【保育実習で役立つ】絵本の読み聞かせにおけるポイント  事前準備

【保育実習で役立つ】絵本の読み聞かせにおけるポイント 

保育実習において、実習生が子どもたちの前で絵本を読み聞かせる場面は、必ずと言ってよいほど訪れます。しかし、絵本の読み聞かせは書かれた文章を読むだけだから簡単、とあなどってはいけません。読み聞かせの導入や、選ぶ絵本の種類を間違えれば、子どもたちの盛り上がりも半減してしまいます。

この記事では、保育実習における読み聞かせのポイントを様々な側面から解説していきます。保育実習を控えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

絵本の読み聞かせをする目的

保育園では毎日のように行われている絵本の読み聞かせですが、どのような意図があるのでしょうか。絵本を読む前に、まずは目的を知っておきましょう。

絵本を通じて気持ちを分かちあえる

絵本は優れたコミュニケーションツールの1つです。たとえば楽しそうに絵本を読む保育士の気持ちに、子どもが共感することで「楽しい」という気持ちを分け合うことができます。

また、クラスなどの集団に対する読み聞かせでは、その場で一緒に絵本を見ている全員が同じ感情を共有するきっかけになります。これは、クラス間での団結力や友情を育むことに繋がります。

言葉や物事に興味を持つきっかけに

絵本には、動物や果物、乗り物に自然物など、さまざまなものが登場します。絵本を見ることで、子どもたちはまだ知らない新しい世界に興味を持つようになるのです。たとえば遠足の前の日にお弁当の絵本を読んで、遠足という行事に興味を持ち、期待を高めるという効果も期待できます。

また、絵本はたくさんの言葉に触れるきっかけにもなります。保育士が読んでくれた絵本の言葉をまねすることで、子どもたちは楽しみながら言葉を増やすことができるでしょう。

想像力を育てる

特徴的な絵と少ない言葉を持つ絵本は、動画のような動きはありません。その分、子どもたちに想像する余地を残しているとも言えます。絵本をたくさん読むことが、子どもたちの豊かな想像力を育てることにつながっていきます。

絵本の読み聞かせ導入時のポイント

保育実習で絵本の読み聞かせをするときに、大切なのが読み聞かせ前の導入です。うまく子どもたちの注意を引き付け、静かに絵本を聞く体勢を作ることができれば、絶好のスタートが切れるでしょう。

これから「絵本を読む」という期待を高める

導入は、子どもたちに「これから楽しいことが始まるよ」という期待感を高めたり、興味を持たせたりするためのものです。明るく楽しい雰囲気で導入を始めていきましょう。

ちゃんと聞きなさい、とでも言うような、とげとげしいスタートにならないように注意が必要です。言葉が分かる年齢なら、これから絵本を読むということを最初に伝えておくのも大切なポイントですね。

導入の方法にはこだわらなくてよい

導入には、いろいろな方法や種類があります。代表的なものは手遊びですが、じゃんけんのような簡単なゲーム、絵本のテーマに合った歌や、ちょっとしたクイズも導入の1つです。

年長クラスなどではそういった特別な方法を使わずに、絵本の紹介をする、絵本に語り掛けるだけでも立派な導入になります。自分にあった導入方法を探してみましょう。

メインは導入ではなく「絵本」

あくまで導入は読み聞かせの前段階であり、メインは絵本であるということを意識しておくのも大切です。

たとえば以下のような状態に陥ってしまうと、絵本を読むことが難しくなります。

・長い手遊びをしてしまい、絵本を読む時間が無くなってしまう

・ちょっとしたゲームのつもりだったのに、盛り上がりすぎてかえってうるさくなってしまう

保育実習において、子どもたちを楽しませたいという気持ちを持つことは大切ですが、読み聞かせの場合の導入は落ち着いた雰囲気の内容にできるとよいですね。

絵本の読み聞かせ中のポイント

絵本の読み聞かせで重要なポイントは、子どもが絵本の内容をじっくり楽しめるように配慮することです。どのようなポイントに気をつけるとよいか、具体的に紹介していきます。

絵本は見やすい位置に固定する

まずは、絵本が子どもたち全員からしっかりと見える位置にあるかを確認します。読み手に近い位置の子から、遠い位置の子まで、絵本がクリアに見える高さで絵本を開きましょう。「みなさん、見えますか?」と声をかけて聞いてみるのもひとつの手です。

また、絵本がふらふらと動いていると、子どもたちの集中力を途切れさせてしまいます。本はなるべく動かさないように気を付けましょう。とくにページをめくるときに前後に絵本が動いてしまうことが多いです。脇をしめてしっかりと持ってくださいね。

ただし、『おおかみだあ!』(セドリック・ラマディエ著,ポプラ社)のように本が動くことを想定している絵本を読むときはこの限りではありません。

絵をじっくり見せて、余裕をもって読む

絵本の主役はなんといっても「絵」です。短い言葉しか添えられていないページでも、絵をじっくりと子どもたちに見せる間をつくり、子どもたちのなかに絵のイメージが浸透するのを待ちましょう。

保育実習中に絵本を読むときは、緊張感からついつい早口になってしまいがちです。子どもたちは絵を見て、言葉を聞いて物語の内容をゆっくりと理解していきます。余裕をもって読むためにも、事前練習をこころがけましょう。読んでいる最中に、子どもたちの顔を見回すくらいの余裕があることが理想です。

身振り手振りやアドリブは必要なし

絵本の読み聞かせでは、演劇のような身振り手振りやアドリブは必要ありません。読み手自身ではなく、絵本の魅力が際立つようにすることが大事です。無理に声色を変える必要もありません。ただし絵本の世界を壊さない程度の抑揚をつけたり、表情を変えたりするのはOKです。

年齢ごとの発達に応じた絵本の選び方

子どもの年齢によって、言葉の理解度や想像力、集中できる時間の長さがなどが変わってきます。年齢に合わない絵本を見せられても、子どもたちは退屈してしまい、最後まで集中して見ることができないかもしれません。

保育士と子どもたちの関係性ができたうえで、少し難しい絵本にチャレンジするといった場合もありますが、実習生ではそうはいきません。保育実習で読み聞かせをする場合には、それぞれの年齢特性にあったものを選ぶことが重要です。

0~1歳児向け絵本の選び方

この年齢層の子には、カラフルではっきりとした絵が使われているものが向いています。またリズミカルな言葉の繰り返しがあるものだと、0歳児でも楽しさが伝わりやすくなります。赤ちゃんが発音しやすい「ぷっぷー」などの擬音(オノマトペ)が出てくる絵本だと、一緒に口ずさんでコミュニケーションをとることができるでしょう。

2~3歳児向け絵本の選び方

この年齢の子どもたちは、発達が著しくいろいろなことへの興味が広がってくる時期です。一方で発達の個人差が大きい時期でもありますので、保育実習中に一人ひとりの様子を観察してみましょう。少し難しい絵本でも楽しめている子どもたちのかたわらで、なかなかじっとしていられない子もいるのが分かるのではないでしょうか。

そこで2〜3歳に向けて読み聞かせをする場合は、発達段階に差があっても楽しめるような「繰り返しがあってシンプルな筋書き」の絵本を選ぶのがポイントです。また、お弁当やトイレなど、園生活で登場する身近な題材を扱っている絵本を選ぶのもよいでしょう。

4歳児~向け絵本の選び方

単純な繰り返しだけではなく、ストーリー性がある絵本も楽しめる年齢です。子どもが登場人物に自分を重ねやすい題材の絵本を選択すると、世界観に引き込みやすいですよ。ただし、この年齢層向けにはたくさんの絵本が発売されています。どれがよいか迷ったら、自分が子どものときに読んでもらったような息の長い絵本を選ぶのも1つの手です。長年愛されてきたベストセラーの絵本には、それだけの力があります。

年齢別のおすすめ絵本

では、最後に年齢別のおすすめ絵本をご紹介します。

0~1歳児向けのおすすめ絵本

『ぴょーん』まつおかたつひで 著、ポプラ社

いろいろな動物が登場して、「ぴょーん」と飛びあがる楽しい絵本です。繰り返しのなかにも変化があり、子どもたちの「自分も飛んでみたい」という気持ちを掻き立ててくれます。

『だるまさんが』かがくい ひろし 著、ブロンズ新社 

生後数ヵ月から楽しめる『だるまさんが』は、子どもの反応を保障してくれる心強い絵本です。同シリーズの『だるまさんと』『だるまさんの』も一緒にチェックしてみてください。

2~3歳児向けのおすすめ絵本

『おおきなかぶ』A.トルストイ 著、 佐藤 忠良 絵、 内田 莉莎子 翻訳、福音館書店

シンプルなストーリーながら、登場人物が少しずつ増えていく楽しさを味わえます。小さい子向け昔話の代表絵本といえるでしょう。繰り返しのセリフもリズム感がよく、子どもの耳に心地よく響きます。

『ぐりとぐら』 中川 李枝子 著、大村 百合子 絵、福音館書店

野ネズミのぐりとぐらが大きなフライパンで大きなかすてらを作るシーンは、子どもたちの気持ちをいつもワクワクさせてくれます。食べる喜びが広がってきた年齢の子どもたちに、ぜひ読んであげたい絵本です。

4歳児~向けのおすすめ絵本

『どろんこハリー』ジーン・ジオン 著、マーガレット・ブロイ・グレアム 絵、渡辺 茂男 訳、福音館書店

お風呂が嫌で逃げ回り、体を泥んこにしてしまうハリー。お風呂嫌いの自分を重ねて共感してしまったり、ハリーがおもいっきり汚れるさまに痛快さを感じたり…子どもが夢中になれる名作絵本です。

『わゴムは どのくらい のびるかしら?』マイク・サーラー 著、ジェリー・ジョイナー 絵、岸田衿子 訳、ほるぷ出版

主人公の「ぼうや」が輪ゴムをどんどん引っ張って、引っ張って…。どこまでも伸びていく様子が、子どもたちの想像力を刺激します。身近な輪ゴムへの興味が高まりそうな絵本。輪ゴムを使う製作の導入にもいかがでしょうか。

絵本の読み聞かせは、子どもと盛り上がれる楽しい時間

保育実習での絵本の読み聞かせは、子どもだけでなく保育士の先生にも見られています。緊張してしまうのは仕方がないことかもしれません。しかし、自分が読んだ絵本を子どもたちが嬉しそうに聞いてくれるのは、実はとてもステキな経験なのです。失敗したらどうしようとネガティブに考えすぎず、子どもたちと好きな絵本で盛り上がろうという気持ちで読み聞かせに臨んでみてくださいね。

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