保育実習日誌には、実習でより深い学びを得るために毎日目標を書きいれます。
しかし保育実習の目標とは、いったいどんなことを指すのでしょう。なにを書けばよいかわからずにお困りの方も多いのではないでしょうか?
この記事では、なぜ保育実習で目標を立てるのかと、目標設定のポイントについて紹介しています。
実際に日誌に書くときに役立つ具体的な例文もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
保育実習日誌とは
まずは保育実習日誌についてあらためて確認してみましょう。
保育実習日誌とは、以下のようなことを記録したものです。
- ・保育の活動や子どもの様子
- ・保育士の行動・援助
- ・実習生本人の行動、考察したこと
保育実習日誌を作成することで、子どもの発達や生活をより丁寧に観察できるようになり、保育の仕事についても理解を深められます。
実習を実りあるものにするために、保育実習日誌は決して疎かにできない大切なものと言えます。
なぜ目標の設定が必要なの?
学びたいことを明確化するため
保育実習日誌の目標には、子どもたちや担任保育士の目標ではなく、その日に実習生が学びたいことを記入します。
目標の設定をすることで保育実習中に学びたいことが明確になり、どこに注目して過ごすか、どういう視点で保育中の様子を見るかが変わってきます。
目標を立てずに実習の日々を過ごしてしまうと、なにを学んだのか理解できないまま終わってしまうでしょう。
保育実習でどのようなことを学びたいのかを目標として記録し、自分の考えを明確化しましょう。
自分の現状を把握することができるため
目標設定をすることで、自分にはどの程度の知識があり、子どもに対してどんな働きかけができているのかを把握できるようになります。
学校で学んできたことを、どれほど理解しているのか?現場でどのような働きかけができるのか?など、目標を立てることで、客観的に自分の現状を把握することができます。
PDCAを繰り返すことで実習をよりよいものにするため
PDCAとはPlan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返し、業務を継続的に改善していく方法のことです。
保育実習の目標はP(計画)にあたります。
PDCAで言えば、今日一日でどのようなことを学ぶのか、計画を立てることが「目標」というわけです。
保育実習の質を上げるためにも、目標は必ず設定するようにしましょう。
目標設定する際のポイント
ここからは目標を設定するためのポイントについて紹介していきます。
子どもについて理解する
まずは、子どもについて理解するための目標を立ててみましょう。
子どもの年齢や発達に合わせて、活動の内容や保育者の援助方法も変わってきます。
学校で学んだ子どもの発達段階と実際に現場で見る子どもの姿では、違っていることもあるでしょう。その違いをよく観察してください。
たとえば初日に子どもの様子を知るための目標を立てて実習を行うと、次の日の目標が立てやすくなりますよ。
保育者について理解する
保育者の行動や、子どもへの援助の仕方を理解することも、重要な目標になります。
たとえば、子ども同士がけんかしているとき、保育者はどのような声かけをしているでしょうか。
保育者の動きや子どもへのかかわり方、指導方法について観察してみてください。
子どもを理解すると同時に、保育者について学ぶ目標を立てると、保育の仕事をより深く知ることができます。
季節や時期による違いを理解する
さらに具体的な学びにするため、季節や時期による保育内容の違いを理解するといった目標を立てるのもよいでしょう。
保育者が年間カリキュラムや月案、週案を立てるときは、季節や時期を意識したものを取り入れるようにしています。
たとえば、「公園で子どもと積極的にかかわる」だけではなく、「公園で子どもたちが秋の自然に触れ楽しむ様子に注目する」にすると、季節を意識した目標が立てられます。
季節を意識すると、具体的な目標設定ができるのでおすすめです。
前日の反省を生かす
前日の保育実習の反省を、次の日の実習にいかすような目標を立てることも大切です。
多くの場合、一日の実習を終えたあとに反省会があります。
「こうしたほうがいい」と指摘されたことや指導を受けたことをメモして、次の日の目標に組み込んでみましょう。
同じ失敗をくり返さないようにできるだけでなく、実習担当の先生に「ちゃんとアドバイスしたことを聞いているな」という印象を持ってもらうこともできるでしょう。
具体的な指摘や指導がなかった場合は、反省会で話したことや実習中に書いたメモを振り返り、出てきた疑問を書き出してみることもひとつの手です。
書き出した疑問を解決するために、なにを学べばよいのかを文章にすることで翌日の目標ができあがります。
具体的な目標の設定例
保育実習日誌に実際に書き入れるときに役立つ、目標の具体例を紹介します。
年齢別、実習の時期別とさまざまなパターンがありますので、自分の状況にあった例文を参考にしてみてくださいね。
年齢別の目標例文
実習に入る学年によって発達段階や保育内容が違うことから、目標も大きく変わってきます。
0~1歳児
- ・個々の離乳食を食べるペースや咀嚼状況などに配慮した介助方法を学ぶ
- ・月齢差のある子どもに対し、保育者がどのように対応を変えているのかを知る
- ・遊びのときの環境と、午睡時の環境の違いを観察する
2~3歳児
- ・自分の気持ちを言葉で伝えられるような声かけをこころがける
- ・給食の好き嫌いに対して、保育者がどのような働きかけをしているか知る
- ・トイレトレーニングの状況を把握し、個々に応じた声かけに努める
4~5歳児
- ・製作あそびで子どもの表現の違いや手先の発達について観察する
- ・当番活動における子どもの役割や保育者の働きかけを知る
- ・集団遊びでは必要以上に声をかけすぎず、自分たちで問題を解決しようとする様子を見守る
実習序盤・中盤・終盤の目標例文
実習の序盤と終盤では、実習生の視点も変わってきます。学んできたことやこれまでの経験をもとに、あなたならではの目標を立ててみてください。
実習序盤
- ・〇歳児の一日の流れを知る
- ・衣服の着脱をする際、保育者がどのような介助方法をしているのか観察する
- ・保育園での生活の流れを知り、保育者の援助方法を学ぶ
- ・子どもたちと一緒に遊ぶ中で、発達に合った適切な環境を知る
実習中盤
- ・異年齢保育での、保育者のかかわり方を観察する
- ・子どもに積極的に関わり、個々の子どもの興味関心を知る
- ・食事において、苦手なものでも少しは食べてみようという気持ちが持てるような働きかけをする
- ・トイレトレーニングの方法や、保育者の声かけと援助方法を学ぶ
実習終盤
- ・子ども同士でトラブルを起こした場合の保育者の対応や言葉かけを学ぶ
- ・今まで関わりが少なかった子どもと積極的に関わる
- ・子どもの様子を保護者へ伝える場合、どのように伝えたらわかりやすいかを知る
- ・活動の切れ間に、保育者が子どもたちにどのような援助をしているのか観察する
場面別の目標例文
絵本を読むとき、午睡のとき、行事のときなど場面に応じた目標をいくつか紹介します。
- ・午睡の際は優しく背をさすったり、静かな声で絵本を読んだりして、安心して眠れるよう促す
- ・製作を嫌がる子にはその気持ちに共感し、成功体験につながるような声かけをする
- ・絵本を読むときには、聞き取りやすい声の大きさで読み聞かせる
- ・自由保育のときに、保育者がどのような働きかけをしているのかを観察する
- ・誕生日会での導入方法、ペープサートのやり方を覚える
- ・集団に入らない子どもへの、保育者のかかわり方を知る
実りある実習にするために目標を立てよう
保育実習では日誌や指導案などの書きものが多く、最初のうちは時間がかかり、戸惑うことがあるかもしれません。
目標の立て方を知り、毎日の実習での学びが深くなったと感じることができれば、自然と日誌を書くスピードも早くなってきます。
学校で学んだ知識と実習での経験をいかして、園の環境や子どもとのかかわり方などを具体的に考えて目標を立ててみましょう。
保育実習で経験したことは、保育職に就いても就かなくても、今後の人生で必ず役に立ちます。今回の記事を参考にして、実りのある実習にしてくださいね。