は気持ちを率直に書くことも大切ですが、「私のこの行動は正しかった」と言い切ることは、できるだけ避けたほうが無難です。保育士は、実習生の行動を自主性を尊重し見守ってくれていただけで、実はもっとよい方法があったかもしれないと考えるようにしましょう。
また、「このやり方は間違っている」というように、園や保育士に対する批評も控えましょう。園は忙しいなか、実習生のために時間を割いてくれています。どうしても気になることがあった場合は、その日の反省会で質問してみたり、聞けない場合は日誌に質問として書いてみたりしましょう。ただし、失礼な言葉遣いにならないように注意してくださいね。
エピソードを絞って書く
保育実習中は、さまざまな出来事が起こります。いざ「反省と感想」を書こうとすると、あれもこれもと印象に残ることが次々思い出されるかもしれません。
しかし、ダラダラとエピソードを書いてしまうと、的を射ないぼんやりとした文章になってしまう危険性があります。
ここで思い出してほしいのが、今日の実習目標と明日の実習目標の存在です。今日の実習目標に沿ったエピソード、明日の実習目標の土台となるような出来事をピックアップすることで、芯の通った「反省と感想」を書くことができます。
感想を明日につなげる
「感想」という言葉につられ、ついつい「楽しかった」、「上手くできなかった」、「よかった」というような、自分の気持ちを書いて終わらせてしまいがちです。保育実習では、感想や反省を今後につなげていくという意識が大切です。今日の経験を、明日以降の保育にどのように繋げていくのかを書いていきましょう。
保育実習日誌「反省と感想」の 例文まとめ
では、各クラスごとの「反省と感想」の例文を見ていきましょう。
0歳児クラスの例文
今日は、実習の1日目ということもあり、0歳児クラスの保育の流れを理解できるように努めました。
0歳児は、同じクラスながら月齢によって発達にかなりの差があること、そして、その差に合わせて先生方が個別に対応していることがよく分かりました。
特に、それを感じたのは給食時間です。ご飯をひとくちずつ口に運んで食べさせる場合もあれば、「かみかみ」や「ごっくん」などの声掛けをしたり自分でスプーンを持つよう励ましたりする場合もあって、クラスの一人ひとりに合わせた工夫をしていることに気がつきました。
今日は、自分で食事ができる子を介助しようとして、泣かせてしまいました。自分でスプーンが持ちたいという気持ちの表れだったのではないかと思います。明日は、先生方が発達状態の違う子どもたちを、それぞれどのように支援しているのか、よく観察したいと思います。
1歳児クラスの例文
今日は、1歳児クラスで、どのような遊びをしているのかを見せていただきました。1歳児のクラスでは、おままごと、シールはり、マットでの運動遊びをそれぞれコーナー遊びとして展開していました。1つの遊びへの集中時間が短い1歳児に合わせた環境設定をしていることに気がつきました。
私が入らせていただいたクラスは、月齢の低い子が多く、多くの子がまだあまりしゃべることができません。それでも、「まんま」、「ねんね」などの一語文で先生と関わろうとする子、泣き声でアピールする子など、精一杯コミュニケーションを取ろうとする姿が印象的でした。また先生方は、「ごはんくれるんだね」、「足がいたかったんだね」と、場面場面で子どもの言葉を代弁していて、丁寧に対応していることが伝わってきました。
明日は、子どもたちへの言葉がけについて、もっとよく観察してみたいと思います。
2歳児クラスの例文
今日は、子どもたちの遊びの様子に注目したいと考え、実習に臨みました。同じ砂場で遊んでいても、「保育所保育指針」に書かれている通り、ほとんどが平行遊びをしているようでした。仲良く一緒に遊んでいるように見えても、「スコップを取られた」といきなり泣き出す子がいるのも、そのためなのではないかと思います。
私は、泣いているA君の代わりに、スコップを取り返してあげるべきか悩みました。すると、先生がやってきて、A君に「スコップ返して、って言ってみよう」と促しました。さらに、「A君が言いたいことがあるんだって」とスコップを取ってしまったB君にも、A君に注意が向くように配慮していました。A君が自分で「スコップ返して」と言うと、B君はスコップを返してくれました。私は、保育者が子どもの代わりに動くのではなく、子ども同士のやりとりを仲立ちすることが大切なのだと感じました。
「遊びの様子をよく観察する」という今日の目標について、今日はいろいろな学びができました。明日は保育者が子ども同士のコミュニケーションをどのように仲立ちしているのかに注目していきたいです。
3歳児クラスの例文
3歳児クラスでの実習も3日目になり、子どもたちの性格の違いも徐々に感じられるようになりました。昨日までは、近くにきてくれた女の子たちとばかり関わっていたので、今日は男の子たちとどうやってコミュニケーションを取るかを考えてみました。園庭で遊んでいる様子を観察すると、虫を追いかけるのに夢中でした。そこで、虫を捕まえて虫かごに入れ、子どもたちに見せてみました。子どもたちは喜んでみていましたが、しばらくすると「もっとみせて」、「見えないよ」と子どもたち同士で押し合いが始まってしまいました。私はびっくりしてしまいましたが、先生が「順番にみようね」といって子どもたちを並ばせてくれました。私は、3歳の年齢でも順番待ちができることにも、先生が子どもたちがケンカになりそうなときに冷静に対処していることにも驚きました。
これからの実習では、先生方が子どもたちのいざこざに対しどのように対処しているのかを見ていきたいです。
4歳児クラスの例文
今日は、4歳児クラスで絵本を読ませていただきました。導入の手遊びは、楽しそうに手を動かしている子と、手をおろしてしまっている子がいたことに気が付きました。新しい手遊びの方が興味を持ってもらえるかと思ったのですが、子どもたちが知っている手遊びの方が、クラス全体で楽しんでもらえたのではないかと反省しました。
絵本を読んでいるときは、子どもたちによく絵が見えるよう、ゆっくり読むことをこころがけました。一方で、絵本を読むことに集中しすぎてしまい、子どもたちがどのような表情で聞いているのかを把握する余裕がありませんでした。
後で先生の読み聞かせをよく観察すると、絵本だけでなく子どもたちの方にも視線を送っていることが分かりました。子どもたちの反応に合わせて、ページをめくるタイミングを図っているのではないかと思いました。
次に絵本を読む場合は、事前に絵本をしっかり読み込むなどして、子どもたちの反応を見ながら、読み聞かせができるようにしていきたいと思います。
5歳児クラスの例文
今日は、紙皿を使った時計を作るという製作活動の日でした。先生がたは、あらかじめ子どもが糸を通しやすい大きさの穴を紙皿にあけていました。子どもたちが製作に取り組みやすい環境を事前に用意することの大事さを感じました。
先生の用意した見本通りに作る子が多いのかと思っていましたが、自分の好きな色や材料を使ってどんどん個性的な作品ができていくのに驚きました。子どもたちが製作の手順を聞いてくることは、ほとんどありませんでした。代わりに「先生、これ見て!」と作品を見てもらいたいという気持ちで話しかけてくる子が多かったです。「かわいいね」、「上手にできたね」と言うと、嬉しそうでした。一方で、今日の目標である「子どもへの言葉がけ」を意識しすぎてしまい、真剣に作業している子に話しかけすぎてしまった面もあり、反省しました。子どもたちの活動をよく見ながら、適切なタイミングで声掛けができるように考えていきたいです。
「反省と感想」は自分を振り返る絶好の機会
保育実習日誌の「反省と感想」を書くことで、1日の実習を通して自分が感じていたことや、気づいた点についてまとめることができます。文章にするという行為は、漠然としていた考えをはっきりさせるのにとても役立ちます。「反省と感想」欄は、実習中の自分を振り返る絶好の機会です。失敗したことや疑問点も、隠さずにどんどん書いてみましょう。