保育実習はつらいと聞きますが、実際のところどうなのか気になりますよね。
この記事を見ている方は、これから始まる実習に不安をかかえているのではないでしょうか。
保育実習前の不安を少しでも取り除けるよう、実習がつらいと感じる場面と、最後まで楽しく乗り切るコツを紹介します。
保育実習がつらいって本当?
保育士資格を取得するには、実習を避けては通れません。保育の仕事を実際に経験できる貴重な機会ですが、初めての環境で多くのことを求められるので、肉体的にも精神的にもつらいと感じてしまう場面が多いといえるかもしれません。
保育実習がつらいあまりに、「資格なんていらないから今すぐ逃げ出したい」と実習を途中辞退してしまう人もなかにはいます。また、責任実習などの指導案を保育実習の準備期間で行うため、文章を書くのが苦手な人にとってはかなり忙しく感じるでしょう。そのため稀にではありますが、事前準備の段階で脱落してしまう人もいます。
保育実習が始まってからは、毎日の保育実習日誌や、子どもや保護者とのかかわり方、保育士から注意を受ける場面があるなど、失敗が重なり落ち込むこともあるでしょう。
失敗も経験のうちですが、それでもなるべくつらい思いはしたくないものです。事前に「何がつらいのか」、「どのように対策すればいいのか」を知っていれば、心に余裕ができるかもしれません。
まずは、保育実習中につらいと感じる場面について紹介します。
保育実習をつらいと感じる場面とは
つらいと感じる場面は、人によって違いますが、以下の3つは特に挙げられることが多いようです。
1.日誌や指導案が書けない、書くのに時間がかかる
2.子どもとコミュニケーションのとり方がわからない
3.実習生としての動き方がわからない
日誌や指導案が書けない
保育実習日誌は、1日の保育の流れ、保育士や子どもの動き、そして実習生の動きを毎日記入する書類です。提出期限は翌朝なので、基本的にその日のうちに書かなければなりません。
1日の活動を詳細に覚えておくのは難しいので、実習中はメモが手放せません。しかし、自分自身が保育に参加するようになると、メモを取る余裕がなくなります。
メモがうまく取れなかったために日誌が書けない、なんとか徹夜で作成しても書き直しの指示をうける……書類作成は、つらいと感じる、いわば保育実習の鬼門といえます。
また、実習先の園によっては修正ペンの使用を禁止していたり、実習日誌の書き方が細かく決められていたりすることもあり、その場合は書式に慣れるだけでも苦労するでしょう。
保育実習日誌には、その日にあったエピソードや考察を書く欄があることが多いです。その際に、子どもの名前を日誌に書いていいのか、イニシャルにすべきなのかなどの決まりごとを事前に確認しておくことで、日誌のやり直しリスクを減らすことができます。
書類の用紙は学校で用意されていたり、実習園から指定されたりとさまざまです。保育実習前のオリエンテーションで、書き方のルールなどを確認するようにしましょう。
子どもとのかかわり方がわからない
どんな言葉がけをしてコミュニケーションを取ろうか悩んだり、なついてくれていたのに急に無視されたり、実習生が子どもの遊びにどこまで加わっていいのかわからなかったり、初めての保育実習では、子どもとの接し方に場面が出てくるでしょう。
学校で行う模擬保育との違いを身をもって体験してしまうことで、つらいと感じてしまうかもしれません。
信頼関係がまだ出来ていない子どもとコミュニケーションをとるときは、とにかく元気と笑顔が大切です。
元気に笑顔で遊びに誘えば、ほとんどの子どもは「実習生大好き!」となってくれます。手遊びや絵本の読み聞かせなど、得意な保育技術を披露するのも、子どもと距離を縮める助けになるでしょう。
また、実践的な準備のほかに、事前に各年齢事の発達状況について復習しておくことで、上手に子どもとコミュニケーションをとる大きな助けとなるはずです。
実習生としての動きがわからない
保育実習中、多くの実習生が戸惑うのが、保育士の手助けをしたらよいのか、子どもの相手をしたらよいのか、判断できない場面にでくわしたときです。
手伝おうとして声をかけたら「今忙しいから後で!」と言われたり、メモを取っているときに「保育に入って!」と注意されたりすると、混乱してしまいますよね。
基本的に、子どもとのかかわりのなかで判断に困る場面があれば、すぐに聞けそうな保育士に尋ねたほうがよいです(ケガや喧嘩の対応は特に)。ただし、急ぎでない用件については反省会の時間に確認しましょう。
メモをとるタイミングは、オリエンテーションの段階で聞いておくのがベストですが、状況によって確認したことと違う指示を出されることもあります。「言っていたことと違う」という混乱が、つらいと感じる結果につながることもあるでしょう。その場合は素直に従い、気になるようであれば前述のとおり反省会で再度確認してみることをおすすめします。
初歩的な疑問でもタイミングを見計らったうえで確認し、不安や混乱を解消していくことが保育実習のつらさを緩和するひとつの手段といえます。
保育実習がうまくいく工夫
ここからは、具体的に保育実習の不安を取り除くコツをお伝えしていきます。少しでも実習がうまくいくように、できることは事前にやっておきましょう!
必要なことは以下の4つです。
• メモのとり方を工夫をする
• 保育技術の準備
• 反省会で疑問を解消する
• ピアノの練習
なお、準備のスタート時期については、オリエンテーション(おおよそ実習の2週間〜1ヶ月前)の前後を目安に始めるとよいでしょう。ピアノなど保育技術については、できるうちから始めておいて損はありません。
メモのとり方を工夫をする
オリエンテーションで日誌や書類などを受け取ったら、どんな項目があるのか実習前に目を通しておきましょう。
書く項目がわかっていれば、ポイントを押さえてメモをとれるので、いざ書類を作成するときに「何を書けばいいかわからない」という悩みが少なくなります。
たとえば、日誌では「子どもの活動」、「保育者や実習生の動き」を時系列で書くことが多いので、あらかじめメモ帳に「時間」、「子どもの活動」、「保育者の動き」、「自分の動きと感想」の4つのスペースを区切っておきます。区切りごとにメモをとれば、素早く書けるうえに、不足事項もなくなります。また、1日の流れをあらかじめメモ帳に書いておくのもおすすめです。その部分に書き込めばいいだけなので時間短縮になるだけでなく、あとから見返したときにわかりやすくなりますよ。
素早くメモをとる工夫をしておくことで、自分自身が保育に参加するようになりメモを取る余裕がなくなってきたときに、とても役に立ちます。
保育技術を実習前に準備しておく
保育技術を事前に準備しておくことで、実習中にあわてることが減り、子どもともしっかり向き合えるようになります。
保育実習では、読み聞かせの機会が多いので、事前に絵本や紙芝居を用意しておき、読み込んでおくと安心です。部分実習や責任実習の際にも活躍します。
子どもは、手遊びも好きです。保育士から「やってみる?」と突然お願いされる場面もあります。長いものや短いものなど、いくつか覚えておくといいでしょう。
簡単な手品やペープサート、パネルシアターなども子どもに好評です。事前に用意しておくことで実習中に作成するといった負担になりません。保育実習での自己紹介にも活用できますよ。ただし、オリジナルのおもちゃを用意する場合は、キャラクター物を使用してもいいのか、ほかに注意すべきことがあるのかなど、必ず担当の保育士に確認してから準備しましょう。
準備のポイントは、子どもの年齢や実習の季節に合ったものを用意することです。幼児向けの絵本を乳児に読み聞かせても、いい反応は得られないですよね。「これくらいならいけるかな?」と自分で決めるのではなく、調べるなどして発達に合ったものを選びましょう。
子どもの発達を復習したい場合は、「保育所保育指針」や学校で利用した教科書などを見返してみてくださいね。
反省会で疑問を解消する
事前に準備をしていても、いざ保育実習が始まれば、さまざまな疑問がわいてきます。実習生としての動き方や、子どもとのかかわり方など、自分で考えても答えがでないことは多いです。
その際は、1日の終わりに設けられる反省会で疑問を解消しましょう。
反省会では、実習生の疑問や質問に対して、担当保育士や園長先生が答えてくれます。保育士から見た実習生の良かった点や、改善点などのアドバイスももらえるでしょう。
実習中に忙しくて聞きそびれてしまったことがあったら、恥ずかしがらずに素直な気持ちで聞いてみてください。つらいと思っていることがあるのであれば、そこも正直に話してみましょう。不安が解消され、気持ちが前向きになりますよ。また、積極的な質問は、保育士からの好感度アップにも繋がり実習評価がよくなる可能性もあります。評価目的だけでの質問は避けたいところですが、積極的に質問することは悪いことではありません。
ピアノの練習をする
オリエンテーションの際に、ピアノ演奏の有無を確認しておきましょう。保育園では、園によって演奏をお願いされることもあります。その際に、自分の伴奏のレベルを恥ずかしがらず素直に伝えておきましょう。あとあと難しい演奏をお願いされなくて済むこともありますよ。
ピアノ演奏がある園であれば、楽譜を先にもらって練習しておきましょう。朝や帰り、季節の歌など、その園お決まりの曲があることも多いです。宗教系の幼稚園や保育園の場合は、賛美歌の伴奏を頼まれることもあるようです。
忙しい保育実習中に、ピアノの練習をすることは大きな負担になります。苦手な方にとってはつらいと感じる要因のひとつになるでしょう。事前にコツコツ練習しておくことが、保育実習中の負担を減らす大きなポイントです。
保育実習にはうれしいこともたくさん!
つらいことが多いと思われがちな保育実習ですが、実習だからこそ得られるうれしいことや楽しいことももちろんあります。
ここでは、保育実習で得られる3つのうれしいことを紹介します。
子どもはかわいいと実感できる
最初は距離があった子どもとも、少しずつなかよくなり向こうから駆けよってくれることもあるかもしれません。信頼関係が結べてきたのを実感できる瞬間は、やりがいを感じると同時に、やっぱり子どもはかわいい! という気持ちで満たされることでしょう。
保育実習中、もしかしたら「自分は保育士に向いていないかも」と落ち込む日もあるかもしれません。それでも子どもと遊んでいると悩みを忘れるくらい、かわいさを感じることができますよ。
保育実習がつらいと感じていても、最終日には子どもとお別れする寂しさでいっぱいになる方が多いのはこのためです。まずは子どもとのかかわりを思い切り楽しんでくださいね。
就職や自分の子どもの園選びに活かせる
「実習先ではこうだったな」と、くらべる対象があると、就職先を決めるときや自分の子どもを預ける園を選ぶときなど、将来的に大きく役立ちます。
「保育士同士の仲がよさそうで連携がとれていそうだな」、「先生が楽しそうに子どもと接しているから安心して預けられるな」など、実際に保育の現場を経験したからこそ見えてくるポイントがあります。
子どもの姿、保育士の動き、園の雰囲気は保育実習を経験しないとわかりません。実習で見たことや学んだことは、社会人になっても役に立つ貴重な糧となるなのです。
先輩保育士のいいところをじっくり学べる
保育実習は、保育で使えるネタをたくさん蓄えられるチャンスです。手遊びや製作物のレパートリー、絵本の読み方など、保育士によってやり方はみんな違います。
子どもにものごとを伝えるときのコツなども、よく見ておくことで次の実習や就職後におおいに役立つでしょう。
就職するとすぐに自分の保育を始めなければならないので、ほかの先生の保育を観察できる機会は少なくなります。
実習中に出会った保育士のいいところはどんどん真似て、自分のものにしておきましょう。
保育実習はつらくても乗り越えると自信になる
保育実習をつらいと感じる実習生は多くいますが、全員がつらいと言っているわけではないのです。この記事を読んで事前準備をしっかりしたことで、思っていたほどつらくなかったと思えるかもしれません。
もし保育実習がつらいと感じても、この数週間を乗り越えると大きな自信になります。この先、社会に出て苦しいことがあっても、「実習であれだけ頑張れたから、今回もできる!」と奮起できるはずです。
保育士になってもならなくても、経験したことは失われません。今しかできない貴重な体験をぜひ楽しんでくださいね。