保育実習の初日に、子どもの前で行う自己紹介。ただ名前を言えばいいというわけではない、とわかってはいても、実際にどんな自己紹介をすればよいのか、グッズは必要なのかと不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
これまでに筆者が見てきた保育実習では、多くの学生が手作りのグッズを用意して自己紹介をしていました。ですが、必ずしもグッズが必要かと言われればそんなことはありません。
この記事では、言葉だけでできる自己紹介からグッズを使った自己紹介まで、保育実習におけるさまざまな自己紹介を紹介していきます。自分にあった自己紹介の仕方を見つけてくださいね。
また、自己紹介の方法については『実習の自己紹介についてのポイント』も合わせて参考にしてください。
好きな食べ物や得意なスポーツで自己紹介
自分の好きなものや得意分野を紹介するパターンです。「りんご」や「ケーキ」、「サッカー」など、子どもになじみのあるものであれば共感も得やすく、また絵にする場合も数枚で終わるのでグッズ作りに時間もかからずおすすめです。
例)おはようございます! 私の名前は田中あかりです。好きな食べ物はりんごです。りんごが好きな人はいますか? (「はーい! 」など子どもの声)たくさんいますね。私は保育園の先生になるためにお勉強しにきました。⚪︎月⚪︎日までこの保育園にいますので、みなさん一緒に遊びましょう。
あいうえお作文で自己紹介
あいうえお作文というと「『あ』あかるくて『い』いつもげんきな…」のような文章がイメージされますが、保育実習での自己紹介で見かけるあいうえお作文は、子どもに身近な単語を使って名前を紹介するものが多いようです。
画用紙やスケッチブックでグッズを作る方法が一般的で、名前の文字数分の絵を描くことになります。
8文字など長い名前の場合は苗字を省き名前だけにするなどの工夫が必要ですね。
例)苗字からの場合
「みなさん、おはようございます! 私の名前は(スケッチブックを開いて)たぬきの『た』、なすびの『な』、カメの『か』……」と一文字ずつ紹介してから「続けて言うと、田中あかりです! みんなと一緒にたくさん遊びたいです。よろしくお願いします! 」
例)名前のみの場合
「私の名前は『たなか あかり』です!あかりの『あ』は『アイス』の『あ』……」と先に名前を紹介してから絵を見せていくパターンもあります。
クイズ形式で自己紹介
名前や好きなものなどを答えにしてクイズを作り、それを子どもに出題する方法です。
子どもはクイズが大好きなので喜んで答えてくれますが、あまり出題数が多かったり、難しかったり、複数の答えが考えられるようなクイズの作りの場合、白熱しすぎて収集がつかなくなってしまうケースもあります。
子どもの反応や受け持つ子どもの年齢なども想定しつつクイズを作るといいでしょう。
口頭だけでクイズを出すこともできますが、ヒントや答えを絵にしたグッズを使うことでより子どもがイメージしやすくなりますよ。
例)「みなさん、おはようございます! 私は保育園の先生になるために、お勉強をしにきました。一緒にたくさん遊びましょう。今日は私の名前をクイズにしてきたので、当ててください! わかったら答えを言っていいですよ。ではよく聞いてください。私の名前には色の名前が入っています。トマトや、郵便ポストと同じ色です。何色でしょう? (問題の途中から大きな声で答えているはず! )わかった人がたくさんいますね、ではせーので答えを言ってください。せーの! (あかー)正解です。私の名前は田中あかりです。みなさん、よろしくお願いします。」
使いやすい! 自己紹介グッズの作り方
ここからは保育実習の自己紹介で使えるオリジナルグッズの作り方を紹介していきます。応用が効きやすく、作りやすく、また持ち運びにも困らないような筆者おすすめのグッズです。
スケッチブック絵本
スケッチブックを使って、絵本のように1枚1枚絵や文字を描いて自己紹介する方法です。
上記に紹介した自己紹介はだいたいこれでできてしまうという万能さと、準備するものの少なさから、一番おすすめできるグッズです。
作り方というほどの作り方はありませんが、「あいうえお作文」を例に画像を使って紹介します。
【材料】
・スケッチブック
・筆記用具(太めのペンと色をつけるペンやクレヨンなど)、
・インデックス用のマスキングテープ
【作り方】
①名前の各文字に応じた単語を決めて1ページに1つ書いていく。
※ひらがなのページ、絵のページとわけてもいいですが、めくる動作が倍になるのであまりおすすめしません。子どもにとっても絵と文字を同時に見たほうが理解しやすいでしょう。
②最後にフルネームを書く。
③めくりやすいようにインデックスをつける。紙の切れ端でも代用可能ですよ。
ペープサートを使った自己紹介
ペープサートとはいわゆる紙人形劇のことです。普段の保育では短いお話や歌の導入に使うことが多いですが、これを自己紹介に応用する方法もあります。
ペープサートの良いところは、裏表を使って仕掛けができることと、複数の絵を同時に見せられることです。
ここでは好きな食べ物をクイズにする自己紹介として、作り方を紹介します。
【材料】
・画用紙
・筆記用具
・割り箸
・はさみ
・テープ
・のり、ボンドや両面テープ
【作り方】
①仕上がりの大きさを決めて、表面の絵を描いたり画用紙を貼ったりする。
②画用紙を2枚重ね、余白を残して絵の周囲を切り取る。
※できあがりをきれいな丸にしたい場合は、お皿などで型をとり、2枚切ってから絵を描いてもいいですよ!
③そのまま裏返して表面の絵に対応する裏面の絵や文字を描く。
※表裏両方の絵を描いてから2枚合わせて切り取る方法もありますが、裏面の絵が切れてしまうおそれがあるので今回はこちらの方法で紹介しています。
④画用紙の間に割り箸をはさみ、テープでとめる。
※テープが浮いてぐらつかないように、しっかりとめましょう。
※割り箸にマスキングテープを巻いてもかわいいですよ。
⑤もう1枚の画用紙を貼り合わせる。
※この工程はのりでもできますが、薄い画用紙だと乾いたあとに紙がゆがみやすいです。
また、厚紙だとのりではつきにくいです。両面テープがあればそちらをおすすめします。
⑥最初にシルエット側を見せ、裏返すと正解の絵が現れる仕組みです。
パタパタを使った自己紹介
もともとは民芸品である通称「パタパタ」。お土産などで木製のパタパタを見たことがある方もいるのではないでしょうか。
上記の2つにくらべ少し手間がかかりますが、手品のようなワクワクが感じられる楽しいグッズです。
効果的に見せるためにも、事前に動かし方を練習するといいでしょう。
【材料】
・同じ大きさに切り取った段ボール (作りたい段数×2)、
・段ボールの縦の長さ+4センチほどのリボン×4を、段数よりひとつ少ない組分(布リボンでも紙テープでも可)、
・のりやボンド、両面テープなどの接着剤、
・持ち手をつける場合は割り箸など
・段ボールと同じサイズの紙に絵や文字を描いたもの(リボンがあるので両端2センチほど余白をとる)
【作り方】
①段ボールに、上側は両端2本、下側は左右にリボン1本分の隙間をあけて2本のリボンを貼りつける。
これを作りたい段数よりひとつ少ない分用意する。
今回は5段なので4枚に貼りつけます。
②リボンのついている段ボールの上からリボンのついていない段ボールをぴったり貼りつける。
段ボールの間からリボンが出ている状態になります。
③上側2本のリボンを奥から手前に、下側2本のリボンを手前から奥に、貼り付けた段ボールの上に重なるよう折り曲げる。
④この上に、リボンのついた段ボールを①と同じ向きで重ねる(ここは貼りつけないで重ねるだけです)。
※そうすると一番上に重ねた段ボールについているリボン4本と、下に挟まっているリボンの端っこ4本で、8本のリボンが見えている状態になります。
⑤上側の短く見えているリボン2本を、長いリボンの内側になるよう手前に折り曲げて貼りつける。
下側の短いリボンも同様に、長いリボンの外側になるよう貼りつける。
※この時リボンを引っ張りすぎず、少しゆるいくらいで貼りつけるほうが仕掛けを動かしやすくなります。
⑥ ②〜⑤を段数よりひとつ少ない分繰りかえし(今回は4回)、持ち手をつける場合はここで割り箸などを貼りつけます。
最後にリボンのついていない段ボールを全面貼りつけて、仕掛けの完成です。
※持ち手をつけることで仕掛けを動かしやすくなりますが、大きさによってはかなり頑丈につけないと動かせないです。
持ち手がなくてもコツをつかめばうまく動かせるようになるほか、持ち手がない方が収納や持ち運びにも便利なので、保育実習の場合はこちらがよいかもしれません。
⑦表面の絵を描いた紙を上から順に差しこみ、紙が落ちないよう貼りつけます。
紙テープで作った場合はやぶれないよう気をつけてください。
⑧仕掛けを動かしてから裏面の絵も差し込み、完成です。
手作りの名札の良さ
普通の名札に比べて目立つため、遠くからでも名前が見えるだけでなく、子どもの好きなキャラクターなどをモチーフにすればそれだけで会話のきっかけが生まれます。
この手作り名札を自己紹介のグッズとして保育実習で活用することも可能です。
自分の好きなキャラクターや色を使っていれば、「私の好きな色はなんでしょう?ヒントはこの名札に隠されています」などのやりとりが楽しめます。
自己紹介の導入は必要?
ここまでに紹介したグッズを使った自己紹介のほかにも、手遊びや歌を一緒に歌ってもらったり、絵本を読んだりする方法もありますが、自己紹介でそれらを行う目的は「まず実習生に注目してもらう」ことです。
口頭で自己紹介をしてから一緒に手遊びを楽しむといった流れの場合はまた別ですが、実際の現場では先輩の保育者が子どもの注目を集めたうえで「ではお願いします」と振ってくださることがほとんどですので、その場合は注目を集めるための導入を再度する必要はありません。
「手遊び」「絵本」は保育実習期間内の部分実習で実施できることが多いので、オリエンテーションで確認してみてください。
自分にあった自己紹介の仕方を見つけましょう
今回はさまざまな自己紹介の事例と、グッズの作り方を紹介しました。
ここに紹介したほかにも自己紹介の方法はありますが、まずは自分の名前、そして実習先の園に合った方法を探してみるといいでしょう。
例文のとおりにやる必要はありませんので、自分の言いやすい、やりやすい内容に変えていき、ぜひオリジナルの自己紹介を作って、保育実習を楽しくスタートしてくださいね。