保育学生にとっての最終学年は、卒業単位の取得、保育実習、就職活動と非常に慌ただしいものではないでしょうか。
スケジュールをたてて行動しないと、あっという間に卒業を迎えてしまうということにもなりかねません。
焦る心は判断を鈍らせます。就職活動で後悔しないためにも、早めに保育士の就活スケジュールを把握し、自分の希望に合った保育園の内定を目指してください。
保育士の就職活動はいつから始まる?
就活スケジュールの大まかな流れは、以下のようになります。
【就活スタート(自己分析)】卒業前年度の1月頃~
大学生であれば3年生、短大や専門学校であれば1年生の年明け頃から就活の準備がスタートします。自分の得意なことややりたい保育など自己分析を進めていきましょう。
自己分析をより明確にすることで、どんな保育士になりたいか、どんな保育形態が自分の希望に合っているか見えてきます。
【情報収集(就職フェア、説明会への参加、園見学)】卒業前年度の3月頃~
視野を広げるために合同説明会や就職フェアには積極的に参加しましょう。就職フェアは保育園の採用担当の方や園長先生など、直接話が聞ける貴重な機会です。
また、様々な保育園のホームページを見ることで、どんな特徴があるのか理解でき、自分に合う保育園を見つけやすくなります。
【履歴書等応募書類の準備スタート】卒業年度の6月~9月頃
履歴書の書き方を確認した上で、練習のために一度書いておくとよいでしょう。また、個人情報や学歴、資格など変わらない項目に関しては事前に記入しておき、すぐに提出できるよう準備しておくことをおすすめします。
【私立保育園の採用期間】卒業年度の7月~2月
この時期は保育園の求人数が増えますので、就職したい保育園を見つけ、採用試験に応募しましょう。採用試験は、筆記試験やピアノなどの実技、面接など園によってさまざまです。応募の際に試験内容を確認し、対応できるよう準備を整えていきます。
【内定通知】卒業年度の9月~2月
採用試験の時期により前後しますが、年明け頃に内定を受けることが多いです。内定を受けても学校を卒業できなければ保育士資格を取得することはできませんので、気を抜かず勉学に励みましょう。
※ここで紹介した流れはあくまで一例です。各保育園や各自治体によって採用スケジュールはそれぞれ異なってきます。
保育実習との期間重複に注意
学校にもよりますが、保育実習は6月~10月の範囲で行われることが多いです。つまり、就職活動を本格化させる時期と保育実習の時期が重なってしまうのです。保育実習中は、持ち帰りの課題、実習の準備、行事への参加等時間に余裕がありません。また実習期間中は、慣れない環境での生活で体調を崩してしまうこともあります。保育実習と就職活動を同時に行うのは難しいので、無理をしないようにしましょう。そのためにも、実習前後の就職活動スケジュールを計画的に進めておくことが重要です。
保育業界は採用試験が遅め?
スケジュールを見てわかる通り、保育学生にとって就活の本格的なスタートは初夏~となります。これに対し、一般的な学生の就活はもっと早いです。説明会が3年生(短大生は1年生)の冬頃に行われ、卒業年度の春頃には採用試験が始まります。
保育業界の採用試験日程は、一般的な企業と比べて遅い傾向にあります。このような背景があるので別学部の友達に内定が出ていたとしても、特別焦ることはありません。逆に保育士以外の道も考えているのなら、就職活動のスタートは早めに切っておく必要があります。
保育士の就職活動は何をする?
ここからは、具体的な就活内容について説明していきます。
自己分析
就活のスタートで重要とされるのが、自己分析です。
自己分析とは、過去の経験や将来の理想像を分析し、自分の価値観・長所・短所・特徴などを具体的に知ることです。
自己分析を行うことは、職場の選択基準を明確にすることに繋がります。また、自分の強みや弱みを再発見できるため、面接・応募書類の自己アピール材料集めにも役立ちます。
自己分析の具体的な方法は、こちらの記事にてご覧ください。
保育園の調査
自己分析の次は、就職先候補となる保育園を探していきます。保育園の情報を集める方法としては、次のようなものがあります。
・保育園が行う個別の説明会に出席する
・保育園合同説明会、就職フェアに参加する
・先輩保育士を訪問する
・学校の就職課で相談する
・保育士向け求人サイトを利用する
事前に行った自己分析をもとに、たくさんの保育園の情報を集めていきましょう。説明会や就職フェアは、現場の保育士に具体的な質問ができる貴重な機会です。気になる点はどんどん質問してください。保育園の具体的な情報を見ている間に、自分にとっての理想の保育園像がより固まってくるはずです。
また、保育士向け求人サイトのサービスを上手に利用すれば、就職アドバイザーによって、自己分析の結果にあった保育園を紹介してもらえることもあります。
園見学
保育園を選ぶ際に、重要な手がかかりとなるのが園見学です。園見学では求人情報では分からない保育園の中の様子を知ることができます。
園見学で見ておきたいポイントは、いくつかあります。
・職員同士の連携や雰囲気
・職員が特定の年齢層に偏っていないか
・保育園の保育方針は自分が納得できるものか
・子どもへのかかわり方に違和感がないか
・施設の清潔さ、備品、玩具の過不足等
園見学を行う方法は、いくつかあります。希望の園に電話で問い合わせて申し込みをするのが一般的な方法です。また園見学開催を呼び掛けている園の中には、WEB上から申し込みが可能なところ、就職説明会で予約ができるところもあります。最近では、インターネットを介して遠隔地から園見学ができる保育園も出てきています。
1人で園見学を申し込むのは不安、という人は就職アドバイザーに相談できる就活サイトを利用してみてはどうでしょうか。就職アドバイザーが日程調整を行ってくれたり、見学に同行してくれるところもあります。
応募(エントリー)
情報収集と園見学によって希望の保育園を絞れたら、実際に応募してみましょう。保育園によって必要とされる応募書類は変わってきます。応募の際には、必要なものがそろっているかよく確認して提出します。
応募書類として最もメジャーなのが履歴書です。履歴書は人事上の公的書類として扱われる大切な物ですので、慎重に記入していきましょう。記入中に誤字脱字があったとしても、修正液で消してはいけません。間違った場合は、新しい履歴書に書き直してください。
履歴書と似た応募書類にエントリーシートというものもあります。エントリーシートは採用選考上、応募した学生の人間性や、アピールポイントを見るための書類です。履歴書より柔軟な形式で自分の熱意をアピールできます。
履歴書、エントリーシート、どちらを書くにしても志望動機や自己PRの欄にオリジナリティを持たせることが大事です。志望動機には、「他の園でなく、この園で働きたい」という気持ちがしっかり伝わるように書いていきます。説明会や園見学で得た情報を上手に活用してください。自己PRでは、保育に繋がる自分の特技(ピアノ、ダンス)、実習から学んだことなど具体的な内容を盛り込み、保育に対する「やる気」を感じ取ってもらえるようにしましょう。
採用試験
採用試験の種類には、大きく分けて「筆記試験」、「実技試験」、「面接試験」があります。1次試験が筆記、2次試験が面接など、1つの園で複数の採用試験が行われたりもします。
筆記試験
筆記試験の内容は保育士に必要な専門知識や、一般教養について問われます。公立保育園の保育士採用試験は公務員試験となるので、専門知識、一般教養のどちらからも出題されます。過去の採用試験について調べ、対策を練りましょう。
また、作文試験、論文試験を課す保育園もあります。文章を書くことに難しさを感じてしまうかもしれませんが、自分を知ってもらう良い機会ととらえてください。「保育士を目指した動機」「理想の保育」などよく取り上げられるテーマについては、事前に練習をしておきましょう。
実技試験
よく行われる実技試験には、以下のようなものがあります。
・ピアノの演奏
・絵本の読み聞かせ
・絵を描く
・工作をする
実技試験では保育士としての専門技術を評価されるだけでなく、実際の保育活動においてどのように子どもと向き合おうとしているのかが見られています。実技試験の内容に苦手な分野があったとしても、暗い顔や自信のない態度で臨むのはよくありません。子どもと一緒に楽しく活動することをイメージして、練習に励みましょう。
面接試験
人間性や人物像を評価される面接試験は、多くの採用試験に取り入れられています。保育士は人と関わる職業です。どんなに試験の成績が良くても、面接で違和感を感じさせてしまえば採用されることは難しくなってしまうでしょう。一方で、面接は自分のよさを園長や採用担当者に直接アピールできるチャンスでもあります。
履歴書やエントリーシートの内容にそった質問がされることもあるので、応募書類に書いた内容はちゃんと頭に入れておき、受け答えで矛盾が出ないようにしておくことが重要です。
内定
無事採用試験を通過すれば、内定となります。内定後は、採用された園の指示に従い、事前研修を受けるなど就職までの準備を進めていくことになります。
内定を得られれば、就職活動は終了となります。しかし「学校の単位が足りず卒業できない」など一定の条件に当てはまれば、内定が取り消しになってしまう可能性もあります。実際に入職するまで、気を抜かないようにしましょう。
保育士の就職活動は早めのスタートが鍵
保育学生の就活スケジュールは、一般企業へ就職する場合に比べ遅めにスタートします。だからといってあまりのんびり構えていると、希望している園への就職の機会を逃してしまうかもしれません。保育学生は、卒業前に保育実習という一大イベントが控えているからです。また、保育園によって採用スケジュールが変わってくることにも注意が必要です。実習と就活、どちらも成功させるために、早めに就活をスタートさせ、余裕をもって動いていきましょう。