保育実習に向けた準備はいろいろありますが、なかでも苦戦するのが名札づくりです。これまで、裁縫をほとんどしたことがなかったり、デザインを考えるのが苦手だったりなどの理由で、つい後回しにしてしまう方もいるのではないでしょうか。
今回は、保育実習でつける名札作りの注意点や、実際に使える名札の作り方を紹介します。ぜひ、参考にしてみてください!
記事の後半には、名札の型紙を公開していますので、ご自分で名札を作る際に印刷するなどしてご利用いただけます。
保育実習で名札を手作りする際の注意点
保育実習でつける名札を手作りする場合、いくつか注意点があります。この記事でも簡単に紹介していますが、より詳しい内容を紹介した記事もありますので、そちらにも目を通してみてください。
名札を手作りする場合の注意点について、こちらの【保育実習で使える!】名札作りのポイントをご参考ください。
実習先の園に確認したいポイント
せっかく作った名札がお蔵入りになってしまうことがないよう、保育実習が始まる前に、以下に紹介するポイントをオリエンテーションや電話などで確認しておくと安心です。
✔️手作りの名札をつけて良いか
そもそも、自作の名札を使用していいのか聞いてみましょう。
✔️安全ピンは使用して良いか
園によっては、安全ピンをNGにしているところもあります。安全ピンの代わりに面ファスナーやスナップボタンを使ったり、直接エプロンに縫い付けたりする方法もあります。
✔️キャラクターの使用について
人気のキャラクターは子どもウケがよいので、名札のモチーフとして使いたいところですが、園によってはキャラクターものをNGにしている場合もあります。
✔️フルネームが必要かどうか
一般的には、フルネームで作ることが多い名札ですが、独自のルールで保育士は苗字(名前)で呼び合うこととしている園があったり、デザイン上フルネームが入らなかったりすることもあります。フルネームだからという理由でとやかく言われることはまずないかと思われますが、心配であればこちらも事前に確認しておきましょう。
安全な素材で作る
名札作りには、フェルトや布など、子どもが触れても安全な素材を使いましょう。特に0歳児クラスに入る場合は、口に入れてしまう可能性も考慮して素材を決めます。
パーツが外れてしまうと誤飲に繋がる恐れがありますので、安全な素材でも油断せず、しっかりと縫い付けたり接着剤が剥がれないか確認したりするようにしましょう。
ボタンやビーズなどの装飾パーツはかわいいのですが、糸がほつれやすかったり、硬いので子どもがケガをしてしまったりすることが考えられます。できれば使わないほうがよいでしょう。この記事で紹介している名札は、すべて布やフェルトを使っていますので参考にしてみてくださいね。
保育実習で使う名札作りのポイント
名前や細かいパーツを切る際のコツ
保育実習に向けた名札作りでは、フェルトで細かいパーツや文字を切り出す工程がでてきます。ほかのパーツと同じやり方ではうまく切れない場合があり、名札作りに苦戦する理由のひとつです。そんなときのおすすめの方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
✔️クラフト用、手芸用の刃先の細いハサミを使う
普通の工作バサミや裁ちバサミなどは、小回りが効きにくいですよね。細かいパーツ専用のハサミがあれば、楽に切ることができます。
文字を切る際、特に「の」や「な」など、内側の丸を切り抜く場合は先の細いハサミが便利です。
✔️仮止めクリップを使う
ソーイングクリップと呼ばれるクリップで、型紙とフェルトをはさんで切るときに使います。パーツが細かくて指ではさむと切りにくいときに便利です。100均のミニクリップやカーテンクリップの先でも代用できますよ。
✔️マスキングテープを使う
型紙がずれて切りにくいという場合は、無地のマスキングテープをフェルトに貼り、その上から油性マジックでパーツの形を書き入れます。切ってからマスキングテープをはがせば、型紙がずれるストレスを感じずに切れるのでおすすめです。
【難易度別】名札の作り方
ここからは、実際に保育実習に向けた名札の作り方を紹介していきます。針や糸を使わない簡単なものから、マスコット型になる上級者向けのものまで、難易度別に3種類用意してみました。自分の経験に応じて作りやすいものを選んでみてくださいね。
制作所要時間は、できるだけ丁寧に作業した場合を想定しています。裁縫に慣れている方や、文字を既製品で作る方は、より早い時間で完成できると思います。
初心者向け『りんご』の名札
わかりやすく簡単な、果物をモチーフに使った名札です。
針や糸を使わず接着剤だけでできるので、裁縫が苦手な方でも簡単な作り方になっています。
材料:フェルト(赤、茶、黄緑、桃、水、クリーム)、手芸用接着剤、チャコペン(鉛筆でも可)、型紙、厚紙、はさみ、安全ピン
材料費:およそ250円
所要時間:1時間〜1時間半程度
①型紙からフェルトに移し取り、パーツを切る。型紙をテープやまち針で直接フェルトに貼り、型紙ごと切り取ってもOKです。
②土台となるフェルトより、一回り小さいサイズで厚紙を切る。
☆ワンポイント
土台の間に厚紙や牛乳パックをはさむことで、名札がしっかりとした作りになります。サイズやデザインによって必要ない場合はこの工程はとばしてOKです。
厚紙などをはさむ場合は、角を丸くしておきましょう。縫い目の隙間から角が飛び出してしまうと危険です。
③土台と同じ色のフェルトを安全ピンのサイズに合わせて切り、ロックされる方の針にかぶせて接着剤でとめる。
④土台の裏面に接着剤でとめる。(可能であれば、針と糸で縫うとより丈夫になります。)
☆ワンポイント
名札の上にタグを飛び出させて安全ピンを通す方法もありますが、名札の裏に安全ピンが隠れるようにつけたほうが、より安全です。
⑤えだの部分を2枚貼り合わせてから、土台の内側に接着する。さらにその上に厚紙を置き、表面も接着する。
⑥葉っぱの1枚を裏側から、もう1枚を表側から、土台を挟むように貼り付ける。
⑦名前、装飾パーツをそれぞれ接着剤で貼り付けて完成。
☆ワンポイント
名前は、既製品のワッペンを使うと早いです。その場合は、文字のサイズに合わせて土台の大きさを調整しましょう。
名前を自分で切る際のコツについては、この記事の前半で紹介しています。
初心者~中級者向け『犬』の名札
動物のような、少しパーツの多いタイプの名札になります。針と糸を使っていますが、細かな部分は接着剤を使っていますので、初心者の方でも比較的作りやすいでしょう。
材料:フェルト(茶、うす茶、黒、桃、黄緑、白)、針と糸(フェルトと同じ、もしくは似た色を用意)、手芸用接着剤、チャコペン(鉛筆でも可)、型紙、はさみ、安全ピン、必要に応じて厚紙や牛乳パック
材料費:およそ300円
所要時間:3時間から4時間程度
①型紙に合わせてそれぞれパーツを切る。
②顔のパーツを重ね、まち針などで位置を固定して縫い付ける。まち針がむずかしい場合は接着剤を少しだけつけて、仮止めしてから縫ってもOK!
③眉、目の細かいパーツを接着剤で貼り付け、口は刺しゅうする。
④土台となるフェルトにまち針で固定して、顔、ハート、手の順に縫い付ける。
(手の部分は小さいので接着剤でもOKです。)
⑤土台のフェルトを2枚重ね、まち針で固定してから周り5mmほどの余白を残して2枚一緒に切り取る。ずれやすいので、心配な方は1枚切ってから型取りして残りの1枚を切るなど工夫してみてくださいね。
⑥裏面になる土台のフェルトに、安全ピンを縫い付ける。
⑦土台を再度重ねて、周囲を縫い合わせる。(厚紙や牛乳パックなどをはさむ場合は、ここではさみます。詳細は『りんご』の項目を参考にしてください。)
☆ワンポイント
重ねて縫う場合は、ブランケットステッチがおすすめですが、しっかり留まっていれば大丈夫なので、縫いやすい方法で縫ってください。アップリケ部分をブランケットステッチにしても、かわいい見た目になりますよ。
⑧名前を接着剤で貼り付けて完成。(できる方は名前も縫い付けると、よりしっかりした作りになります。)
中級者~上級者向け『立体のひつじ』の名札
名札のなかに綿をつめて立体になるように作る、立体マスコット型の作り方です。ほとんどの工程を針と糸で進めるほか、目なども刺しゅうで縫っています。
上級者向けとなってはいますが基本的な作り方は変わりません。名札を目立たせたい方は、このようなマスコット型の名札にぜひチャレンジしてみてください。
材料:フェルト(クリーム、茶、白、ペールオレンジ、桃、うす桃、青)、針と糸(フェルトと同じ、もしくは似た色)、手芸用接着剤、チャコペン(鉛筆でも可)、型紙、手芸用綿、はさみ、安全ピン
材料費:およそ350円
所要時間:4時間から5時間程度
①型紙に合わせてそれぞれパーツを切る。
※蹄は小さいので接着剤で張り付けましょう。
②顔、ツノのパーツに刺しゅうをする。
③顔の位置を決めたらまち針で留めて、かがり縫いする。細かいので接着剤で仮止めしてから縫ってもOKです。
④前髪部分も同様に縫う。綿を詰めるので、少しあけておく。
※写真はブランケットステッチで塗っていますが、かがり縫いでもOKです。
⑤ツノも同様に縫い留める。
☆ワンポイント
まち針で留めるのが難しいパーツは、接着剤で仮留めしてから縫うと縫いやすいですよ。
⑥名前を縫い留め、ほっぺやハートなどの装飾パーツを接着剤でつける。
※できる方は細かいパーツも縫い留めてOKです。今回は見た目がかわいくなるよう接着剤でつけました。
⑦裏面に安全ピンを付ける。
⑧表面と裏面を縫い合わせる。途中で足をはさめるため、接着剤で仮止めしておきます。
※ブランケットステッチがおすすめですが、かがり縫いでもOKです!
⑨全部縫う前に、あけておいた部分から綿を詰めます。好みの膨らみになったら最後まで縫い合わせて完成。
自分の作りやすいデザインや方法で無理せず作りましょう!
今回は、保育実習で使える名札の作り方について紹介しました。しかし、ここに書かれていることがすべて正解というわけではありません。安全に作るポイントさえおさえておけば、自分のやりやすい方法に変えて作っても構いません。
もちろん、保育実習の目的は名札ではなく、また、名札のでき具合で評価が変わるわけでもありません。実習で子どもと触れ合うことを楽しみにしながら、無理せずに自分でできる範囲の名札を作ってくださいね。
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