役所での手続きや車のローン、保険の申し込みをする際などの書類で、「業種」や「職種」の記載を求められることがあります。
保育士の業種と職種、なにを書けばいいかわかりますか?
保育士はよく「サービス業」と誤った認識をされてしまうケースがありますが、保育士は福祉業であり、サービス業ではありません。
福祉業は、高齢者や障害者、そして子どもをもつ働く親など、日常生活で支援が必要な人に対して行う仕事です。
働く親と子どもの発達を専門的な視点から支援していく立場なのです。
本稿では、業種と職種の違い、保育士の業種と職種の書き方、ケース別の書き方をご紹介します。
保育士の「業種」や「職種」とは?
まずは業種と職種について解説します。
業種 | 「事業の種類」を指します。 総務省が発表している「日本標準産業分類」では、 大きく分類すると、事業の種類は20種類に分けられています。 (例:「農業、林業」「製造業」「サービス業」など) 業種ごとに働き方や給与などの特徴があります。 |
職種 | 「職業の種類」を指します。 業務内容ごとに分類された職務名のことです。 大きく分けると11区分になります。 (例:「営業職」「事務職」「技術職」など) |
たとえば「建設業の事務職」「情報通信業の技術職」などのように、業種と職種を組み合わせることで、仕事内容を伝えることができます。
参考:日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)/総務省
参考:賃金構造基本統計調査の新職種区分案/厚生労働省
保育士の「業種」とは?
保育士の業種は以下のとおりです。
大分類:医療・福祉 中分類:社会保険・社会福祉・介護事業 小分類:児童福祉事業 |
書類の記入方式が選択式の場合は、上記のいずれかにチェックを入れましょう。
自由記入の場合は、「児童福祉事業」と記入するとよいでしょう。
大分類・中分類の「福祉業」「社会福祉事業」を記入しても間違いではありません。
保育士の「職種」とは?
保育士の職種は、厚生労働省が示す専門的・技術的職業従事者のなかの「保育士」にあたります。
職種を記入する際には「保育士」と記入しましょう。
職種を選択式で記入する際に「保育士」の選択肢がない場合は「その他」を選びましょう。
ちなみに幼稚園教諭や保育教諭、保育補助の職種は「保育士」ではありません。
幼稚園教諭と保育教諭はそれぞれ「幼稚園教諭」「保育教諭」が職種であり、保育補助は「その他のサービス職業従事者」が職種となります。
適切な職種を選んで記入しましょう。
参考:保育士‐職業紹介/職業情報サイト(厚生労働省)
運営事業者別の「職種」の書き方
基本的に保育士の職種は「保育士」ですが、勤める保育園の運営事業者により他の呼び方をする場合もあります。一部の例をご紹介します。
運営事業者 | 職種 |
公立保育園 | 公務員 |
株式会社 | 会社員 |
社団法人・NPO法人 | 団体職員 |
ただし、公務員は国会議員や消防官などが含まれたりと職種の範囲が広いため、自分の職業を正しく伝えるためには、「保育士」と記載したほうがよいかもしれませんね。
保育士に関連する職種の業種の書き方
保育士に関連する職種はいくつかあります。
ここでは保育士に関連する仕事の職種・業種の書き方をご紹介します。
幼稚園教諭
幼稚園教諭は、満3歳から小学校に入学する前の幼児が通う幼稚園での生活全体を通して、子どもたちの心身の発達を促すための教育を行います。
幼稚園教諭や幼稚園養護教諭とも呼ばれます。
幼稚園教諭の業種は以下のとおりです。
大分類:教育・学習支援業 中分類:学校教育 小分類:幼稚園 |
幼稚園教諭と保育士の業種は、大分類から異なります。
両方の資格を持っている方でも、勤める場所に合わせて業種を選択しましょう。
参考:幼稚園教諭‐職業紹介/職業情報サイト(厚生労働省)
児童指導員
児童指導員は、保護者のいない児童や虐待されている児童など、家庭環境により養護が必要とする子どもが入所する施設などで子どもたちの育成や生活指導を行います。
児童自立支援専門員や児童生活支援員、少年指導員、母子指導員とも呼ばれます。
児童指導員の業種は以下のとおりです。
大分類:医療・福祉 中分類:社会保険・社会福祉・介護事業 小分類:児童福祉事業 |
児童指導員の業種は保育士と同様です。児童福祉事業の中の乳児、幼児、少年に対する他に分類されない福祉事業を行う事業所である「その他の児童福祉事業」に分類されます。
「福祉業」「社会福祉業」「児童福祉事業」と記載しましょう。
参考:児童指導員‐職業紹介/職業情報サイト(厚生労働省)
まとめ
業種は「事業の種類」で、職種は「職業の種類」。
保育士の業種は「児童福祉事業」で、職種は「保育士」となります。
日々の生活のなかで「保育士」という言葉はよく使用しますが、「児童福祉事業」という言葉はあまり使うことがなく、馴染みが薄いかもしれません。
保育士は「福祉」という分野のなかで「児童」を対象にした専門的な業務を行っていることを覚えておきましょう。
公式な書類を記入する際に業種と職種が逆になったり、どちらにも「保育士」と書いてしまったり、といった失敗がないよう気をつけたいですね。