保育士を目指し就職を考えている方のなかには、働き始めるタイミングで一人暮らしを検討する方も多いのではないでしょうか。
一人暮らしをしたいと思っても、「保育士は一人暮らしできるのか」「金銭的な問題はないのだろうか」と不安を感じる方もいるでしょう。
一人暮らしをする場合は、「自分のペースで生活できる」「生活力が身につく」といったメリットがある反面、いくつか気になる点もあります。
今回は、保育士が一人暮らしする際のメリット・デメリットについて詳しく紹介します。
保育士の一人暮らしにかかる費用や、一人暮らしのポイントもあわせて解説するので、保育士を目指し就活中の方はぜひ参考にしてみてください。
保育士は一人暮らしできるのか
初めて一人暮らしをする方は、「仕事をしながら家事までできるか」「保育士の給料だけでも生活していけるのか」といった部分に不安を感じることもあるのではないでしょうか。
特に現在実家暮らしの方は、今の生活スタイルから大きく変化することになります。一人暮らしのほうが合っているケースもあれば、場合によっては一人暮らしが辛く感じることもあるかもしれません。そのため、一人暮らしを検討している場合、まずは一人暮らしのメリット・デメリットを知ることが大切です。
また、生活費がどの程度かかるのか、費用目安を確認しながら自身のケースでシミュレーションしてみましょう。金銭面についてあらかじめしっかりと計画を立てておくことで、実際に一人暮らしをすることになった場合にも安心して生活することができるでしょう。
保育士が一人暮らしをするメリット・デメリット
保育士が一人暮らしをするメリット・デメリットを事前に確認することで、「こんなはずではなかった…」「やっぱり実家暮らしに戻りたい」といったミスマッチを減らすことができます。
ここでは保育士が一人暮らしをするメリット・デメリットをご紹介します。
保育士が一人暮らしする三つのメリット
自分のペースで生活できる
一人暮らしをすると、寝る時間や入浴の有無、食事内容など、すべて自分の都合やペースに合わせて自由に過ごすことができます。
シフト制の保育園であれば、日により出勤時間や退勤時間が変わります。行事があるときなどは、準備で朝がはやかったり、帰りが遅くなってしまうこともあるかもしれません。
家族と生活している場合、余計な心配をかけないようにと、帰宅時間を知らせたり休日の予定を知らせたりしている方もいるかもしれません。
一人暮らしであれば、家族に気を使ったり迷惑をかけたりすることも少ないため、ストレスを感じにくい環境を得ることができるでしょう。
生活力が身につく
料理や洗濯、掃除などのスキルが身につくのもメリットの一つです。一人暮らしでは、家事や炊事を自分で行う必要があります。栄養面を考えながら料理を作ったり、衛生的な暮らしのために掃除をしたりするなかで、生活力が身につき自然と自立できます。
また、一人で生活しながら生活費の使い道や節約方法などを考えるなかで、お金の使い方を学べるのも嬉しいポイントです。社会人で一人暮らしをするとなると、学生時代と同じようにはいきません。先の生活のことまで考えながらお金を使うようになることで、金銭感覚が身につきます。
住む場所を選べる
一人暮らしをすることで、自分で住む場所を選ぶことができます。職場の近くに住むことができれば、通勤時間を短縮することができます。早番のときでも少し時間に余裕を持つことができるでしょう。
職場の近く以外でも、駅やスーパーの近くといった利便性や治安がよいといった安全性など、住む場所の立地条件は重要なポイントです。
遅番終わりでも、遅くまで空いているスーパーが近くにあるか、帰り道に街頭や人通りが多いかなど、自身の条件にあった立地を選ぶことで、余裕を持った生活を送ることができるでしょう。
保育士が一人暮らしする四つのデメリット
家事の負担がある
一人で生活していくためには、すべての家事を自分でしなければなりません。例えば、以下のような家事が挙げられます。
料理
掃除
洗濯
買い物
片付け など
特に保育園が繁忙期のときは、帰宅してから家事を行うことを辛いと感じてしまうこともあるかもしれません。どんなに疲れていても他の人に任せることはできません。睡眠時間や自分の時間を確保するために、効率的に家事を行う必要があるでしょう。
また、一人暮らしをすることで、病気やケガをした際に誰にも頼れないというデメリットもあります。実家暮らしであれば、食料品の買い出しや着替えのサポートなどを家族にお願いできるでしょう。
家賃や光熱費の費用負担がある
一人暮らしをすると、実家暮らしでは発生しなかった家賃や食費、光熱費なども自分の給料から支払う必要があります。
ある程度、工夫次第で節約をすることはできますが、固定費は必ず発生するものです。
固定費やイレギュラーで必要となった費用を除いた分が自由に使えるお金です。
思うように貯金ができなかったり、趣味のためのお金が足りなかったりといった事態が生じる可能性もあるでしょう。そのため、収支をしっかり管理する必要があります。
防犯面に不安がある
仕事に行く時間帯は、長時間、家のなかに誰もいない状態になります。遅番のときには、帰りが遅くなることもあるかもしれません。そのため、「空き巣に入られないか」「変な人に家を知られたらどうしよう」というように不安を感じることもあるでしょう。
一人暮らしをする際には、オートロックなどのセキュリティ対策がされているか、通りに面しているかなど、防犯面を考慮した物件を探すとよいでしょう。
ピアノなどの楽器を練習する際には注意が必要
保育士の業務の中で、子どもたちと一緒に歌を歌ったり、出し物のために歌の練習をしたりと、ピアノを弾く機会は多いでしょう。
ピアノを家で練習したいと思っても、床の補強などが必要のため、ピアノを持ち込める物件は限られています。楽器可の物件であっても、家賃が高かったり、立地がよくなかったりと、自身の条件にあった物件を探すのが難航するかもしれません。
また、防音設備がついていない部屋であれば、ピアノなどの楽器の練習をする際には、音や時間帯などに配慮しなければなりません。キーボードや電子ピアノでヘッドホンやイヤホンをつけるなど工夫が必要でしょう。
保育士の一人暮らしにかかる費用
保育士が一人暮らしをする場合、一番気になるのは金銭面ではないでしょうか。
収支をきちんと管理をすれば一人暮らしも可能です。
ここでは、一般的にどれくらいの費用がかかるのかをご紹介します。どれくらいの給料が必要になるのか、就職先の給料でも一人暮らしできるのか、自身のケースに合わせてシミュレーションしてみましょう。
初期費用
家賃や購入するものの内容により費用は異なりますが、初期費用は約30万円〜50万円程度(家賃5か月分)と言われています。初期費用としては、主に以下のような費用がかかります。
・引っ越し代金:実家から荷物を移動する費用
・敷金:保証金として預ける費用
・礼金:大家さんへの謝礼
・家具や電化製品、日用品の購入費用:生活に必要なもの など
その他、不動産会社への仲介手数料や住宅の火災保険料など細かい諸費用も発生します。一度にまとまった金額が必要になるため、事前にお金を用意する必要があります。
月額費用
引っ越しが終わった後も、月々の支払いが生じます。総務省統計局が発表した「家計調査報告」によると、一人暮らしにかかる費用は月16万円程度であると記されています。内訳は以下のとおりです。
・家賃:6万円
家賃の相場は住む地域や建物の築年数、設備などによって大きく異なります。平均的には6万程度は必要になると考えておきましょう。また、女性の一人暮らしの場合、防犯面も気になるところです。家賃が安い物件は、セキュリティが不十分の可能性があります。安さだけで決めずに、総合的に判断する必要があるでしょう。
・光熱費:1万円
光熱費とは、電気・ガス・上下水道などの費用のことです。
地域や自宅にいる時間、契約する会社によって費用は異なります。
冷房や暖房を使う夏と冬は、光熱費が高くなる傾向があるため、あらかじめ考慮できるとよいですね。
・通信費:1万円
インターネットや携帯電話などの通信にかかる費用です。
私用する携帯電話やネット回線のプランによって費用は異なります。
ネット回線はさまざまありますが、物件により契約できる回線とできない回線があります。
また、すでにインターネットが完備されている物件もあります。そういった物件であれば、インターネットの利用が無料となっている場合が多いため、携帯電話の費用のみで済みます。家でネット回線の利用を検討している場合は、事前に確認しましょう。
・食費:3万円
食事にかかる費用です。
自炊や外食の頻度によって費用は異なります。住む地域によって物価が安いこともあります。自炊をする場合は安く抑えることができますが、外食をメインに考えている場合は、食費が高くなる傾向があるので注意が必要です。
・交際費:2万円
友人との外出や、同僚との食事などにかかる費用です。趣味や自己投資への費用も交際費に含まれます。楽しみがあると心身のリフレッシュになるので、我慢しすぎないように確保しておきたい費用でもあります。
・雑費:3万円
医療費や冠婚葬祭費用など、不定期に発生する出費は雑費に区分されます。雑費は使途不明になってしまうケースも多いため注意が必要です。なににどれくらいのお金を使用したか、メモに残すなど、しっかりと管理しましょう。
一人暮らしにはお金がかかります。そのため、事前に計画を立てて生活していくことが大切です。
参考:家計調査報告/総務省統計局
保育士が一人暮らしするためのポイント
一人暮らしをするためには事前の準備が必要です。ここでは、保育士が一人暮らしするためのポイントをご紹介します。事前にポイントを確認しておくことで、一人暮らしを実現できる可能性が高くなるでしょう。
お金を貯め
まずは、お金を貯めましょう。先述したとおり、一人暮らしをするには初期費用として、約30万円〜50万円程度かかります。
また、働き始めたとしても、給料がもらえるのは1か月後です。給料が支給されるまでの生活で必要なお金も用意しなければなりません。そのため、80〜100万円程度用意しておくと安心です。
制度を利用する
自治体や園によっては、住宅補助が適用されたり借り上げ社宅制度が利用できたりする場合もあります。こういった制度を利用することで、一人暮らしにかかる金銭的な負担を減らすことができます。
保育士宿舎借り上げ支援事業
保育士宿舎借り上げ支援事業とは、保育士向けの家賃補助制度です。保育士のための宿舎を借り上げている園に対して、家賃の一部〜全額(一人当たり上限額8万2,000円)を、国や自治体が補助するサービスになります。
対象施設は「認可保育園」「認定こども園」「小規模保育事業」などです。また、この施設を借りられるのは、基本的には1日6時間以上かつ月20日以上勤務する常勤保育士となっています。地域によっては実質的に家賃がほとんど無料になるケースもあります。家賃は生活費でも多くの割合を占めているため、この家賃補助制度を利用することで、余裕をもって一人暮らしをすることができるでしょう。
参考:保育士宿舎借り上げ支援事業/首相官邸
住宅補助
住宅補助は、居住費用を補助することを目的として行われる、福利厚生の一つです。実施は任意とされているため、園により導入している場合としていない場合があります。住宅補助の種類(一例)は以下のとおりです。
・住宅手当:住宅を購入しローンを組んでいる社員に対して、住宅ローンの一部を現金で補助する制度です。手当の金額は勤務先により異なります。
・家賃補助:アパートやマンションなどの賃貸物件に住む社員に対して、家賃の一部を補助する制度です。現金支給であることが一般的とされています。「保育士宿舎借り上げ支援事業」とは異なり、契約者は自分になるため、自身で物件探しを行うことになります。
・社員寮・社宅:自社(園)で物件を保有しているケースもあります。家賃を無料~低価格で提供してくれるため、家賃にかかる費用を抑えられます。夜間保育を行っている保育園では、社宅を用意していることが多いようです。
・引っ越し手当:引っ越しにかかる費用を勤め先が補助する制度です。荷物が多いと、引っ越し代金が高額になることも珍しくありません。引っ越しにかかる費用が補助されれば助かるというひとも多いでしょう。
まとめ
保育士の給料でも、収支をきちんと管理すれば、一人暮らしをすることは可能です。一人暮らしをする際には、どれくらいの費用がかかるのか、勤める保育園には家賃補助などの制度があるのかなど、事前に確認しましょう。
また、一人暮らしのメリット・デメリットも事前に確認し、一人暮らしが本当に自分の生活スタイルに合っているかを今一度考えてみましょう。綿密に計画を立てておくことで、安心して一人暮らしを始めることができるでしょう。