【責任実習・全日保育】指導案の書き方を徹底解説!! 書き方

【責任実習・全日保育】指導案の書き方を徹底解説!!

保育士資格を取得するために必要な保育実習では、最終日付近に『責任実習・全日実習(以下、責任実習)』と呼ばれる、実習生が実際に子どもたちの前に立って1日活動を行う実習日が設けられています。

責任実習は保育実習の集大成ともいえる重要な実習です。1日をとおして実習生自身が主体となって活動をすすめていくので、責任実習を体験することで将来保育士として働くようになったときのイメージもわきやすくなります。

実際に子どもたちの前に立つことで、自分が苦手に感じた部分や強みを見つけることもできるため、その後に必要な学びや活動を考えることにも役立ちます。責任実習は保育士になるための大きな一歩となるでしょう。

そこでこの記事では、責任実習に向けた指導案の書き方のポイントや、責任実習を行ううえで気を付けたいことを紹介していきます。

責任実習の前に行う部分実習については、『部分実習・部分保育の指導案を書くポイント』で紹介してますので参考にしてくださいね。

部分実習や責任実習で書く指導案とは

指導案とは

保育における指導案とは、保育園や幼稚園などの教育目標をより具体的に示した、保育・教育の計画のことです。保育士は子どもの年齢や興味・関心、人間関係など、一人ひとりの発育や発達状況に合わせて指導案を立てていきます。

指導案にはねらいや目標が記載されており、そのねらいに沿って遊びや活動の内容が構成されていきます。また、その保育活動での子どもに対する保育士の配慮や環境構成、行動、声掛けなどが記載されています。
保育士はこの指導案に沿って保育を展開し、子どもの成長を援助していくのです。

指導案の種類

保育園で働いている保育士は、日々指導案を作成し保育を行っております。
指導案の種類は、大きく分けて【長期指導計画【短期指導計画】の2つがあります。
この2つの指導案は厚生労働省が定める保育所保育指針を基に作成されています。

長期指導計画

保育士が主に作成する長期指導計画は、さらに2種類に分けられます。
1つ目に、1年間の保育計画を立てる『年間指導計画』
2つ目に、その年間指導計画をより具体化し月単位で保育計画を立てる『月案』

【年間指導計画】
4月~翌年3月までの1年間における、保育園生活や保育活動の見通しを立てることを目的としています。年間指導計画では、子どもの成長を促す保育ができるように1年間の流れを意識しながら作成します。

月案】
年間指導計画をより具体化するために、月単位で保育園生活や保育活動の見通しを立てることを目的としています。前月末の子どもたちの様子や発達段階、季節などを踏まえながら、子ども一人ひとりの発達に合った保育士の援助について具体的に記載します。

短期指導計画

保育士が主に作成する短期指導計画も2種類あります。
1つ目に、月案をより具体化し週単位で保育計画を立てる『週案』
2つ目に、その週案をより具体化し1日単位で保育計画を立てる『日案

【週案】
月案のねらいを達成するために、週単位でどのような活動に取り組むか見通しを立てることを目的としています。計画を立てるにあたり、前週の子どもの姿や興味・関心を踏まえて作成していきます。また、天気予報から天候や気温などを考慮し、活動内容を考えて作成します。

【日案】
週案で計画した内容を時系列で活動の準備や流れ、保育士の配慮など記載していきます。
複数人でクラス担任をしている場合は、保育士の動きやどの担当などか記載していることが多いです。また、保育をスムーズに行えるように、どのように活動を展開するのか、1日の子どものタイムスケジュールを見通して細かく立てています。

保育実習で作成する指導案はこの『日案』が大半です。

責任実習とは?

責任実習は保育実習の最終日付近に設けられることが多く、指定されたクラスで、保育士として一日子どもたちの活動を主導していきます。

これまでの部分実習で学んだことを活かして指導案を作成し、子どもの発達にあった保育を登園から降園までの1日分計画します。子どもの排泄を誘導したり、食事やお昼寝などの準備をしたり、ときには実習生が担任である先輩保育士に指示する場合もあるなど、とても緊張感のある1日となります。

責任実習は事前に「2歳児クラスで行ってください」や「4歳児・5歳児合同で行ってください」など実習先の保育園から指定される場合が多いでしょう。しかし、もしやりたい主活動がある場合は「1歳児クラスで責任実習をしてみたい」などやりたいクラスを保育園に希望してみるのもよいでしょう。

保育園によっては希望通りのクラスで責任実習をさせてもらえるかもしれません。

責任実習でどんな活動をしたいかは、オリエンテーションの前には考えておくといいですね。

責任実習の指導案を書くために必要なこと

責任実習で重要となるのが指導案です。指導案では子どもがどのように動くかを予想し、その動きに対して自分がどうアプローチしていくのか、声掛けに必要な言葉や行動を整理しながら記入していきます。誰が見てもわかりやすい書き方をこころがけましょう。

子どもが安全に楽しめる保育を行うには、指導案の作成と同時に事前の準備も必要です。

責任実習するクラスの子どもの様子や保育園のルールを確認

指導案を記入する前に、保育園のルールや、責任実習を行うクラスの子どもの様子を確認しておきましょう。

実習では1週目にいろいろな学年やクラスを順に観察させてもらい、2週目から最終日までは責任実習を行うクラスに入るというスケジュールをとっている場合が多いです。

そのため、オリエンテーションで責任実習を行うクラスを確認するとともに、園やクラスのルール、子どもの様子を聞いておくと、指導案もスムーズに記入することができます。

また、指導案の書き方も園によって異なりますので事前に確認しておきましょう。

【指導案の書き方や園でのルールの確認事項例】
• 子どもの名前の呼び方と指導案への書き方(イニシャルか、個人を特定されない書き方をするか)
• 障がいを持っている子、配慮が必要な子はいるか
• アレルギーを持っている子はいるか、いる場合はどのような対応をするのか
• クラスの雰囲気や流行っている遊び
• クラスでのルール
• トイレの行き方や場所、援助が必要かどうか
• 幼児クラスの場合、オムツの子はいるか
• 教材の準備や使用していいものは何か

責任実習の主活動に使う教材や教具の準備

主活動を製作にしようと考えている場合、教材や教具を事前に準備する必要があります。

実習先の保育園の備品を利用してもよい場合と、すべて自分で用意しなければならない場合があるため、保育園に確認しておきましょう。

また、実際に製作物を1度作ってみて、担当保育士に確認してもらう必要があります。担当保育士から安全性について指摘があった場合は、工程や製作物を変更するようにします。

教材の数は子どもの人数に加え、見本、実習生、担任保育士、失敗した分の予備など多めに用意しておくといいでしょう。

【教材や教具の確認事項例】
• 教材や教具は保育園のものを借りていいか
• 自分で用意する場合、費用は自分の持ち出しか、園か学校が負担してくれるか
• 作ったものの安全性は問題ないか
• 作る工程が子どもの月齢にあっているか
• はさみやのりなど教具を子どもがどのくらい使ったことがあるか

責任実習の指導案の作成

保育実習の責任実習(全日実習)での指導案の書き方

指導案は保育園によって書き方が異なります。子どもの個人名を記入して一人ひとりに対する配慮を考える必要がある園もあれば、おおまかな流れを指導案に書き、別紙に配慮を箇条書きするといった手段をとっている園もあります。

責任実習はオリエンテーションの時点で日程が決められていることが多く、遅くとも実習開始日には日程とクラスが伝えられます。

責任実習の指導案は、初日に担当保育士と大まかな流れを相談した後記入し、実施日の1週間前までには提出したいところです。

その後、担当保育士からアドバイスを受け、指導された内容をもとに再度提出する流れが多いです。再提出のことを考え、できるだけ早めに提出すると内容や書き方の変更に余裕をもって対応できるでしょう。

雨天時の指導案も作成しよう

天候は子どもたちの生活や遊びの内容にも大きく影響します。主活動を散歩や園庭での運動遊びのような、戸外で行う活動にした場合、雨天時はどうするか考える必要があります。

もともと室内遊びを計画している場合でも、例えば雨天時にはホールをほかのクラスも使用するため実習で使える時間が限られたり、クラスをパーテーションで仕切っている場合は隣のクラスも室内にいて普段より騒がしくなったりするといったことも考えられます。

担当保育士に雨天時の保育園のルールを確認し、必要であれば雨天時の指導案も計画しましょう。

責任実習の指導案を書くときのポイント

責任実習_書き方の例文

【責任実習例をすべて見たい方はこちらをクリック】

責任実習の保育内容(活動)

責任実習の指導案は1日の活動全てを記載するため、部分実習と比較するとかなり長くなります。

びっしりと書き込まなくてはなりませんので、読みやすさも大切になってきます。1つの文章を長くしすぎず、短く簡潔にまとめられるよう心がけるといいですね。

活動中に話そうと思っていることは「」書きで記載したり、個別対応についての記載が多くなってしまった場合は別紙にまとめたりすると、より見やすくなります。

子どもは自分が想像するよりも多くの反応を示してくれます。マイナスなこと(例えば、保育士の話をきいていない、友だちとのおしゃべりに夢中になる)でも、予測して対処法を記入しておくことで、実習中の急な展開にも備えることができます。

そのため、指導案には予想できるだけの子どもの反応をあげて、対処法を考えて記載しておくと、いざというときに安心です。

ねらい

1日の保育のねらいを記入します。主活動のねらいにしてしまいがちですが、主活動を通して、どんな1日を過ごしてもらいたいかという視点で書くとわかりやすいですね。

例にあげている指導案では、主活動に「フルーツバスケット」を設定しており、ねらいが「フルーツバスケットを通してくだものの名前や色に興味を持ち、友だちと一緒に楽しむ」となっています。

そして、お昼寝前の絵本に「くだものの絵本」を読む、夕方の戸外遊びで「色鬼を楽しむなかで色を探す」という活動を行うことで、1日を通して主活動の世界に浸ることができるよう考えています。

環境構成

1日の流れをよくするためにも、環境設定を考えておくことは大切です。

主活動のとき、給食のとき、午睡のとき、おやつのとき……と場面によって環境設定は大きく異なります。

年齢やクラスのレイアウト、子どもの様子によっても異なるので、責任実習を行うクラスではどんな環境設定を取り入れているか、担当保育士に聞いてみるのもいいですね。

下記の項目を意識した指導案の書き方をするとわかりやすいでしょう。

【指導案を書く際に気を付けるポイント】
・子どもが活動しやすい環境か
・子ども全員を見渡せる位置に保育士(実習生)が立っているか
・援助が必要な子どもはいるか
・準備が必要な物はないか

場面が切り替わるときの導入

導入とは、活動を行う前に子どもたちに興味関心をもってもらうための働きかけのことです。

主活動に入る前の導入をイメージしがちですが、1日の流れは朝の会から始まっています。

例にあげている指導案では、朝の会のときに「ぼくのミックスジュース」の歌や「ミックスジュース」の手遊びを取り入れています。この段階から主活動で行うフルーツバスケットを意識していますね。

そして、朝の会から主活動に移るとき、主活動からお昼に移るときなどの活動の切り替えの部分で、絵本や手遊びといったワンクッションをおくようにしています。子どもたちが落ち着いて次の活動に移動できるような配慮です。

保育実習のなかで、保育士が活動の切り替え部分でどのようなことをしているかを見ておくといいですね。

指導案をしっかり準備して責任実習に備えよう

責任実習の指導案の書き方、ポイントやコツについてまとめてご紹介しました。
責任実習はとても緊張するものです。正直「不安だな」「何をすればいいかわからないな」とマイナスなイメージを持ってしまうこともあるかと思います。

しかし、実際に子どもの前に立ってみると、子どもが思いがけない嬉しい反応を示してくれたり、「先生すごい!」と話しかけてくれたりと、達成感や充実感を味わうことができる機会でもあります。

やってみるとあっという間に1日が過ぎ、「もっとこうすればよかった」「これはいい反応をしてくれた」という気づきも増えるでしょう。

担当保育士との打ち合わせをしっかりと行い、よりよい責任実習になるような指導案の書き方をしてみましょう。

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